音楽制作への”やる気/本気”を刺激するフィジカル・コントローラー

MACKIE. Mackie Control Pro

REVIEW by NAGIE(aikamachi+nagie) 2008年1月1日

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フィジカル・コントローラーはDAWの操作性を向上させるために存在し、その結果、余った時間やパワーを曲/音作りの創造性に回せるというのがウリ。私もこれまでスタジオや楽器店頭でさまざまな機種を試してきましたが、残念ながらそのつど思ったのは”トータル評価としては、やはりコンピューターの画面の方でいいや”ということでした……今回レビューするのはMACKIE.よりリリースされたMackie Controlの新バージョン。どこまで操作性の向上が実現されているのか、じっくりイジメてみたいと思います。

ユーザーの”本気度”をアップさせる
秀逸なプロダクト・デザイン

Mackie Control Universal Pro(以下Universal Pro)、Mackie Control Extender Pro(以下Extender Pro)、Mackie Control C4 Pro(以下C4 Pro)の3機種が自宅に届き、箱を開けてみてビックリ。いや良いですね、この外観。滑らかなシルバーで覆われたボディは重厚かつシャープ、キレのあるデザインで高級感が漂います。この3台を並べたときも、以前のものに比べて機種同士の幅が狭くなるように再デザインされているため、あたかも1台の大型フィジカル・コントローラーのよう。しかもこのシルバーの色味は現行のAPPLE iMac、Apple Cinema Displayなどとぴったり。私は3機種を並べて、その壮観さに思わずほおずりしたくなりました。借り物でなかったらこれをバックに写真を一枚撮るところですが、返した後にむなしくなるのでやめました。フィジカル・コントローラーを購入する人は、高価な機材を音楽制作の作業効率のためだけに投資する”やる気/本気印満点”の人。本機のデザインの素晴らしさは、そんな人たちの”本気な気持ち”をさらにアップさせるに十分なものと言えそうです。

早速セットアップにかかりましたが、所要時間はわずか30秒でした。Universal ProはUSB MIDIインターフェース内蔵なので、コンピューターとの接続に必要なのはUSBケーブル1本だけ。Extender ProとC4 Proは、Universal ProのMIDI IN/OUTにMIDIケーブルで接続します。前モデルではコンピューターとの接続には別途MIDIインターフェースが必要で、MIDIポートが既に埋まっている場合、別途インターフェースを買い足さなければなりませんでした。しかし本機はUSB MIDIを搭載したことにより、接続が圧倒的にシンプルになったのです。結線も済み、”さてドライバーのインストールCDは?”と探したのですが、見当たりません。マニュアルを読んでみると”ドライバーなどのインストールは必要ない”との記述が。何だよ〜、たったこれだけ?

DAWとの高い親和性と
アナログ卓のような操作感を実現

本機は現在市販されているほとんどのDAWに対応しており、使用するアプリケーションによってMackie Control/Logic Control/HUIのいずれかのモードで動作します。今回のテストは、APPLE PowerMac G5 Quad+Logic Pro 7.2.3で行いました。Logic Proが立ち上がると同時にUniversal Proもガシャガシャと初期設定を始めます。そしてLogic Pro側ではコントロールサーフェスのウィンドウが勝手に開き、画面①のようにMackie Control Proの3機種を自動的に認識しました。操作子を一通り触ってみましたが、Logic Proのトランスポート部にあるすべての機能、そしてメトロノームやファイル保存など操作上重要なボタン類はすべてUniversal Proのパネル上に配置され、Logic Proと完ぺきに連携。反応にも全く遅れを感じません。

▲画面① Mackie Control Proを使用する際、ドライバーのインストールは必要無い。画面はAPPLE Logic Pro使用時。USBでコンピューターと接続し、Logic Proを立ち上げると”コントロールサーフェス”として自動的に認識される

 

次にABLETON Live 6を立ち上げてみました。さすがに全自動とはいきませんでしたが、メニュー・バーの環境設定>コントロール・サーフェス>Mackie Controlを選択してMIDIポートをUniversal ProのUSBに指定するだけ。LogicとCAKEWALK Sonar以外のソフトを使用する場合は、付属する”オーバーレイ”と呼ばれるパネルをUniversal Proに装着することでボタンの表示名が変更され、Logic Proなどの場合と同様の連携性/素早い操作感を得られます。

さてLogic Proに戻って、Universal Proの操作性をもっと突っ込んで見てみましょう。フェーダーはプロ用機材で使用されることも多いPENNY+GILES製の100mm仕様のもので、動きのスムーズさやタッチ・センスの反応は完ぺき。そのフェーダーの上部に配置されているSelectボタンを押すとLogic Pro上の対応するトラックが自動的に選択されます。逆にLogic Proのトラックをクリックすれば、Mackie Controlの対応するフェーダーのSelectボタンが点滅して”ここだよ”と知らせてくれます。Mute、Soloも含めた各ボタンは明るく大きいので、視認性はとても良いです。

