NATIVE INSTRUMENTS Komplete Kontrol A-Seriesで始めるビート・メイキング

NATIVE INSTRUMENTS Komplete Kontrol A-Seriesで始めるビート・メイキング by Text:EGL、サウンド&レコーディング・マガジン編集部 Photo:北村勇祐 2018年12月25日

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多種多様な音源やエフェクト・プラグイン、それらと完全統合するハードウェア・コントローラー、DJツールまで開発しているNATIVE INSTRUMENTS(以下NI)。音楽制作プラグイン・パッケージの新バージョン、Komplete 12のリリースに続いて、多くのクリエイターから支持されているキーボード・コントローラーのKomplete KontrolにA-Seriesが加わった。既に発売されているKomplete Kontrol S-Seriesと同じくスムーズかつ高機能な操作性を持ちながら、よりシンプルなデザインとなり、価格を抑えたモデルだ。また、本体だけでなく多くのサウンド・コンテンツとDAWが付属しているのもポイントで、手に入れやすい価格ながら本格的な制作をすぐにスタートすることが可能になっている。今回、ビート・メイカーのEGL(イーグル)にA-Seriesと付属ソフトでトラックを制作してもらい、その実力に迫ってみた。

Komplete Kontrol A-Series

Specifications

▲Komplete Kontrol A-25

本体に備わったボタンやノブで、KompleteやNative Kontrol Standard(NKS)に対応したプラグイン、DAWのミキサーなどを直感的にコントロール可能なキーボード・コントローラー。USB MIDIキーボードとしても使える。新登場したA-Seriesは優れた操作性は維持しつつも、手に入れやすい価格を実現。9.7GBの豊富なサウンド・コンテンツ、Maschine Softwareも付属し、すぐに制作を始められるパッケージになっている。25鍵のA25、49鍵のA49、61鍵のA61の3モデルをラインナップ

Komplete Kontrol A25:17,408円
Komplete Kontrol A49:22,963円
Komplete Kontrol A61:29,445円

 

SPECIFICATIONS

【鍵盤】
独自開発のカスタム・キーベッドを採用したセミウェイテッド、25鍵(A25)/49鍵(A49)/61鍵(A61)

【接続】
USB 2.0、サスティン/エクスプレッション・ペダル用入力端子

【外形寸法】
A25:488(W)×89(H)x257(D)mm、A49:820(W)×89(H)×257(D)mm、A61:984(W)×89(H)×257(D)mm

【重量】
2.4 kg(A25)、4kg(A49)、4.7kg(A61)

 

REQUIREMENTS(Komplete Kontrol Software)

【Mac】
OS X 10.2以降、INTEL Core I5

【Windows】
Windows 10以降、INTEL Core I5または同等のCPU

【共通】
4GBのRAM(大容量のKontaktは6GBを推奨)、インターネット接続(ソフトウェアのダウンロードとアクティベートに必要)、OpenGL 2.1以降に対応するグラフィック・カード

【対応フォーマット】
スタンドアローン、AAX/AU/VST

 

Artist’s Impression:EGL

Profile:東京を拠点に活動するビート・メイカー/DJ。トラップやインダストリアル・テクノなどをベースとした楽曲が注目され、NEST HQのホームページにて紹介されるなど、世界でもその実力を評価されている。新EPの『MEMENTO』が配信中

 

豊富な付属ソフトですぐに制作がスタートできる

初めまして、DJ/ビート・メイカーのEGL(イーグル)です。普段は主にトラップなどのダンス・ミュージックを制作しており、ラッパーへビートの提供もしています。その制作の中で愛用しているのが、NATIVE INSTRUMENTS(以下NI)の製品たち。Komplete Kontrol S61とMaschine MK3のほか、Komplete 11も使っています。NI製品はハードとソフトの親和性が高いので、一度使うとなくてはならない存在となるのです。

そんなNIから、キーボード・コントローラーKomplete Kontrolの新モデル“A-Series”が発売されました。操作性の優れたコントローラー本体だけでなく、Maschine EssentialsやThe Gentleman、Monark、Reaktor Prism、Scarbee Mark Iなど、合計9.7GBに及ぶサウンド・コンテンツも付属。A-Seriesを買うだけですぐに音楽制作を始めることができる魅力的なパッケージです! 今回はこのA-Series、そして付属するソフトウェアを使用した筆者のビート・メイキングをお見せしたいと思います。

今回は25鍵モデルのA25を使用して曲を作っていきます。まず使うのはMaschine Essentials。名前にEssentialsと付いていますが、ドラム・シンセやサンプラーなどを内蔵したMaschine Softwareと1.6GBのFactory Libraryがセットになったものです。あとからフル・バージョンにアップグレードすることが可能ですし、Expansionsという拡張音源キットを追加購入していくこともできます。

 

