クリアかつ厚みのある低域が魅力の低価格コンデンサー・マイク

AKG C3000B

REVIEW by 三好敏彦(HAL Studio) 2000年2月1日

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AKGのコンデンサー・マイクの中でも安価で個性的な音を持つC3000が、新たにC3000Bとなって発売されました。両者の見掛けはほとんど同じですが、いろいろなところに改良が施されています。各社から安価なコンデンサー・マイクが数多く出回っている今日、しにせAKGはどんな製品を提供してきたのか、早速チェックしてみましょう。

頑丈なボディと便利なスイッチで
使い勝手がさらに向上

まずC3000Bの外観ですが、全体の大きさは旧型のC3000とほとんど同じですが、ウィンド・スクリーン部分の面積が広くなり、横にして見ると厚みも増しています。またスクリーン自体も丁寧で頑丈な作りになっています。小振りなボディはアルミ・ダイキャスト製で、多少のことではへこんだり壊れたりしないでしょう。色はゴールドが少し混ざったシルバーで高級感があります。

音の要であるダイアフラムは、旧型の2ダイアフラムからAKG本来の音に近い金蒸着6ミクロン厚の1インチ大口径ダイアフラムに変更されました。指向性はカーディオイドのみですが、−10dBのPADスイッチとローカット・スイッチも装備され、使用に当たり不便は無いでしょう。ただし、このローカットのカーブが少し気になります。500Hzからの6dBというカーブで低域がゴソっと無くなります。AKGのマイクは意外と低域が出るので、C414B-ULSなどを使用するとき私はいつも75Hzのローカットを入れるのですが、全体の感じを変えずに一番下の不要な低域のみをうまくカットしてくれるので非常に重宝していました。ですから250Hzまたは125Hzからのローカットだと、もっと使い勝手が良くなると思うので残念です。

電源はファンタム電源が必要で、コンソールやマイク・プリアンプからの供給となります。付属品にはサスペンション・ホルダー(H100)が付くようになりました。このホルダーは上位機種のC4000Bにも付いており、ワンタッチで装着できて外部振動も確実に抑えられる優れものです。

近年のAKGのポリシーが分かる
ザックリとした質感の音

今回はC3000Bと、AKGの定番マイクC414B-ULS、C12VRおよびC3000という計4本を用意して比較しながらチェックしました。まず出力ですがC414B-ULSより約10dBも高く、SPL(最大音圧レベル)も−10dBのPADを入れて150dBとかなり高いものです。結構大きな声でシャウトしても全く歪まず、これならドラム録りにも問題無く使用できます。ノイズもチェックした4本の中で一番低く、なかなか良い性能です。

最初にいろいろなCDをスピーカーから鳴らし、それをマイクで拾って聴いてみました。中低域に厚みがあり、しかも高域はクリアでしっかりした音です。全帯域にわたって変なピークも無く、音の立ち上がりも早くてパッと聴いた感じは非常に良い音です。旧モデルは中高域のピークに特徴がありましたが、全くその面影はありません。むしろ伝統的AKGサウンドのC414B-ULSを少し明るくして芯を出した感じです。力強さという点では4本中一番でしょう。

次にボーカルを試しましたが、これもクリアで大変リアルな音です。クリアと言っても硬い音とは違い、ベールを1枚取ったような音で、いかにも”ダイアフラムの感度が敏感”という感じです。高域はサシスセソなどの子音も出過ぎることもなくフラットに伸びています。低域は豊かですが、しっかりした音なので重苦しくなったりしません。全体的に滑らかな音ではないのですが、良い意味で砂地のようなザラっとしてザックリした質感があります。前回、上位機種のC4000Bをチェックしたときも全く同じ印象を受けたのを覚えています。レンジ的にはC4000Bの方が少し広かったように思いますが、素直さではC3000Bの方が上でしょう。この質感は声との相性が結構出るようで、合わない場合は少し音像が奥まってダークな感じになりますが、合う場合にはクリアでハイのヌケが良く、なおかつ大人っぽく落ち着いたトーンを得られます。

続いてアコースティック・ギターですが、ザックリして力強く音そのものが前に出る感じです。少し低域が多いのですがブーミーになることはなく、それが力強さにつながって良い感じです。試していて分かったのですが、マイクの距離によって結構音が変わるので、マイキングは慎重に行なった方が良いでしょう。離れて空気感が出るタイプではなく、こぢんまりしていき、反対に接近していくとリアルで力強い音になります。

最後にアンプを鳴らしてベースとエレクトリック・ギターを聴いてみました。ベースはNEUMANN的な中域の押し出しは無いものの、低域の感じは4本中一番良いです。音がやせることもなく、かといってモワつくこともありません。アンプの前で聴いている感じに一番近い音です。ギターのクリア・トーンではもう少し中域が張っていても良いと感じましたが、ディストーションにするとワイドで音に厚みがあり非常に気持ち良いです。

いろいろと聴いてみましたが、このマイクは”C3000のバージョン・アップ”というより”C4000Bのローコスト”版と言えるでしょう。ローコストとは言っても音質的に落ちているとは全く思いません。SolidTube、C4000B、C3000BというようにAKGが近年出してきたマイクには一貫した音があり、ポリシーを持ってこんな音にしたいという意気込みが感じられます。安価なマイクは必ずコストを落としたところが分かるものですが、C3000Bはダイアフラム、ボディ、サスペンション、etc……どれを取っても手を抜いたところが感じられません。なんでこの製品をこの価格で出せるのか不思議です。良いマイクか悪いマイクかと聞かれれば、間違いなく「素晴らしく良いマイク」と答えるでしょう。近年のAKGサウンドが気にいるか、気にいらないかだけです。取りあえず1度試していただきたい製品です。

AKG

C3000B

60,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■指向性/カーディオイド
■感度/25mV/Pa
■周波数特性/20Hz〜20kHz
■出力インピーダンス/200Ω以下
■ローカット/500Hz(6dB/oct)
■PAD/−10dB
■最大SPL/140dB(PAD使用時150dB)
■外形寸法/53(φ)×162(H)mm
■重量/320g

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