高い再現力とワイドな指向性を実現したPA用アクティブ・スピーカー

MACKIE. SRM350

REVIEW by 玖島博喜(TEAM URI-Bo) 2006年8月1日

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MACKIE.は、小型ミキサーからPAコンソール(以前、筆者もレビューしました)までリリースしている、まさに音の”入口”を知り尽くしたメーカー。その同社から音の”出口”であるPA用スピーカーSRM350とSRM450(オープン・プライス:市場予想価格70,000円前後/1本)が登場。ポータビリティに優れたアンプ内蔵の2ウェイ・アクティブ・スピーカーで、フライングやスタック、フロア・モニターなど使用環境を問わないフットワークの軽さが魅力のシリーズです。今回はよりコンパクトなモデルのSRM350をレビューしていきましょう。

軽量/省電力なバイアンプ仕様
マイクを直接入力することも可能

まず本機の重量はアンプ内蔵にもかかわらず14.5kgとかなり軽量。リア部には電源スイッチ、XLR/フォーン兼用入力、XLR出力、ボリュームつまみ、ライン/マイク切り替えスイッチ、そして100Hz以下と12kHz以上の帯域を3dBブーストするCONTOURスイッチが並び、搭載するスピーカー・ユニットは直径250mmのウーファーと36mmのツィーターによる2ウェイ構成です。また特筆すべき点が2つあり、1つはマイク/ライン切り替えスイッチが付いていることからも分かるように、本機に直接マイクを接続することもできる点。もう1つがSRMシリーズ専用にデザインされたパワー・アンプを装備し、ポータブル・スピーカーながらツィーターとウーファーを独立した別々のアンプで駆動させるバイアンプ方式を採用している点です。しかも消費電力は1本あたり300Wと驚くほど少なく、ライブ現場で電力容量を気にしなくても済みますね。さらに再生範囲は水平方向90度、垂直方向80度となっており、今やPA業界では主流となっているライン・アレイ・スピーカーのように水平方向の指向性を広くとることで、より広範囲に聴かせることが可能です。

癖のないフラットな周波数特性
CONTOURスイッチによる音質調整

それではライブ・ハウスにて、CD音源によるライン信号を出力してチェックしてみます。

まず出音を聴いた第一印象は”音像がはっきりと見える”ということです。このクラスでありがちな、スピーカーに無理をさせて詰まったような音ではなく、ピーキーな部分も感じられません。ピンク・ノイズを出力してアナライザーで確かめると、300Hz、6kHzにややピークがありますがローエンドとハイエンドの減衰もなだらかで、確かにほぼフラットであるという結果でした。

次にマイクを使用してチェックしていきます。今回はボーカル、アコギ、ピアノによるライブ現場でチェックすることができたので、コンソールのメイン・アウトを本機に接続します。まずアコギですが収音にはAKG C414を使用。AKG独特の華やかな高音や締まった低音をリアルに再生し、ストローク時のレスポンスの良さがより強調された印象です。ピアノにはAUDIO-TECHNICA AT4050をセットしてみたところ、このマイクの持つフラットな特性を色付けすることなく”フラットのまま”再生してくれます。今度はボーカルに使用しているSHURE SM58を直接本機のマイク入力へ接続して使ってみました。出音は同じようにナチュラルなキャラクターで、多少6kHz辺りがきらびやかですが嫌味なところも無く、きっちり仕事をこなしてくれたという具合です。

さらに先述のCONTOURスイッチも試してみます。すると我々PAエンジニアが長年の経験から得たブースト・ポイントを上げたようなサウンドを、このスイッチがいとも簡単に実現してしまいました。これによりローエンドの”コシ”とハイエンドの”ハリ”"輪郭”が生まれ、より明りょう度の高いクリアなバランスへと変化。低域の定位がぼやけたり、高域が反射、拡散する現場ではこのスイッチが瞬時に解決してくれますが、逆に高域がきつくなり過ぎる場合もあるので、会場特性に合わせて使い分けるといいでしょう。

最後にメイン・スピーカーとしてだけではなく、さまざまな音を管理するマニピュレーターにお願いしてモニター・スピーカーとしてもチェックしてもらいました。マニピュレーターの使うモニター・スピーカーはよりバランスや音質の良いものが要求されるものですが、本機は”正確かつパワフルな出音で素晴らしい”と好印象だったようです。また今回は試せなかったのですが、個人的にはフライング・セッティングにしてみても好結果が期待できるのではないかとも思いました。

次々と新しいPA用スピーカーがリリースされていますが、それらの多くは高価だったりシステムを構築するためにオプションを要したりと、高額の導入予算やPAシステムを構築するためのノウハウを必要とします。しかしこのSRM350は手軽な配線と簡単なスピーカー調整で、質の高いサウンドをオーディエンスに提供可能です。これは我々の立場を危うくする強敵が現れましたね!

MACKIE.

SRM350

オープン・プライス(市場予想価格84,000円前後/ペア)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■周波数特性/61Hz〜18kHz
■クロスオーバー/2.4kHz
■出力レベル/LF:165W、HF:30W
■外形寸法/333(W)×527(H)×311(D)mm
■重量/14.5kg

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