スタジオ用に焦点を絞って設計されたパワード・モニター

SONY SMS-2P RS

REVIEW by 宮原弘貴(DIGITAL MAGNET) 2000年1月1日

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最近、各メーカーから次々に新しいパワード・モニターが発売されています。そんな中でSONYのSMSシリーズは既に広く知られるパワード・モニターの1つでしょう。最初に発売されたコンパクトな1ユニット構成のSMS-1Pは、入力端子が豊富に用意され、トーン・コントロールやミキシング機能まで装備し、その音質と手頃な価格でかなりの人気機種になりました(私も自宅で使用していました)。次に発売されたSMS-2Pはバイアンプ駆動による2ウェイのパワード・モニターで、こちらもトーン・コントロール、ミキシング機能などを装備しています。そして今回のSMS-2P RSの登場になるわけですが、本機はSMS-2Pを基本にしながらもレコーディング・スタジオでの使用に焦点を絞り、さまざまな改良が施された2ウェイ、バイアンプ駆動のパワード・モニターです。

回路構成をシンプルにすることで
より高音質を実現

まず外観ですが、YAMAHA NS-10Mに比べるとひと回りほど大きい感じです。奥行きも結構あり、デスクトップに設置する場合などは注意が必要です。重量も1本当たり約14kgあり、このサイズのパワード・モニターとしては、割と重い方でしょう。フロント・パネルには電源のON/OFFを示すLEDとアンプのボリューム・コントロールが装備されています。リア・パネルにはバランス入力のためのXLRコネクターと、ピン、フォーンの合計3系統の入力端子があり、それらの入力を切り替えるスイッチが付いています(XLR入力時は2番HOT/3番HOTを切り替えられます)。その左側にはツィーター出力コントロールがあり、ツィーターのレベルを±2dBの範囲で調整できます。下側には電源スイッチとブレーカー・スイッチがあります。過電流に対する保護回路としてブレーカーを採用したことでヒューズ交換の手間などがなくなるので、これはポイントが高いと思います。また今までのSMSシリーズに装備されていたトーン・コントロール、ミキシング機能などは本機には装備されていません。回路構成をシンプルにすることで、より高音質を実現させようとしたためです。

ウーファーは口径16cmのコーン型を採用しています。最近のモニター・スピーカーはウーファーに合成プラスティックなどの素材を使ったものが多いので、コーンというのは今どき珍しいと言えるでしょう。ツィーターは2.5cmのドーム型を採用しています。クロスオーバー周波数は5kHzと高めに設定されており、これはボーカルのメロディ・ラインがツィーターとウーファーの間を行き来しないように設定されたとのことです。

アンプ出力はウーファー50W、ツィーター40Wになっています。ウーファー、ツィーター共にキャンセル・マグネットとシールド・カバーによる防磁処理がされているので、コンピューターのCRTディスプレイの横に設置しても問題ありません。

キャビネットはバスレフ型を採用しています。本機は共振や不要な箱鳴りをなるべく排除するようさまざまな工夫がされています。キャビネットの素材にはパーティクル・ウッドを使用し、フロント・バッフルには2枚のパーティクル・ウッドの間に制振材を挟み込んだ厚さ30mmのラミネート構造を採用しています。内部補強も徹底して行なわれており、これらが約14kgという重量につながっているようです。その他、バッファー・アンプとパワー・アンプの電源を独立化するなどさまざまな部分に細かな配慮が見られます。

各楽器の音をはっきりと確認でき
広がりや奥行きも自然に再現

では音質をチェックしてみましょう。比較に使ったのはスタジオの定番NS-10Mです。まず普段リファレンスに使用しているCDを聴いてみました。第一印象は、音の分かりやすいスピーカーだなあという感じでした。オケの中の各パートがはっきり確認でき、広がりや奥行きなどもうまく再現されています。特に低域の感じが良く、とてもタイトな印象です。この辺りはコーン型のウーファーとキャビネットの処理が、良い結果につながっているようです。バスレフ型ということもあり、もう少しモヤっとした感じを想像していたので意外でした。高域も耳障りなところはなく、素直に伸びている印象です。ただ、しばらく聴いているうちにボーカルが若干引っ込んで聴こえるように感じました。周波数特性表を見ると1.5kHzあたりにディップがあるので、その辺が影響しているのかもしれません。定位はおおむね良好なのですが、高域、例えばセンターに定位しているシンバルなどの定位が多少あいまいに聴こえました。ほかの帯域の定位感が素晴らしいだけに、惜しい気がします。

ツィーター出力コントロールによる音の変化を聴いてみましたが、可変範囲が±2dBということもあり劇的に特性が変化するというわけではなく、どちらかというと使用状況によって補正するという使い方がよいようです。スピーカー・ユニットの耐入力性は高いようで、スタジオでの使用にも十分対応できると思います。パワー・アンプに関してはもうちょっと効率が良ければなあと感じました。スピーカー・ユニットの耐入力性は高いようなので、アンプ部の効率が上がれば、もっと大音量のモニタリングにも対応できると思います。

本機は型番こそSMS-2Pとなっていますが、従来のシリーズとはその構造、音質からみて全く別物と考えてよさそうです。幾つかの不満点も挙げましたが、長時間の作業でも疲れることはなさそうなので、スタジオ・モニターとして十分魅力的な製品だと思います。

SONY

SMS-2P RS

65,000円(1本)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■形式/2ウェイ・バスレフ型
■使用ユニット/ウーファー:16cmコーン型(防磁型)、ツィーター:2.5cmドーム型(防磁型)
■公称インピーダンス/ウーファー:6Ω、ツィーター:6Ω
■エンクロージャー容積/約14リットル
■最大出力音圧レベル/107dB/m(VOL MAX、定格入力時)
■再生周波数帯域/48Hz〜20kHz±3dB
■パワー・アンプ出力/ウーファー:50W(EIAJ、6Ω負荷時)、ツィーター:40W(EIAJ、6Ω負荷時)
■ツィーター・レベル可変範囲/±2dB
■入力端子/XLR-3-31相当コネクター(2番HOTと3番HOTの切り替え可能)、ピン・ジャック、標準フォーン・ジャック
■定格入力(最大入力)/XLR:+4dBm(+30dBm)、ピン:−10dBm(+22dBm)、フォーン:−10dBm(+22dBm)
■外形寸法/239(W)×410(H)×331(D)mm
■重量/約14kg

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