低価格ながら優れた音響特性を持つマルチユースのコンデンサー・マイク

SHURE KSM27/SL

REVIEW by 鎌田岳彦 2002年3月1日

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ここ数年、ロープライスながら高性能/高スペックのマイクの出現に驚かされてきましたが、マイク・メーカーのしにせSHUREが、新たにこの価格帯に挑戦状をたたき付けてきました。コンデンサー・マイクKSMシリーズにKSM27/SLが加わったのです。以前、上位機種であるKSM44/SL、KSM32/SLのチェック記事(KSM44/SL:本誌2001年9月号、KSM32/SL:同1999年1月号)を書いていますので、その辺りの記憶をたどりつつ、どの辺をコスト・ダウンしているかなどを、チェックしてみることにしましょう。

KSMシリーズ上位機種の
基本スペックを受け継いだ設計

基本的なデザインのコンセプトはKSM44/SL、KSM32/SLと一緒ですが、長さが156mmと30mmほど短くなっています。太さや上部のメッシュ部分はほとんど同じなので、下半身が短くなりコロコロっと愛嬌のあるデザインになっています。カラーはおなじみの洒落たシャンパン・ゴールドです。全体の造りもこの価格帯にしては、他の製品に真似できない、豪華でしっかりしたものです。パッド(15dBのアッテネーター)、3ポジションのローカット・スイッチ(フラット、80Hz/18dB、115Hz/6dBのローオフ)、内部および外部コネクターの金メッキ処理などは、KSM44/SL、KSM32/SLと同様のスペックですが、指向性が単一のみとなりました。また、サスペンション・ショックマウントと、本体をしまう布製ポーチが付属していますが、KSM44/SL、KSM32/SLにあったハード・ケース等はオプションとなりました。

ダイアフラムは大口径の1インチ、極薄2.5μmの24カラット金メッキ軽量タイプで、これも上位機種を踏襲したスペックです。また、クラスAのトランスレス・プリアンプは48Vファンタム電源で駆動し、最低電圧が11Vなのも同様で、基本回路はそのまま移植されているようです。

優れたS/Nを実現し
低/高域共に伸びのある音響特性

さて、実際に音を聴いてみることにしましょう。今回はNEUMANN U87Aと比較チェックしてみたいと思います。ちなみにマイクプリにはNEVE 33415/1073を使用しました。まず、最初に感じたのはKSM27/SLのS/NがU87Aに勝っていた点です。もっともKSM27/SLは新品で、U87Aは10年以上経ったものなので、必ずしも平等な比較ではないですが、実際に使うことを考えると、この差は大きいです。特にハイビット/ハイサンプリングのデジタル環境などでは影響が出るでしょう。また、出力もKSM27/SLの方が4〜6dBくらい大きく、実質のS/Nに関しては、KSM27/SLの勝ちといったところです。近接効果もKSM27/SLの方が少なく、かなりオンセッティングでの使い方も期待できそうです。指向性的にはそれほど違いは感じられず、特性変化も近いかもしれません。音色も結構近いのですが、中低域の厚みが少し違うかな?といったところです。U87Aの個体差なのか、中域/低域が豊かだった(高域が少し落ちていた?)ので、少し違いが出ていました。KSM27/SLの方がわずかに抜けが良く、まとまった感じの音です。ビギナーには使いやすいマイクかもしれません。

高域、特に子音は、若干ですが強調される傾向です。アコースティック・ギター等の倍音は比較的きれいに伸びていたので、U87Aよりハイエンドの特性は広いかもしれません。低域もかなり低い帯域まで伸びています。ですので、予想外に各種振動などの音楽に関係無いノイズを拾ってしまうかもしれません。例えば、気付かないうちにスピーカーで再生不能の低音域が録れていてメーターだけ触れたり、ウーファーがゆっくり動いていたり……なんてことが起きてしまうかもしれません。扱いを間違えると、簡単にウーファーが飛んじゃうのでご注意を! ローカット・スイッチは2つのポジションが用意されているので、必ず状況に合わせて使い分けましょう。

実際の用途としては、ボーカルからアコギ、エレキギターのアンプ録り、ドラム、パーカッションなど楽器を選ばないオールマイティなマイクだと思われます。定価で5万円を切っていることを考えると、ペアでそろえるのがベストかもしれませんね。“ピアノやドラムのオーバーヘッドをステレオ・セッティングで録る”“オフマイクをペアで立てる”“ボーカルとギターをそれぞれKSM27/SLで録る”など、2本あると用途はより広がります。マイクの距離や角度などのセッティングの違いも、一度に聴き分けられ便利です。また最近はコンピューター・ベースのDAWで、マイクプリから直接入力するケースも多いので、パッドやローカット機能は積極的に使うことをお薦めします。あと、コンデンサー・マイクは温度/湿度変化に弱いので、保管にはくれぐれも注意を。オプションのハード・ケースを利用するのは、いいアイディアかもしれませんね!

KSMシリーズの上位機種からスペックを譲り受けたこのKSM27/SLには、十分な実力があると思います。マイク・メーカーとしてはしにせなだけあって、オプション・アクセサリーも充実しており、さまざまな使い方に対応できるでしょう。コンデンサー・マイク・ビギナーにも、2本セットで欲しい人にもぜひお薦めの1本です。

SHURE

KSM27/SL

49,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■指向性/単一
■周波数特性/20Hz〜20kHz
■感度/1V/Pa(−34dB)
■最大音圧レベル/153dB
■出力インピーダンス/150Ω
■外形寸法/φ55.9×156mm
■重量/642g
■付属品/サスペンション・ショックマウント、布製マイク・ポーチ

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