デジタル/アナログ・アンプを使い分けた小型モニター・スピーカー

FOSTEX NF-4A

REVIEW by 野崎貴朗(MIK) 2008年6月1日

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FOSTEXのモニター・スピーカーと言えば、NF-1Aや一回り小型のNF-01Aを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、それらが発売されてからもうかなり時間がたってしまっている。後発のNF-01Aでさえ2001年(!)リリースだ。それでもこれらはここ数年の小型モニター発売ラッシュにもかかわらず、現在までロング・セールを続け、コア・ファンを魅了している。そして、その長い沈黙を破って登場したのがNF-4Aだ。

NFシリーズのアクティブ・モデルとしてはやっと3つ目のラインナップだが、なんと今回はウーファーが4インチ(=100mm。モデル名もここに由来)なので、口径は最小である。しかし、侮るなかれ。価格は前2機種の中間に位置する。つまり、そこには何かが隠されているわけなのだ。ここまで引っ張って後続を出す以上、ただの焼き直しや廉価モデルでは無いと思ってよい。

ウーファー側にデジタル・アンプを搭載
位相などの補正に72ビットDSPを使用

NF-4Aの目玉であろう部分は、主に以下の4点が挙げられる。
①デジタル(ウーファー側、24ビット/96kHz)+アナログ(ツィーター側)のバイアンプ駆動。位相補正用72ビットDSP搭載
②素材、形状が改良された振動板
③クラス最大口径のマグネット
④ユニットに比較して大型のキャビネット

①と③は本体重量にも反映されているようで、見た目から想像されるよりもかなり重い。よく機器の重さと音の良さはかなりの確率で相関があると言われる。確かにしっかりした電源部を積めば重くなるし、自重が余計な振動を抑えてくれることも音質面には好影響を与えるであろうことは容易に想像できる。果たしてNF-4Aにそのジンクスは当てはまるのだろうか?

そして、先に挙げた特徴の中でもとりわけ際だっているのはウーファー部に使用されているデジタル・アンプだ。これにより出力に余裕のある設計にできるとのことで、それが低域の駆動感に表れている。容積に余裕あるキャビネットと相まり、4インチとは思えないローエンドの伸びが感じられる。特に今回の試聴に使った和太鼓やサイン波ベースのローエンドの再現性はこのサイズでは初めての体験だった。

ちなみに本機は高域と低域の位相補正などにDSPを使用している。当然入力信号のAD変換が必要なのだが、フル・ビットから離れるほど理論上は量子化ひずみが増えていくので、入力レベルのマッチングをシビアに取る必要がある。もちろんこの辺は考慮されており、4つのDIPスイッチによって2dB単位で20dBまでのアッテネートを行なうことができる設計だ。正直なところ、かなり神経を使う作業であり、このスピーカーが対象としているユーザー層を考えると果たしてどんなものか?とも思ったのだが、24ビットであることを考えるとマージンをある程度余裕を持って取ってしまえば実用上問題無いレベルではある。こういうデメリットよりも、DSPを搭載することのメリットの方が大きいと開発者も判断したのであろう。

ピークを抑えながら高域を伸ばした
純マグネシウム製ツィーター

一方ツィーター側は、高域の再現性に優れる故に採用されたというアナログ・アンプと、折り目を縦に入れることによって固有振動から生じるピークを抑えたという純マグネシウム・ドームの組み合わせ。これによって得られる高域のリアリティが、今回の最大の驚きだった。特にその定位感の見事さや、中域からハイエンドへの素直な特性は特筆に値する。それらの改良によってNFシリーズの特徴であるつややかな高音部に、さらに磨きをかけたような印象だった。特にストリングスの倍音の伸びや、女性ボーカルの息の再現性、その自然さなどは、2クラス上の機種にも全く引けを取らないと感じた。

NF-1AやNF-01Aとの最大の違いもそこにあるようだ。今までのNFシリーズは、高域が伸びているものの、ともすればやや耳に痛い感じのするハイエンドだった。それと比べてNF-4Aのハイエンドはかなり自然に感じられた。耳障りなピークが一切感じられないのに、軽やかに特性が伸びている。

今回は比較用にYAMAHA NS-10Mを用いたのだが、大音量でモニターする場合を除き、音の遠近感やスピード感、ハイエンドの情報量などにおいてNF-4Aに軍配が上がった。もちろん本機とNS-10Mとは前提としている使用環境が異なるので同列での比較はできないのだが、価格を考慮すれば宅録メイン・モニター以外に、スタジオでのサブスピーカーとしても相当優秀であり、魅力的であるのは間違いない。

FOSTEX

NF-4A

61,950円(1本)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

▪内蔵ユニット/100mmHRウーファー+20mm純マグネシウム・ドーム・ツィーター
▪インピーダンス/4Ω(ウーファー)、8Ω(ツィーター)
▪周波数特性/55Hz〜40kHz
▪クロスオーバー周波数/2.5kHz
▪エンクロージャー容積/6.5L
▪最大瞬間出力音圧レベル/100dB/m(Volume=Max:定格)
▪アンプ最大出力/60W(LF)、35W(HF)
▪入力インピーダンス/20kΩ以上
▪最大入力レベル/+4〜24dBu(XLR)、−2〜+18dBV(フォーン)
▪外形寸法/194(W)×270(H)×316(D)mm
▪重量/8.7kg

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