コンソールの名門が送り出したA/D機能付きチャンネル・ストリップ

SSL XLogic Alpha Channel

REVIEW by 競紀行(ブイ・エフ・ブイ スタジオ) 2007年3月1日

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近年DAWとのリンクを計ったモデルが増加する中、世界的にポピュラーであこがれのSSLコンソールのサウンドが手軽に入手できる価格で発売されました。それが1Uのチャンネル・ストリップで、さらにADコンバート機能付きのXLogic Alpha Channelです。驚くべきはその価格ですが、低価格でもそこはSSLということで、実際のレコーディングにて本気で録音/音作りに使用しながら検証してみました。

VHD(Variable Harmonic Drive)と
Lite Limit機能を新たに搭載

新登場のAlpha ChannelもこれまでのXLogicシリーズ同様、シルバーのフロント・パネルを採用し、シンプルで洗練されたデザインになっています。SSLを使い慣れた人でなくても使いやすく、素早い音作りが可能なのはうれしいところ。

フロント・パネルにXLR/TSフォーンのコンボ・タイプのコネクターを搭載し、Hi-Z切り替えスイッチも用意されています。ほかには、ライン入力対応の20dB PAD、48Vファンタム電源、フェイズといったスイッチを用意。そして+20〜75dBのゲイン・コントロールとVHD(Variable Harmonic Drive)コントロール、さらにコンソールでおなじみのIN(EQの前段)/SUM(センド/リターンの両信号をミックス)/POST EQ(EQの後段)という3タイプのインサート用スイッチを搭載。加えて、40/80/120Hzのハイパス・フィルターを搭載し、3バンドのEQセクションでは±16dBのEQも可能、LowEQにはシェルビング/ベル・カーブの切り替えスイッチが付いています。最終段には±20dBのアウトプット・ゲインともう一つの新機能であるLite Limitが配備されているという充実の仕様なのです。

リア・パネルにはもう1台のAlpha ChannelとのLite Limitのリンク用となるLINK(RCAピン)やデジタル入出力(S/P DIFコアキシャル/入力はクロックのみ)、センド&リターン(TRSフォーン)を配置。アナログ出力の端子がXLRではなく、TRSフォーンだけだったのは少し残念です。

SSLらしいサウンドはそのままに
インサート機能でルーティングも自在

今回のチェックではエレキギター、アコギ、ボーカルをメインに、通常の録音と同じくマイク/ライン入力から本機に立ち上げた後、ダイレクトでDIGIDESIGN 192 I/O経由で録音します。

まずエレキギターの録音では非常に立ち上がりの早いサウンドで、音数の多いバンドの中でも音像はしっかりとしており、存在感があります。続いてのアコギではストロークとアルペジオの両方で繊細なプレイやニュアンスがしっかり伝わり、実際に本チャンの録音でとても重宝しました。

VHDは特に気に入った機能の1つで、2次〜3次倍音をコントロール可能。実作業でもディストーション・サウンドにより迫力を持たせたり、クリーン・トーンにちょっとだけ強さや温かみを持たせたりと自在にサウンドをコントロールできます。感覚的にはEMPIRICAL LABS Distressor EL8のDist 2/3モードに近いと言えるでしょう。ちなみに、個人的にはツマミをフルにした状態がお気に入りです。

ボーカル録音ではスムーズなハイエンドと、ツヤのある音質がとても素晴らしい! コンソールで言うと同社のJシリーズに近く、比較しても何の遜色も無い印象を受けます。

一方、3バンドEQはカーブの設定がSSLコンソールより若干甘い気がします。ただし、神経質にならずに大胆なEQが可能なので逆に好ポイントとも言えるでしょう。惜しいと感じたのは周波数ポイントで、もう少し細かく表示してほしかったというのが正直なところ。余談ですが、インピーダンスの切り替えで当然ながら音色が変わり、理論的なことにとらわれない音作りもできます。

Lite Limit機能では名前以上に激しいリミッターがレベルによってかかる仕組みのようで、これもユニークな音作りの一手段として役立ちます。どこまでレベルを入れられるか試してみたところ、ほぼフルビットで突っ込むことが可能。この機能によってデジタル録音で避けたいピーク・オーバーも気にせず気軽に録音が行えます。また、意外と便利なのがインサート機能。一般的なEQ付きマイクプリでは入出力端子のみというモデルが多く、EQの後段でしかコンプレッサーをかけられませんが、本機ではインサート機能でルーティングも選べます。

さて、もう1つ気になるのがADコンバート機能についてです。S/P DIF入力はクロック受け専用で、32〜108kHzまでシンク可能になっています。一方、S/P DIF出力は24ビット/44.1kHzのみと、せめて48kHzに対応してほしかったです。ADコンバート時のサウンドについての印象ですが、ほかのハイグレードなADコンバーターと比べても全く遜色はなく、高品位なものと言えるでしょう。自宅での制作環境などにおいてDAWシステムに良質なSSLサウンドをADコンバーター直で録音できるメリットはとてつもなく大きいと言えます。マイクプリ、EQ、インサート機能、リミッター機能と一台ですべて間に合う利便性は設備投資の節約にもつながるでしょう。

私のスタジオにはEUPHONIX CS3000という素晴らしいコンソールがありますが、時折SSLのパンチの効いた音が欲しくなることがあります。そこでXLogic X-Rackシリーズの購入を考えていたのですが、本機の登場はとてもうれしい限りです。これはぜひ買わなきゃ。

▲リア・パネル。左から電源ケーブルのインレット、LINK(RCAピン)、デジタル入出力(S/P DIFコアキシャル/入力は32〜108kHzのクロックに対応。出力は44.1kHzのみ)、アナログ出力(TRSフォーン)、センド&リターン(TRSフォーン)

SSL

XLogic Alpha Channel

198,450円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■周波数特性(マイク入力→アナログ出力) /10Hz〜70kHz @±0.2dB、6Hz〜250kHz @−3dB
■入力インピーダンス/1kΩ(Hi-Z入力時10kΩ)
■A/D部/44.1kHz(外部からのS/P DIFシンクは32〜108kHzに対応)
■外形寸法/482(W)×44.5(H)×230(D)mm
■重量/3.5kg

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