広いダイナミック・レンジと抜けのある音が魅力的なマイクプリ+EQ

CHAMELEON LABS 7602 MKII With X-Mod

REVIEW by 山田ノブマサ(amp'box Recording studio) 2009年4月1日

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高品位な機器を低価格で提供することに定評のあるCHAMELEON LABSより、同社の人気モデル7602の後継機種、7602 MKII With X-Modと7602 MKII(オープン・プライス/市場予想価格99,750円前後)が登場した。これらはNEVEの1970年代の傑作、1073に範を取ったマイクプリ+EQで、クラスA回路や手巻きトランスを使用し、100%ディスクリート回路で製造されている。また、いずれもビンテージ・サウンドを現代によみがえらせた音が特徴で、前モデル以上のコスト・パフォーマンスを実現している。なお、両機の違いは7602 MKII With X-ModがCARNHILL製トランスフォーマーを搭載している点で、7602MKIIからのアップグレード(予価:47,250円)も可能。それでは早速レビューしていこう。

洗練されたデザインで
インピーダンスも変更可能に

まず、前モデルからの変更点は、インピーダンス可変スイッチとインプットLEDメーターの追加や、前モデルに付属していた電源ユニットCPS-1が別売(オープン・プライス/市場予想価格19,950円前後)となり、その代わりACアダプターが付属すること。なお、CPS-1も使用可能だ。

早速外箱から取り出すと、洗練された今っぽいデザインの本機が登場した。ノブはアルミの削り出しのものに変更されている。個人的には前のモデルの少しビンテージっぽい無骨なプラスティックでできたノブも好きだったが高級感はアップしたデザインであると思う。

フロント・パネルには3ポイントのインプットLEDメーターが追加されている。これは入力信号の有無を目で確認できるし、入力レベルが大き過ぎてひずんだりするミスを防ぐのにも便利だ。また、新たな機能として追加されているインピーダンス可変スイッチはマイク入力のインピーダンスを300Ωと1.2kΩの2種類から選択可能。通常のマイクを使用する場合は1.2kΩで良いと思うが、リボン・マイクやビンテージ・マイクなどの低インピーダンスのときなどは300Ωに設定するとインピーダンスのマッチングが取れる。しかし、インピーダンスの違いによる音色の違いを作品によって積極的に選ぶのも面白いと思う。

広いレンジと抜けのある音で
あらゆるジャンルに対応可能

では、実際にマイクをつないで試聴していこう。まずはダイナミック・マイクでパーカッションの録音をしてみた。同社の7622を試聴したときも同様だったが、一聴して分かるのはレンジが広く抜けのある音で、このメーカーの製品は本当にコスト・パフォーマンスが高いと思う。S/Nもかなり良くこの値段でよくここまで作れるるものだと感心させられてしまう。比較のために同じマイクを筆者の持つNEVE 1073につないでみたが、S/Nはむしろ本機の方が良い。音色も適正レベルではかなり近いサウンドである。なぜ“適正レベルでは”という表現をしたかというと、アナログ機材の実力の差が大きく出るのは、ヘッドルームをいかに確保するかというところで、これを大きく取るためには製作コストが極端に上がってしまう。NEVE 1073のすごいところは実は適正レベル以外のところにあり、オーバー・レベルでひずませたときでも、心地よいひずみ感のサウンドになるのだが、本機の場合は残念ながらそこまでのパフォーマンスは無い。ただ、そうは言っても、ビンテージNEVE 1073の約1/10の価格でここまでの実力は特筆すべきだと思う。

また、筆者が思うこのメーカーの製品の音の特徴は“引っ掛かる音”だと思う。ちょっと概念的な話になってしまうが、この“引っ掛かる音”というのは、筆者はとても重要な要素だと考える。音楽においてこの“引っ掛かる音”があることが、人に届かせる音の条件の一つで、それがあることがヒット曲の重要なファクターだと思っている。

次にコンデンサー・マイクをつないでボーカルを録ってみた。こちらも傾向は全く変わらず、“引っ掛かる音”で、録音が楽しくなる。抜けも良いし、ダイナミクスもある。このレベルの機材ならポップス、ロックからジャズ、クラシックまで、どんな録音にも問題無く使用できるものだと思う。

また、前モデルからも人気のあったDI入力があるのはとても便利で、サウンドも申し分無い。ベースをダイレクトにつないでみたが、骨のある太いサウンドが簡単に得られた。35/60/110/220HzのLow、360/700Hz、1.6/3.2/4.8/7.2kHzのMid、3.4/4.9/7/12/16kHzのHighと、EQセクションの周波数ポイントはほぼNEVE 1073と同等で非常に使いやすい設定になっている。EQのサウンドもオーバーEQ気味にしてもいわゆるEQくさいサウンドにならず、心地良いまま希望のサウンドにメイク・アップしていける。1073に比べると少しドンシャリ気味で中域の音のしんの部分が多少減少するが、特に問題になるレベルではないし、本機はデジタル録音による音の冷淡さを緩和するのにはとても良い機材だと思う。

ここまでレポートしてきて思うのはこの製品は本当にコスト・パフォーマンスが高いことだ。CHAMELEON LABSというメーカーの開発エンジニアは真剣にもの作りをしているのが分かるし、しかも低価格でユーザーに届けることを目指している姿勢には脱帽する。こういったメーカーが生産ラインを中国で行うことには単なるコスト・ダウンでは無く、ちゃんとした意味があると思う。余談ではあるが、筆者は同社の7622を所有しているので、別売の電源ユニットCPS-1をつなげて試聴できたのだが、付属のACアダプターよりダイナミック・レンジが広く、抜けが良い感じがしたので、個人的にはCPS-1の使用をお勧めする。

▲リア・パネル。左からDC電源、AC電源、マイク入力(XLR)、ライン入力(XLR)、ライン出力(XLR)

CHAMELEON LABS

7602 MKII With X-Mod

オープン・プライス(市場予想価格/136,500円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■周波数特性/11Hz〜77.65kHz
■外形寸法/480(W)×44(H)×279(D)mm
■重量/5kg

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