エンコーダーで快適なブラウジング

ではMaschine Softwareを立ち上げ、ビートの音色を決めていきましょう。ここでA-Seriesの操作性の良さが早速体感できます。A-Seriesのトップ・パネルにあるBrowserボタンを押すと、4方向プッシュ式エンコーダーとMaschine Softwareのブラウザーがリンクし、素早くさまざまな音を切り替えて確認することができるようになるのです。Maschine Softwareにはサウンド・プレビューという機能があるので、プリセットを読み込まなくともすぐ再生/確認ができます。浮かんだアイディアを損なうことなく求めている音を探し出せるので、この機能はかなりの時間短縮になるでしょう。

▲A-Seriesは有機ELディスプレイを装備。プリセット名やパラメーター数値などが表示される

▲A-Seriesは有機ELディスプレイを装備。プリセット名やパラメーター数値などが表示される

▲トップ・パネル左上にあるエンコーダー。ダイアルを回す動きのほか、ジョイスティックのように上下左右のクリック、押し込みも可能だ。片手で簡単に音色のブラウジングなどが行える

▲トップ・パネル左上にあるエンコーダー。ダイアルを回す動きのほか、ジョイスティックのように上下左右のクリック、押し込みも可能だ。片手で簡単に音色のブラウジングなどが行える

 

今回は付属している160種類のドラム・キットの中からDae Trap Kitを選びました。Maschine Softwareにビートを打ち込んでいくのですが、私はいつも1つのパターン(DAWでいうと1つのトラック)でビートを組み上げるのではなく、1つの音色ごとにパターンを打ち込んでいきます。キック、スネア、ハイハット、クラップのパターンを幾つも作成し、どういった組み合わせが良いかを簡単に聴き比べることが可能なためです。

A-Series本体には8つのタッチ・センサー式コントロール・ノブがあり、読み込んだインストゥルメントやエフェクトに合わせて主要なパラメーターを自動的にマッピングしてくれます。画面で操作するよりも直感的に調整できますね。これはNative Kontrol Standard(NKS)という規格に対応したサード・パーティのプラグインでも可能です。筆者はキックのCompとDriveをノブで調整し、さらに力強い音に仕上げました。

▲A-Seriesのトップ・パネルにある8つのノブは、読み込んだインストゥルメント/エフェクトに合わせて自動的にパラメーターがアサインされる。タッチ・センサー式となっており、指で触れるだけで、そのノブにアサインされたパラメーターの数値が有機ELディスプレイに表示される

▲A-Seriesのトップ・パネルにある8つのノブは、読み込んだインストゥルメント/エフェクトに合わせて自動的にパラメーターがアサインされる。タッチ・センサー式となっており、指で触れるだけで、そのノブにアサインされたパラメーターの数値が有機ELディスプレイに表示される

▲ドラム・キットのDae Trap Kitを読み込み、A25のノブを使って音色を調整した。音色選びから調整まで、A25での操作で完結する

▲ドラム・キットのDae Trap Kitを読み込み、A25のノブを使って音色を調整した。音色選びから調整まで、A25での操作で完結する

 

ドラッグ&ドロップでビートをオーディオ化

次にベースを足していきます。A-Seriesに付属している物理モデリングのソフト・シンセReaktor Prismで、あまり主張の激しくないシンプルなFingered Bass2という音色を選びました。Reaktor Prismはユニークなプリセットがたくさん用意されていますが、カテゴリーを選択し、さらに絞り込んで好みのプリセットを簡単に探すことができます。この動作はすべてA-Seriesのディスプレイとエンコーダーで行えるので、いちいちコンピューター画面に目を向ける必要はありません。作ったビートを聴きながらベースのパターンを幾つか弾いていきます。鍵盤はNI独自開発のキーベッドが使われていて、程よい重さもあり、とても良いタッチです。

ここで作業の場をABLETON Liveに移動。筆者は最終的にLiveで曲を完成させているので、曲の土台ができた時点で今までMaschineで打ち込んだ音をすべてオーディオ・ファイルに変換します。Maschine Softwareはこの過程をスムーズに行える機能も装備。画面右端にある波形マークをクリックし、そのままLiveへドラッグ&ドロップすることで簡単にオーディオ・ファイル(AIFF/WAV)として張り付けることができるのです

ちなみにLive上でMaschineを起動し、MIDIでビートを組んだ状態で制作を進めていくこともできますが、筆者はMIDIよりもオーディオで作り進める方が得意なのでこのような手順を踏んでいます。ソフトウェアにはそれぞれ特性があるので、いいとこ取りをして自分に合った使い方を見つけると楽曲制作がさらに楽しいものになりますよ。

▲Maschine Softwareはドラム・シンセやサンプラーを内蔵し、シーケンサーやミキサー、エフェクトも備えているソフト。今回はビートとベース・ラインを打ち込んだ

▲Maschine Softwareはドラム・シンセやサンプラーを内蔵し、シーケンサーやミキサー、エフェクトも備えているソフト。今回はビートとベース・ラインを打ち込んだ

