音質から操作性までTUBE-TECH CL 1Bを完全再現したプラグイン

SOFTUBE Tube-Tech CL 1B Compressor

REVIEW by 山田ノブマサ(amp'box Recording studio) 2010年4月15日

TubeTechCL1B

実機と全く同じパネル・デザイン。操作も実機同様でひずみも再現

SOFTUBE Tube-Tech CL 1B Compressor 44,940円

最近、定番機材のシミュレーション系プラグインがさまざまなメーカーから多数出ています。高額で出来のいいものから安価でお手軽に使えるものまでいろいろとありますが、今回チェックするのはスタジオ定番のコンプレッサー、TUBE-TECH CL 1Bのシミュレート・モデルです。アナログ機のモデリングを中心としたプラグインの開発を行っている実力派プラグイン・ブランドのSOFTUBEが、TUBE-TECHブランドを擁するデンマークの会社、LYDKRAFTと共同開発したということなので、そのサウンドは期待大です。では、早速チェックして行きたいと思います。

実機と全く同じパネル・デザイン 操作も実機同様でひずみも再現

SOFTUBE Tube-Tech CL 1B Compressorはネイティブ版プラグインで、RTAS/VST/Audio Unitsに対応。Win/Macどちらの環境でも動作します(どちらもiLokキーが必要です)。今回はAPPLE Power Mac G4を使い、DIGIDESIGN Pro Tools|HDでのチェック。いろいろな楽器でそのサウンドを見ていきました。

まずユーザー・インターフェースを見ると、インプット・ゲイン/アタック・タイム/リリース・タイム/スレッショルド/レシオなど、ツマミやメーターの位置が実機のCL 1Bと全く一緒。実機を使ったことがある人であれば迷わず使えるでしょう。実機のCL 1Bがたくさんのプロに選ばれる理由の一つは、その幅広い調整範囲にあると思います。各ツマミが滑らかなノンクリック・タイプになっていて、思い通りの音に微妙なところまでコントロールが可能です。それゆえ微細な調整も可能と調整幅が広いので、ボーカルからアコースティック・ギター、ドラム、ベースなどほとんどの楽器/パートで使えるのも魅力。さらに、音質的なところで言えば、真空管を使った回路で構成されているにもかかわらず、”ハイファイで温かみがあり、自然なサウンドが得られる”と評価されている点も大きな魅力で、この機材を通したサウンドが好きなエンジニアやミュージシャンは多いです。それでは、本プラグインはその点はどうでしょうか? 早速サウンドを聴いてみると、変に硬くなったり、詰まったような感じになったりというプラグインにありがちな音の変化は全く無く、実機とほぼそん色の無い素晴らしい仕上がりです。例えば、普通ボーカルにコンプをかける場合、レコーディングの現場では、意図的に作り上げたサウンドを求めない場合は、ナチュラルで詰まった感じも無く、伸びやかな部分は残し、かつ音圧感があるサウンドが求められるのだと思いますが、本プラグインはそういったサウンドを作りたい場合には向いていると思います。

一方、モデリング系プラグイン・コンプでは、ピークを抑えた音は実機に似ていても、音量を上げ、意図的にドライブさせた音の変化はなかなか再現されにくいという側面もあります。しかし本プラグインは、この辺りも実によく再現され、実機同様にそれぞれのツマミを調整することで、音のピークをリダクションするためのナチュラルなコンプレッションから、積極的に音を作るひずみの付加された過激なコンプ・サウンドまで、かなりの幅での音作りが可能です。ちなみに本プラグインの各ツマミの仕様は、最大30dBのゲイン、2:1〜10:1のレシオ、20〜−40dBのスレッショルドなどすべて実機と同じ。サイドチェーン機能も搭載しています。

VUメーターの動きも実機さながらプラグインならではの28種のプログラム

外観に関してさらに補足すると、VUメーターのモデリングもかなり良く、実機とそん色の無い動き。設定する際に大変助かります。我々プロのエンジニアはコンプの設定の際、音とVUメーターの振れで調整して行くので、実機を知っているエンジニアからするとVUメーターの動作というのが重要になるのですが、本プラグインのメーター動作は素晴らしいです。とかくプラグインのメーターの動きは実機と違うものが多いのです。僕の場合、プラグイン使用時にそのメーターの動きが実機と違う場合は、メーターを無視して使ったりしていたのですが、このメーターはかなり実機に近い。良くモデリングされています。

また、本プラグインには28種のファクトリー・プログラムが用意されており、ボーカルやドラム、アコースティック・ギターなど、それぞれの楽器に合わせて適正なコンプレッションが得られるようにあらかじめ設定されています。これはプラグインの利点であり、あまりコンプを使い慣れていない人には大変便利な機能でしょう。コンプは、サウンドを作るのに大変効果的な機材ですが、初心者には難しい機材であることも事実。そんな初心者のユーザーでも、まずはファクトリー・プログラムに用意されている設定の中からコンプレッションしたい楽器を選ぶと、ほぼ間違いの無いサウンドを得ることができると思います。もちろんプロのエンジニアやコンプに精通している人ならば、プログラムを使わず、実機と同じように自分の思った設定にすることで、独自のサウンドを作ることも可能です。

上記のように、プラグイン・エフェクトは便利な一方で、レイテンシーが気になるものやCPUパワーをたくさん必要とするものは、実際の作業では大変ストレスになります。しかし本プラグインはCPUにかかる負荷がとても低く設計されているうえに、今回のチェックではレイテンシーもほとんど気にならずストレスも感じませんでした。

今回SOFTUBE Tube-Tech CL 1B Compressorを試してみて、実際最近のプラグイン・エフェクトは数年前の物に比べて格段に良くなっていることを実感しました。まだまだアナログ機材好きの私ですが、プラグイン・エフェクトのクオリティももかなりのレベルまで来ていることは確かですね。価格もこれくらいで良いものが出てくると、アナログ機材に取って代わる日もそう遠く無いかもしれません。

『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年4月号より)

SOFTUBE

Tube-Tech CL 1B Compressor

44,940円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪Windows/Windows XP以降のマシン、INTEL Pemtium IIIもしくはそれ以上、512MB以上のRAM▪Mac/Mac OS X 10.4以降のマシン、INTELもしくはPowerPC G3以上、512MB以上のRAM ※Windows/Mac共にiLokキーが必要

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