ディレイの絶対回数を指定できるマルチタップ・ディレイ

T.C. ELECTRONIC D.Two

REVIEW by 鎌田岳彦 2000年4月1日

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T.C. ELECTRONICから1Uサイズのデジタル・エフェクターが続々とリリースされていますが、コンシューマー用途も意識した低価格モデルM・OneとD・Twoの2機種が話題を呼んでいます。ここでは、ディレイ専用機であるD・Twoを取り上げて、その実力をチェックしてみましょう。

3つのモードと6つの付加機能で
多彩な効果を実現

D・Twoはステレオ仕様で、アナログ入出力はTRSフォーン・タイプのバランス・タイプ(当然アンバランスにも対応)。デジタル入出力はS/P DIFコアキシャルを標準装備しています。外部のデジタル機器との接続時は、もちろん外部のクロックに同期でき、インターナル・クロック使用時には44.1/48kHzのサンプリング・レートを選択することができます。

AD/DAは24ビットで、当然デジタル入出力も24ビット対応となっており、24ビット・デジタル環境でも威力を発揮します。デジタル出力には24ビット以外の環境を考慮してディザーも装備し、16ビット出力時に使用することができます。その他、MIDI(IN/OUT/THRU)とフット・ペダル入力端子も装備しています。

では細かい機能を見ていきましょう。D・Twoは基本的には下記の3つのモードで使用します。
●トラディショナル・モード:通常のフィードバックを持った基本的なディレイ
●ストレート・モード:ディレイのフィードバックの回数を具体的に指定できるモード
●リズム・モード:フィードバックにリズム・パターンを刻ませることができるモード

いずれもステレオ/モノの両方の入力で使用でき、モノ入力では最高10秒ものディレイ・タイムが使えます(ステレオ入力時は半分の5秒ずつ)。これはサンプリング・レートに関係なくこのディレイ・タイムです(ただしストレート・モード以外では最高ディレイ・タイムが機能によっては短くなってしまうこともあります)。

また、ディレイ以外にも以下のような6種類の付加エフェクトを装備しています。
●SPATIAL:L ch出力に±200msecオフセット・ディレイをかける。また選択したチャンネル(両チャンネルも可)の位相の反転が行なえる(ステレオ感のコントロールが可能)
●FILTER:ソースに対してかけられるハイカット/ローカット・フィルターと、フィードバックのみにかけられるハイカット/ローカットのフィルターを装備
●CHORUS:ディレイ成分を滑らかにするコーラス効果。スピード、デプス、フィードバックなどを細かく設定できる
●DYNAMIC:入力が特定のレベルを超えたときに、ディレイの出力を特定のレベルだけ落とす
●PINGPONG:テンポ(BPM)に合わせてパンニングするピンポン効果(トラディショナル・モード以外)を得る
●REVERSE:ディレイ成分を逆再生する機能。特定のレベルで働く設定や、特定の回数のディレイ音をリバースにするなど複雑な使い方が可能

24ビットによる高品位な音質と
優れた操作性が魅力

それでは、実際にコンソールにつないで音を聴いてみましょう。今回はアナログ入力(サンプリング・レート48kHz)で使ってみました。音はさすがに24ビットのAD/DA。音やせも感じられず、ディレイ成分もとてもガッツある音です。逆に昔のディレイ・サウンドのイメージがあるなら、「フィルターやコーラスなどを効果的に使わないと音がハッキリし過ぎて困っちゃう……」なんてことにもなります。デジタル入出力は、外部のクロックに音のキャラクターが影響されるので、一概に良しあしは決められませんが、クリアかつ高品位な音で、クオリティの高さがうかがえます。

エディットでのオペレーションは、各モードでの数値がフロント・パネルの液晶画面で、実に分かりやすく表示されているため、セッティングは比較的に簡単に行なえます。今のマルチエフェクターは、非常にシンプルなセッティングでも結構時間がかかったり、各数値がどんな設定になってるか分かりづらかったりしますからね。とても見やすく、エディットにはほとんどストレスを感じませんでした。

フィードバックは、0〜99まで設定できます。99では∞と表示され、無限ループになりますが、ディレイ内での発振はしないように設計されています。危険な音にならなかったのはちょっと残念でしたが、無限ループは結構使えるかもね! ディレイの絶対的回数が決められる点も便利です。今までなら数台のディレイが必要でしたからね。ボーカルやソロ楽器などではかなり使えると思います。ディレイの回数までフレーズの一部として考えるような使い方が考えられますね。

また、ストレート/リズム・モードは、BPMに合わせた設定も(MIDIシンク時のテンポにも設定可能)簡単に行なえます。エディット次第では、かなり複雑で凝ったサウンドになるので、シンセのパッドやギターなどではとても効果的でしょう。

過去にTC1210やTC2290などの名機を作ってきたメーカーらしく、今回チェックしたD・Twoもとても個性的で、かつ使いやすいエフェクターとなっています。実は同時期に発売されたM・Oneのフロント・パネルと、つまみの位置やサイズ、ディスプレイなどデザインが違っています。それぞれの使いやすさを第一に考えた結果ですね。低価格ながら、作り手のコンセプトが頑固に感じられるデザインです。マルチエフェクター全盛のこの時代に一本筋の通ったディレイ・マシン。ディレイをお探しの人には、ぜひ試してもらいたい1台です。

T.C. ELECTRONIC

D.Two

88,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■AD/DA/24ビット128倍オーバー・サンプリング
■サンプリング周波数/44.1/48kHz
■最大入力レベル/+24dBu
■最大出力レベル/+20dBu
■ダイナミック・レンジ/100dB(20Hz〜20kHz、アナログ入力)、104dB(20Hz〜20kHz、アナログ出力)
■全高調波歪率/<92dB(0.0025%)@1kHz(アナログ入力)、<94dB(0.002%)@1kHz(アナログ出力)
■周波数特性/20Hz〜20kHz:+0/−0.1dB@48kHz(アナログ入力)、20Hz〜20kHz:+0/-0.5dB@48kHz(アナログ出力)
■出力ディザー/HPF/TPDFディザー、24/20/16/8ビット
■外形寸法/483(W)×44(H)×195(D)mm
■重量/1.85kg

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