▲Maschine Softwareで打ち込んだビートは、波形マーク(赤枠)をデスクトップなどにドラッグ&ドロップするだけでオーディオ・ファイル(AIFF/WAV)化できる。DAWのトラックにドラッグ&ドロップして直接オーディオを張り付けることも可能

▲Maschine Softwareで打ち込んだビートは、波形マーク(赤枠)をデスクトップなどにドラッグ&ドロップするだけでオーディオ・ファイル(AIFF/WAV)化できる。DAWのトラックにドラッグ&ドロップして直接オーディオを張り付けることも可能

 

簡単にスケールやコードを演奏できるSmart Play

Liveにオーディオ・ファイルを張り終えたら、Komplete Kontrol Softwareを開きます。このソフトを一言で説明すると、NIおよびNKS対応の音源/エフェクト管理ソフト。A-Seriesと連携してくれるので、プリセットのブラウジングやパラメーターの調整もノブで簡単に操作できます。このKomplete Kontrol Softwareからインストゥルメント、そしてプリセットを選んで上モノを足していきましょう。

▲Komplete Kontrol SoftwareではNIのインストゥルメント/エフェクト、NKS対応のプラグインを一括管理できる。A-Seriesとも統合しているので、ボタンやノブを使って音色選びやパラメーター調整が可能だ

▲Komplete Kontrol SoftwareではNIのインストゥルメント/エフェクト、NKS対応のプラグインを一括管理できる。A-Seriesとも統合しているので、ボタンやノブを使って音色選びやパラメーター調整が可能だ

まずはA-Seriesに付属しているアナログ・モデリングのモノシンセ、MonarkからContinuoというプリセットを選び、少し調整して浮遊感のあるパッド音を作りました。そしてメインのメロディには、同じくA-Seriesに付属しているエレピ音源、Scarbee Mark IのDinner 4-2というプリセットを使用。1970年代を代表するエレクトリック・ピアノのアナログ感ある非常に温かいサウンドで、感傷的なものからファンキーなものまで、さまざまなメロディにマッチします。ここで活躍するのがSmart Playという機能。任意のスケールを鍵盤にマッピングしてくれます。スケールを白鍵のみに配置することもできるので、音楽理論が分からなくとも、指定したスケールの音から外れることなくメロディを弾くことも可能です。理論が分かる人でも新しいアイディアが生まれるきっかけになるかもしれません。筆者もSmart Playを駆使してエレピのメロディを考えてみました。

▲A-SeriesはSmart Playという機能に対応。トップ・パネル左上あるSCALEを押すことでScale Engineがオンになり、指定したスケールが鍵盤にマッピングされる。デフォルトでは指定スケール以外の音を弾いたときは発音されない。Easy Modeを選択すると、白鍵のみにスケールがマッピングされる。1鍵を押すだけで和音が演奏できるChord Modeも装備

▲A-SeriesはSmart Playという機能に対応。トップ・パネル左上あるSCALEを押すことでScale Engineがオンになり、指定したスケールが鍵盤にマッピングされる。デフォルトでは指定スケール以外の音を弾いたときは発音されない。Easy Modeを選択すると、白鍵のみにスケールがマッピングされる。1鍵を押すだけで和音が演奏できるChord Modeも装備

これでトラックはある程度完成です。ここからはパーカッション・サウンドや上モノを足したり、今までに解説した方法を用いて、より良いものに仕上げていきましょう。

A-Seriesはハードウェアでのコントロールならではの良さがあり、より感覚的に音楽を生み出していくことができます。操作性の高さは維持したまま、低価格を実現しており、音楽制作初心者も導入しやすいこともポイントですね。

本稿では紹介できませんでしたが、A-SeriesはDAWのトランスポートやミキサーもコントロールできます。現在はAPPLE Logic、GarageBand、ABLETON Liveのみの対応となっていますが、今後STEINBERG Cubase、Nuendoでも使えるようになるとのこと。この機能は普段S61で使用しているのですが、本当に便利ですよ。

まだまだ書き切れなかった機能や優れている点は山ほどあります。ぜひ店頭に足を運び実機に触れてみてください。

 

▲今回使用したアナログ・モデリングのモノシンセMonark、エレクトロニック・ピアノ音源のScarbee Mark I、物理モデリング・シンセのReaktor Prismのほか、アップライト・ピアノ音源のThe GentlemanもA-Seriesに付属している

▲今回使用したアナログ・モデリングのモノシンセMonark、エレクトロニック・ピアノ音源のScarbee Mark I、物理モデリング・シンセのReaktor Prismのほか、アップライト・ピアノ音源のThe GentlemanもA-Seriesに付属している

 

問合せ:NATIVE INSTRUMENTS Japan  www.native-instruments.com/jp/

 

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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年1月号より転載

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