E4 Ultraシリーズの基本仕様を継承した低価格サンプラー

E-MU E5000 Ultra

REVIEW by 草間 敬 2000年1月1日

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E-MU Ultraシリーズの一番の兄貴分であるE4は1995年に発売され、現在でもサンプラーのトップ機種として好評を得ている。この5年間にコストダウン、CPUの高速化など着実な進化を繰り返し、現在はE4XT Ultraとなっているが、基本構造は不変だ。あらためて考えてみれば、E4 Ultraシリーズがいかに先進的なスペックを備えていたかがよく分かると思う。

今回発表されたE5000 Ultraも音のキャラクターを決める重要な部分はE4 Ultraシリーズのものをそのまま継承している。にもかかわらず値段は最高機種のE4XT Ultraの半分以下という驚きの低価格で、E-MUのサンプラーは高いからと敬遠していたユーザーにも手の届く価格帯になった。ここではまず、E-MUサンプラー・ビギナーの方のために”E-MUサンプラーは何が優れているか”を紹介してみよう。

芸術的なCD-ROMライブラリーと
高品質なAD/DAコンバーター

まずE4 Ultraシリーズの最大の魅力はEⅢシリーズから継承されてきたCD-ROMライブラリーが使用できることだろう。このライブラリーはいわゆる「楽器」として使うことのできるもので、これらを継承したProteusシリーズは一世を風靡している。しかし同じライブラリーのサンプルとは言ってもE4で鳴らす音は圧巻。”本物の楽器を使わず、サンプラーを使ってそれに匹敵する迫力を”という場合には間違いなくこのライブラリーを使うのがお薦めだろう。またファイル互換性も幅広く、AKAI S1000/1100/3000、ROLAND S700シリーズなどのほか、WAV、AIFFなどのサンプルも読み込めるようになっている。

そして、実際に試聴していただければ一発で分かると思うが、E4 Ultraシリーズの音は本当に豊かだ。以前、森岡賢さんのレコーディングのときに「サンプラーで音色作り大会」をしたことがあって(よくやるんですけど)、このとき僕はSampleCellの音をPro ToolsのI/Oで出して、彼のE4と比べっこしてみた。「これはもう好みで選ぶか」というくらいいずれも素晴らしい音で、E4の音はDIGIDESIGNの888 I/Oにも匹敵する(ときにはそれを凌ぐ)クオリティの高さを持っていると思った。これはE4のAD/DAコンバーターのクオリティの高さを示すものだろう。

最近はフレーズ・サンプリングが簡単にできて、それをいかに面白く加工するかという特徴が盛り込まれたサンプラーがたくさん発表されている。ハイ・クオリティなサンプル・ライブラリーやAD/DAコンバーターといった特徴は、今となっては凡庸に見えるかもしれないが、これらのすごさは本当にE4 Ultraシリーズ唯一無比のものだと思う。

またE4 Ultraシリーズはフレーズ・サンプリングなどに向いてないということはまったくなく、非常によく効くデジタル・フィルター、高機能な波形エディット、デジタル・リサンプリング、優秀なファイル管理機能など、むしろこの方面でも他社製品を超えている印象もある。加えてE4 Ultra以降はCPUにRISCプロセッサーが搭載され、操作が非常に高速になった。これでたくさんのサンプルを取り扱う場合にも表示画面の遅さでイライラすることもない。

シリーズの基本仕様を継承し
多彩なオプションで機能追加

ではE5000 Ultraは、どこをどのようにして低価格化を実現したのだろうか。これは下のスペック表を見ていただければ一目瞭然で、最大同時発音数が64音に限定されていること、アウトプット数が標準で4(最大で12)となっていること、そして拡張ROMスロットが2つになっていること以外は、ほかの機種との基本仕様はまったく変わっていない。

またオプション・ボードはE4 Ultraシリーズですべて共通になっているので、D-WAM(AES/EBU、ワード・クロック、ASCIIキーボード・インターフェース、+16ch MIDIエクスパンダー)、8in/16outのADATインターフェース、8アナログ・アウトプット・エクスパンダー、E-Synth Sound ROM、Orbit/Phatt Sound ROM、Flash ROMなど、さまざまなボードを後付けすることによって、自分の使用目的に合ったスペックにアップグレードできるようになっている。RAMも標準では4MBしか付いていないが、72pin SIMMスロットが2つあり、最大128MBまで拡張可能だ。

ついに国産の代表的なサンプラーたちと肩を並べるほど安価になったUltraシリーズ。まずエントリー機種であるE5000 Ultraを買って出音に感動しつつ、必要なオプションを付け足していくというのは非常に買い物上手な選択だと思う。

個人的なお薦めプランを2つ考えてみよう。最初RAMだけ増設しておき、デジタル・ミキサーなどと接続したくなったらD-WAM(60,000円)かADATボード(80,000円)を増設。これで10万円でおつりがくる値段でフル・デジタル環境に突入。

あるいはプリセット・サンプルが欲しくなったらE-Synth Sound ROMやOrbit/Phatt Sound ROM(各45,000円)を追加。これでE-Synthで好評のサウンドやOrbit、Planet Phattなどの音源モジュールと同じサンプルが即ロード可能になって10万円弱の買い物。うーん、どっちも安い。

E-MU

E5000 Ultra

198,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■AD変換/16ビット128倍オーバー・サンプリング
■DA変換/20ビット
■サンプリング周波数/アナログ:48/44.1/24/22.05kHz、デジタル:48/44.1/24kHz
■周波数特性/20Hz〜20kHz±1dB
■最大同時発音数/64ボイス
■メモリー/標準4MB[最大拡張時128MB]
■外部拡張スロット/3
■オーディオ出力端子/4(TRSフォーン)
■オーディオ入力端子/2(TRSフォーン)
■その他の接続端子/ヘッドフォン×1、MIDI IN/THRU/OUT
■内蔵シーケンサー/48トラック
■エフェクト/24ビット・ステレオ・エフェクト・プロセッサー
■外形寸法/435(W)×133(H)×336(D)mm
■重量/8kg

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