Richie Hawtin(リッチー・ホウティン)が手掛けるフル・アナログのDJミキサー「Model 1」が日本で初公開!

レポート by 市原 泰介(サウンド&レコーディング・マガジン編集部) 2016年5月23日

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世界のトップDJであるリッチー・ホウティンと、ALLEN & HEATHのDJミキサーなどの開発を手掛けてきたアンディ・リグビー・ジョーンズが、新たに機材ブランド“PLAYdifferently”を立ち上げた。第1弾となるDJミキサー“Model 1”は2016年6月30日発売予定で、販売価格は約2,500ポンド(=約40万円)。PLAYdifferentlyのWebサイトにてプレ・オーダーが可能となっているが、すでに250台以上を受注しているという。現在、世界各地においてリッチー自身によるModel 1のデモンストレーションが行われており、日本でも去る5月20日、東京・渋谷のレコードショップ・テクニークにおいてゲリラ的に開催され、日本でいち早くその魅力を体感することができた。

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Model 1の仕様について

まず初めに基本的な仕様について確認しておこう。すべてアナログ回路で組まれたModel 1の主な入出力系統は、6系統のステレオ入力(そのうち3系統がフォノ/ライン切り替え可能)、2系統のステレオAUXセンド/リターン、マスター・アウト、ブース・アウトという構成。そして、ステレオ入力にはハイパス/ローパス・フィルター、周波数帯域が可変の“Sculpting EQ”(ー20〜+8dB)を搭載。また、マスター・アウトに3バンドEQとレゾナンス付ハイパス/ローパス・フィルター、マスター・ブースに2バンドEQを備えている。

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▲Model 1のトップ・パネル。リッチーによるアイデアがふんだんに盛り込まれている

ユニークなのはSculpting EQだけでない。ステレオAUXリターンを含むすべての入力に“アナログ・オーバードライブ回路”を搭載し、ひずみや倍音を付加できるように設計されている。また、ヘッドフォン・アウトを2つ備え、2人のDJが独立して任意のチャンネル信号をモニタリングすることができるなど、従来のDJミキサーには無い機能が多数盛り込まれている。インストア・イベント開始前のリッチーに、このModel1について話を伺った。

 

みんなが同じように使えるモノではなく

プロのためのDJミキサーを妥協せずに作りたかった

[通訳:伊藤勇気]

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▲Model1について語るリッチー・ホウティン。イベント前の忙しい時間にもかかわらずインタビューに快く応じてくれた

── Model 1を作るにあたって、どんなリクエストをされましたか?

リッチー Model 1では、まずDJミキサーで一番重要なサウンド・クオリティにこだわった。ここ最近のDJミキサーのように、オーディオ・インターフェースやエフェクターといった新しい技術が中心になると、製品の価格面を保つためにもそれ以外を省略せざるを得なくなる。だからModel 1では初めにサウンド・クオリティにこだわり、ひとつの楽器として扱えるように今までのキャリアを通して生まれたアイデアを全部詰め込んだんだ。
 
── 最近のDJミキサーはデジタル・プロセッシングが主流ですが、初めからフル・アナログでと考えていらっしゃったんでしょうか?

リッチー 実のところ、初めはデジタルとアナログのハイブリッドなモノも考えていたんだよ。しかし今の時代、レコードや、CD、コンピューターと、入力の段階でデジタルとアナログの音源が使われるのだから、最終的にそこは温かいアナログの音でまとめた方が良いだろうということになったんだ。

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▲「このModel 1は買ってすぐ本番で使うのはオススメできない。特別な仕様なのでまず一度練習して機材の特性を理解することが必要だ。楽器として扱って欲しい」とリッチーは語る

── EQの仕組みが新しいですね。

リッチー 今までのような3バンドEQから脱却することで、使い方次第でいろんな表現ができるようにしたかった。ハイパス/ローパス・フィルターを使えばロータリー・ミキサーのようなスムースなミックスができる。そしてSculpting EQでは、楽曲中で一番変化させたい周波数ポイントを見つけてカットやブーストができるんだ。

▲各入力チャンネルに実装されているSculpting EQ。周波数は70Hz〜7kHzまで可変できる

▲各入力チャンネルに実装されているSculpting EQ。周波数は70Hz〜7kHzまで可変する仕様

── DJミキサーには一般的にクロスフェーダーが装備されていますが、Model 1は省略されています。

リッチー テクノやハウスのDJでは必要ないからModel 1を作る初めの段階からクロスフェーダーを付けるという考えは無かったよ。クロスフェーダーを省略したことで、その結果スペースが広くなりいろんな機能を盛り込むことができたんだ。

 

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▲ノブのサイズは機能別に形やデザインが異なっている。ちなみに製造はALLEN&HEATHとライブ・コンソール・メーカーDIGICOが担当しイギリス国内で製造される

── リア・パネルにはD-Sub端子が搭載されていたり、スタジオ・ミキサーに近い仕様になってますね。これはプロ仕様を意識してのことでしょうか?

リッチー 市場に出回っているDJミキサーは一般の人が使えるように作られている。それらを自家用車で例えるとするならば、我々のようなプロフェッショナルなDJには、レーシング・カーのようなプロ仕様のDJミキサーが必要だったんだ。クラブやフェスで何千人、何万人を踊らせるためにね。そういうDJミキサーを作りたいという夢が実現できてとても満足しているよ。

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▲リア・パネルにはD-Sub 25ピンのが入力端子を2基、出力端子を1基搭載。さらにModel1のカスケード接続を可能とするD-Sub 9 ピンのMixer Link端子も搭載している

インタビュー終了後、インストア・イベントが開始。たくさんの来場者が集まり大いに盛り上がった。

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▲DJソフトはNATIVE INSTRUMENTS Traktor Pro 2、オーディオ・インターフェースはANTELOPE Orion 32+を使用。ABLETON Liveを併用しPush 2を使ってリズム・パートがリアルタイムに重ねられていく。各デッキの音源はD-Sub25ピン入力経由でModel 1の各チャンネルに送られていた。2台のALLEN&HEATH X:one K2はTraktor Pro 2のエフェクトをコントロールするために使用

DJプレイを終えた後、リッチーは冗談交じりで「このミキサーがあるからといって俺みたいなプレイができるとは思うなよ」と語り、来場者の笑いを誘った。

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※ Model1は、PLAYdifferently Webサイトのみで購入が可能。

PLAYdifferently
http://playdifferently.org/

TECHNIQUE
http://www.technique.co.jp/

オタリテック(機材協力)
http://www.otaritec.co.jp/

NEO created by OYAIDE ELEC.(機材協力)
http://www.neo-w.com/

 

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