大口径ダイアフラムで自然な音色を表現できるSEIDEのエントリー・モデル

SEIDE PC-ME

REVIEW by 鎮西正憲 2002年3月1日

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今回はSEIDEのピュア・コンデンサー型マイク、PC-MEをリポートします。このマイクは“コンデンサー・マイクを使うのは初めて”というようなエントリー・ユーザーをターゲットに、ダイナミック・マイクにあと数千円投資すれば買えるような価格となっています。これまでにSEIDEのコンデンサー・マイクは、ハイエンド・モデルのPC-VT1000以外すべてチェックしてきましたが、“ナチュラルで扱いやすい音”というのが、ブランドのイメージになっています。ここにきてローエンド・モデルのチェックということで、非常に興味が湧いています。

ピュア・コンデンサー仕様で
ローカット・スイッチも搭載

まずPC-MEのルックスですが、サイズが口径44×152mmと1クラス上のPC-M1Dを一周りほど縮小したような小振りなボディです。ウエイトは380gで、手に取ると意外にずしりとした重量感がありました。カラーは周りにシルバーやブラックの製品が多い中、少しくすんだメタリック・ブルーなのが印象的です。

指向性は単一のみ。最近のコンデンサー・マイクは、SPL(最大音圧レベル)が高いため、パッドが省かれている製品が多いのですが、このモデルも、SPLが135dBと高くパッドはありません。しかし、ローカット・フィルターが備えられており、スイッチへは、ねじ込みになっているボディ下部を回して内部の基板を露出させアクセスできます。この作業はケーブルを抜かなくても可能ですが、ショートなどを起こしてダメージを与えないために、ファンタム電源は切った方が賢明でしょう。

発売元はピュア・コンデンサー・タイプということを売りにしていますが、これは比較的高価なマイクに使われている方式です。エレクトレット・コンデンサー・タイプと比べ、ダイアフラムに使用できる素材の選択範囲が広く、より薄いものにできます。また、出力インピーダンスを下げるためのアンプなどを設けなくてもよいので、回路がシンプルにできるなどのメリットもあります。

クセが無い高域と
力強い低/中低域の表現力

では、本題である音の方はどうでしょう。まずアコースティック・ギターで試してみました。第一に感じたのは、やはりこのブランドの特徴であるナチュラルな音色です。その上で低域の豊かさ、中低域の力強さも感じます。このクラスのマイクとしてはダイアフラムが直径25mmと大きいことも1つの要因でしょう。ただ、音の輪郭というところでは、中低域の膨らみが中高域にまで侵食していて、スティール弦の硬質な響きがやや甘く感じます。しかし、ピックで弦をはじく音は聴こえてきますので、その上の高域は有るようです。アルペジオで弾いた場合にも、やはり中高域の甘さを感じました。アコギで中高域が足りないとオケに混ぜたときに、音の芯というか輪郭に当たる部分がぼやけてしまうので、高域が出ている分少し残念です。そこで、ローカット・フィルターをオンにしてみました。100Hzから−6dB/octというスペックですが、こちらの方がローの膨らみが抑えられ、弦1本1本の分離がよりクリアに感じられます。しかし、ローカット・フィルターというのは元来、床からの振動や空調風による低周波ノイズを抑えるために使うものなので、マイク・アレンジで修正するのが本道と言えるでしょう。というわけで、少しオフマイクでセッティングしてみました(ローカット・フィルターはオフ)。結果、こちらの方が近接効果での低域が減る分、バランスが良く輪郭もハッキリしました。

次にブルース・ハープを録ってみたところ、こちらはオンマイクで良い結果となりました。中高域に張りが有り、息遣いもよく聴こえています。高域にはクセが無く、耳に痛く感じることもありません。しかし、地味に感じるという意見もあり、この辺りは好みが分かれるところでしょう。マイクとの距離が少しでも離れると、全体に細くなってしまうので近接効果は大きいようです。

次はボーカルですが、これは結構太いです。これまでの傾向と同じく、中高域の張りの部分でやや物足りなさを感じますが、低域の迫力は十分だと思います。オケに混ざると声が細く聴こえてしまう人や、太さを強調したい人には良いと思います。ただし、これも少しオフ気味になったり、正面から外れたりするとレンジが狭くなりますので、よく動くボーカリストには注意が必要です。ちなみに吹かれには強く、スクリーン無しでもポップ・ノイズはほとんど感じませんでした。

最後にドラムのオフマイクを試してみました。部屋の響きの中では、ローが少し不足気味な感じです。しかし、シンバルなどの金物系は、あまりバシャバシャせずに落ち着いた印象で、やや迫力に欠けますがバランスが良好なので、細くなってしまうよりはこちらの方が良いでしょう。

今回は試すことができませんでしたが、ローが太めで、オンマイクで使うならサックスやチェロなどにも向いていると思います。一方、オフマイクではナチュラルな響きが録れるので、オールマイティに使えることが考えられます。

PC-MEの最大の売りは、何と言っても“大口径ダイアフラム仕様のオールマイティ型コンデンサー・タイプを、この価格で実現した”ということでしょう。これならドラムのオーバートップや、グランド・ピアノ用にステレオでそろえるのも無理がありません。S/Nや最大音圧レベルなど、スペック的にも上級機の水準を満たしていますし、音の面でも健闘していると思いますので、コスト・パフォーマンスに非常に優れた製品と言えます。

SEIDE

PC-ME

24,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■指向性/単一
■周波数特性/30Hz〜20kHz
■感度/16mV/Pa(@−34dB)
■最大音圧レベル/135dB
■出力インピーダンス/≦200Ω
■外形寸法/φ44×152mm
■重量/380g
■付属品/ショックマウント・サスペンション(シルバー)

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