クリアなサウンドでオールマイティな低価格コンデンサー・マイク

AKG C2000B

REVIEW by 鎮西正憲 2000年8月1日

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プロ・ユース・マイクロフォンのメーカーとして50年の歴史を持つAKGは、ここ数年C4000B、C3000Bなど新世代コンデンサー・マイクロフォンを比較的廉価に提供してきましたが、今回そのラインナップにC2000Bが追加されました。型番からも分かるように、C2000Bは40,000円と、Cシリーズの中で最も廉価ですが、名機C12やロング・セラーのC414を生み出したAKGの製品ということで、期待を持ってチェックしてみました。

AKG独自の新技術
スパイダー・サスペンション搭載

C2000Bの最も大きな特徴は、まず個人レベルでも無理なく購入に踏み切れる低価格ということでしょう。しかし、単にクオリティを下げたのではなく、シリーズ中での部品の共通化(プリアンプ部などは上位機種C3000Bのもの)、また、ダイアフラム部にはC2000Bから新開発の技術を投入することでコストの低減を図っています。新開発の技術というのは、ダイアフラムの支持を蜘蛛の巣状のゴムにしたもので、AKGはこれを”スパイダー・サスペンション”と呼んでいますが、簡単に言うと携帯電話のマイクなどに使われている技術をアレンジし、従来のコストのかかる方式を避けながらも軽く繊細な動きを実現したもの。しかし、ダイアフラム自体は上級機と同じく非常に薄いフィルム(厚さは不明)が金蒸着されているということです。

またC2000Bは、C414などにも採用されているサスペンション・ホルダーが付属し、持ち手の付いた小振りのナイロン・バッグに収められて販売されます。マイク本体のルックスは、Cシリーズ共通のアルミ・ダイキャストのゴールド・ボディで、ウインド・スクリーンもかなり堅牢に造られています。側面にはローカット・スイッチ、PADスイッチがありますが、指向性は単一のみです。

全体のヌケが良く
クセの無いフラットな質感

ということで、ヒアリングをしてみます。このマイクの用途としては特に楽器の指定は無く、オールラウンドということなので、ピアノ、アコースティック・ギター、ボーカルでチェックしてみました。

まず、全体的な印象をチェックするためにダイナミック・レンジの広いアコースティック・ピアノにオンマイクで立ててみましたが、特定の周波数が強調されるようなことはなく、クセの無いフラットな音質というのが第一印象です。特に低域から中域にかけては全くフラットですが、高域は10kHz辺りから上が伸びている感じ。固い音ではなく自然でクリアな高域です。特性表を見ても10kHzをピークに山があり、経験上、実際の音と特性表が一致するマイクは少ないのですが、C2000Bは実際もその通りです。しかし、個人的な好みとしてはこのクセの無さがちょっと上品過ぎるように感じられ、もう少しピークの周波数を下げたチューニングにして音像がガチッとした力強い感じが欲しい気がしました。

次にアコギです。全体的にはやはり同じ印象ですが、ピアノのときよりもマイクが音源に近く(約20cm)、近接効果によるものか低音弦の鳴りはふくよかです。ストローク弾きの場合、高域はキラッとした気持ち良さがありますが、低域から中域にかけての分離がイマイチです。そこで、マイクをサウンド・ホール正面から少しヘッド寄りにずらしてみたところ、分離は改善されました。アルペジオやソロなどの単音弾きでは少々高域の細さが気になりますが、全体のヌケは良いと思います。ローカット・スイッチは、設定周波数が500Hzと比較的高いため、効果ははっきりと分かります。ONにすると、床からの振動や空調ノイズなどが低減されますが、音色にも結構影響するというキッパリした設定です。

最後にボーカルです。今回は女性ボーカルで試してみました。やはりほとんど脚色されることが無く、生で聴いている声に非常に近い感じです。マイクを通したときのキャラクターの変わり具合が気になる人にはお薦めでしょう。ただ、マイクから10cmくらいの所では低域もよく拾ってリアルな声になるものの、ボーカリストが下を向いたり少し離れたりすると低域が減少します。このマイクはコンデンサー・タイプの割には比較的、近接効果が大きいようで、オンマイク気味で使う方が本来の性能を発揮するのではないでしょうか。

録音対象を選ばない
使い勝手の良いマイク

それから、AKG独自の素材を用いたウインド・スクリーンであるため、ポップ・ノイズ(吹かれ)にめっぽう強く、ポップ・ガードは必要無いくらいです。

実はサウンド・チェック後マイクをバラシてみたのですが、何と! ダイアフラムに薄いスポンジが直に張りつけてあります。”こんなんアリか!?”と思ったのですが、高域がこれほど再生できているのですから何ら問題はないのでしょう。

入力感度も高く、C414と比べて約8dBほどプリアンプのゲインは低いところになります。また耐入力も高く、今回のチェックでは歪み感は全くありませんでした。ダイアフラム部の構造がその要因の1つで、ギター・アンプなどにもへたり/張り付きを気にせずに使えます。この点では、音量の小さな楽器から音圧のある楽器まで、対象を選ばずに使えます。

以上のようなことからこのC2000Bは、使い方をあまり気にしなくてよいので、1本のマイクですべてを録音するようなアマチュアの方にはお薦めでしょう。また、PAにもOKではないでしょうか。クセの無いフラットな音質というのは好みが分かれるところでしょうが、買ってみてガクゼンとすることは無いと思います。この価格帯のマイクなどはデモで借用することもままならず、買ってみて”ハズレた!”ということもありがちですが、C2000Bはそのようなことは無いでしょう。

AKG

C2000B

40,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■指向性/単一指向性
■感度/20mV/Pa(-34dBV)
■周波数特性/30Hz〜20kHz
■出力インピーダンス/200Ω以下
■ローカット/500Hz(6dB/oct)
■PAD/-10dBスイッチ
■最大SPL/140/150dB
■外形寸法/53(φ)×159(H)mm
■重量/325g

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