驚異的な周波数特性を誇るリモート・コントローラー付き高品位プリアンプ

GORDON Model 3

REVIEW by 中村文俊(officeインビレッジ) 2004年12月1日

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最近、プリアンプの重要性が再認識されるようになったためか、さまざまな国からいろいろな価格帯の製品が発売されています。どちらかと言えば低価格帯のプリアンプのリリースが活発な感じもしますが、今回紹介する2ch仕様プリアンプのModel 3は実売約60万円という高価な製品。価格が高い分、その性能は非常に気になるところです。GORDONというメーカーも初めて耳にした名前なので、どのような製品なのか早速チェックしたいと思います。

ゲイン段階ごとに固有アンプを用意
音質重視のこだわり設計

まずこの製品の特徴は、マイクなどを接続する入出力端子が装備されたプリアンプと、それをコントロールするモジュールがそれぞれ1Uで分かれた、いわゆるリモート・コントローラー採用のプリアンプということです。これは、マイクを立てるブースとコントロール・ルームが離れているような中〜大規模スタジオにおいて特に便利で、マイクプリ部分をブースに、コントローラー部分をコントロール・ルームに分けて置くことができます。つまりコントロール・ルームからの遠隔操作が可能となるわけです。ちなみに両者の接続には付属のXLRケーブルを使用します。当然、入出力端子もXLRなので、通常のマイク・ケーブルも使用できそうですが、故障の原因となるためあくまで専用ケーブルを使うのが基本となっています。

プリアンプ部の外見に関してはシンプルなデザインで、必要最低限の機能だけを配置した、パッと見てすぐに使える作りになっています。パネルにはフォーン接続時のインピーダンス切り替えとファンタム電源のON/OFFを2ch分レイアウトし、ゲイン調整やミュート、フェイズ・リバースに関してはコントロール部から遠隔操作する仕組みになっています。特にコントロール部にミュート・ボタンが付いているのはマイクを取り換えるときなどにとても便利で、さりげなくうれしい機能の1つでした。

また、本製品の最大の特徴とも言えるのが、各ゲイン・ステップ別に固有のアンプを組み込んだ設計になっていることです。通常のマイクプリでは、増幅された信号をアッテネートして音量調節を行うのですが、本製品は各ゲイン設定ごとに最適な動作をするアンプが別々に内蔵されているのです。ゲインの値によって音質やインピーダンスが変わらない設計は、非常にこだわりを感じさせます。

また先程少し触れましたが、入出力端子にはXLRのほかにインピーダンスの変更可能なフォーン入力端子も装備しており、外部音源やエレキギターなどをDIを使わずに接続できるのがポイントです。インピーダンスの変化によってちょっとした音質変化も楽しめます。このように必要な機能だけを厳選した設計は、いかに本機が音質重視の作りであるかを物語っているようです。

高いS/Nを実現した
クリアかつクセの無いサウンド

では、肝心の音質チェックです。実際にボーカル録りで使用してみたのですが、聴いた瞬間“何だこのクリアさは!”と驚かされました。このボーカリストの歌録りでは、これまでハイファイ系やビンテージ系の有名プリアンプをいろいろ試してきたのですが、クセの無さでは本機が一番だと思いました。サウンドのクセというのはマイクプリのだいご味だったりもしますが、そのナチュラルな音質こそが本機のクセと言えるでしょう。

高域に関しては抜けていながら変に固く感じるところが無く、低域に関しても不自然な膨らみが無く重低音までちゃんと再現。0.7Hz〜700kHzというずば抜けた周波数特性も納得です。ノイズの部分でも非常にS/Nが良く、ゲインを目いっぱい上げても、“ザーッ”というシステム・ノイズが気にならない機種はこれが初めてかもしれません。特に筆者がよく使うリボン・マイク接続時には、ノイズの面も含めて今まで使っていたプリアンプ以上の音になり、あらためてその実力を思い知らされました。

ただ、あえて難点を挙げるとすれば、クリアかつクセの無いサウンド故に、ほかの定番プリアンプと比べると音が細く感じることがあるかもしれないということです。また、オールド物のマイクなど、ちょっと状態が思わしくないマイクを接続した場合は、その思わしくない部分までちゃんと出てしまうので、ひずみ加減やノイズの多いマイクでは使いにくいことがあるかもしせまん。しかし、それは本機が並外れたフラットな特性を持っていることの裏返しでもあります。特にドラムの金物系やアコギなど、抜けとレンジ感が必要とされる楽器との相性は抜群で、奇麗にサウンドを収めることができるでしょう。

今回このModel 3を使用してみて、確かに価格的には手軽に手が出せるものではありませんが、真にナチュラルでクセの無いプリアンプが欲しい方には最適な製品だと思いました。基本的な作りもしっかりしており、電源投入時のウォームアップ時間が確保されていたり、ゲイン切り替え時のクリック・ノイズが無かったりと、不満に感じるところはありませんでした。これからのハイサンプリング時代にマッチした、本当の意味での原音再現を目指したものだと言えるでしょう。ぜひいろんなマイクで実際に試してみることをお勧めします。

▲上はコントロール部のリア・パネル。コントロール出力端子(XLR)を装備する。その下がアンプ部のリア・パネル。右にあるのがコントロール入力(XLR)で、2ch分の入力(XLR、フォーン)と出力(XLR)はフロント・パネルに用意

GORDON

Model 3

オープン・プライス(市場予想価格/627,900円)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

●アンプ部
■周波数特性/0.7Hz〜700kHz
■ゲイン/10〜70dB
■入力インピーダンス/2MΩ(NORMAL)、1kΩ(LOW INPUT Z)、1MΩ(COMMON-MODE)
■外形寸法/483(W)×44(H)×405(D)mm
■重量/5kg
●コントロール部
■コントロール・レンジ/10〜70dB
■レゾリューション/5dB
■外形寸法/483(W)×44(H)×75(D)mm
■重量/0.8kg

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