Universal Proは、デフォルトの状態ではフェーダーがチャンネル・ボリューム、そしてV-POTと呼ばれる自照式のノブでパンをコントロールできるようになっています。ミキサーとしての基本操作はこれでいいのですが、さらに高度な操作を可能にするのが、中央右に配置されているV-POT ASSIGNセクション。私のLogic Proは新規ファイルを立ち上げた状態で、チャンネル・エフェクトを何もアサインしていない設定にしています。その上で、任意のオーディオ・トラックを選択しV-POT ASSIGNのEQボタンを押してみましたが、案の定V-POT上には何も表示されません。でも、このEQボタンを2度押しするか長押しすると、あら不思議、EQのパラメーターが表示されるのです。画面を見てみると、何とLogic Proのエフェクト・プラグイン”Channel EQ”がアサインされているではありませんか! センドやプラグインも同様の操作でアサインされます。

プロ・スタジオのアナログ・コンソールは、機能的には各チャンネルに装備されたEQとAUXセンドが基本。これまで述べたようにUniversal ProもEQとAUXセンドをワン・アクションで実現しているのですから、これはもう、アナログ卓と同等の操作感を実現したと言っていいでしょう。

“別次元の操作感”を提供する
Mackie Control C4 Pro

Universal Proではプラグイン・エフェクト/インストゥルメントのパラメーターを一度に8つまでしか表示できません。C4 Proは、それらを32基のV-POTにズラッと表示して、操作性を高めてくれる拡張ユニット。Logic Proでプラグイン・エフェクトやソフト・シンセを開けば、どんなときでもC4 Proはそのすべてのパラメーターを表示します。このV-POTを回してリアルタイムでパラメーターを変更できるのです。すごいのは、マイナーなサードパーティ製のプラグインでもきちんと表示してくれること。さらに”C4 Commander”という付属アプリケーションを立ち上げれば、MIDI接続したハードウェア・シンセサイザーのパラメーターですらC4 Proでエディットできるようになります。私はNOVATION Supernova IIで試してみましたが、まるでソフト・シンセのような感覚で操作できました(画面②)。

▶画面② 付属アプリケーションのC4 Commanderを用いて、ハードウェア・シンセサイザーNOVATION Supernova IIのパラメーターをMackie Control C4 Proのノブにアサインしたところ。パラメーターの変化をオートメーションとしてDAWに記録できるようになるのは大きな魅力だ

 

C4 Proのトップ・パネルにあるLCDディスプレイには5〜6文字に短縮されたパラメーター名と数値がズラッと並ぶため、一見して何がどの機能なのかすぐには認識できません。やはりディスプレイ上のプラグイン画面の方が、視認性/操作性が良いのかなあと思っていました。

しかし、今回私は開眼し、悟りを開きました。音楽制作の作業をしていると、おのずとお気に入りのプラグインやよく使うパラメーターは決まってきます。それがC4 pro上のどの位置にくるのかを覚えようとしたのです。そう意識して操作していくうち、慣れてくるとDAWのみでの制作より圧倒的に早く作業できるようになりました。確かにDAWのグラフィックなインターフェースは取っ付きやすいですが、マウス操作はこれ以上速くできません。C4 Proは、使い始めは”慣れ”という努力が必要でしたが、それを超えると圧倒的に速いオペレーションの世界が開けてきます。いわば”悟り”なのです。いったんこれを味わってしまうと、”マウス操作がもどかしいなあ”と本当に感じるようになってしまいました。

Mackie Control ProとDAWとの完ぺきな連携性がもたらす作業効率の向上は、目を見張るものがありました。これはもう本気で”使える”ツールだと断言したいです。今回思ったのは、自分がいかに石頭だったかということ。発想の転換とちょっとした慣れがあれば、ガラッと新たな世界が開ける経験をしました。

▲Mackie Control Universal Proのリア・パネル。左よりUSB端子、MIDI IN/OUT×3系統、USER SWITCH 1/2(フォーン)、EXTERNAL CONTROL(フォーン)

▲Mackie Control C4 Proのリア・パネルにはMIDI IN/OUTが1系統用意され、Mackie Control Universal ProとはMIDIケーブルで接続する。なお、Mackie Control Extender Proも同様のリア・パネル構成となっている

 

MACKIE.

Mackie Control Pro

Mackie Control Universal Pro/199,500円
Mackie Control Extender Pro/119,700円
Mackie Control C4 Pro/173,250円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

Mackie Control Universal Pro
▪外形寸法/419(W)×120(H)×429(D)mm
▪重量/5.4kg
Mackie Control Extender Pro
▪外形寸法/254(W)×120(H)×429(D)mm
▪重量/3.1kg
Mackie Control C4 Pro
▪外形寸法/254(W)×120(H)×429(D)mm
▪重量/4.9kg

REQUIREMENTS

▪Windows/USBポート
▪Mac/USBポート
※ほかはホスト・アプリケーションの動作環境に依存

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