Device01 シンプルなシンセサイザー by Katsuhiro Chiba

Maxで作る自分専用パッチ by Katsuhiro Chiba 2013年2月15日

基礎的な機能ブロックをつなぎ合わせることで独自のソフトウェアを構築できるCYCLING ’74 Max。現在ネット上では数え切れないほどのパッチがシェアされており、それらのプレーヤーとしても活用が可能です。ここでは最先端のプロフェッショナルが作成したクールなパッチを紹介。パッチのサウンドを試聴できるほかファイルをWebよりダウンロードして、新しい音楽の制作に役立ててください

Device01 シンプルなシンセサイザー by Katsuhiro Chiba

 

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Max(マックス)とは

サンレコの読者にはMax/MSPという呼び方の方が浸透しているかもしれませんね。CYCLING ’74 Maxは、もともとMIDIメッセージの処理を中心としたビジュアル・プログラミング環境としてスタートし、後にオーディオのリアルタイム処理を行う機能”MSP”を加えMax/MSPとなって、多くのミュージシャンに浸透しました。最近ではさらに映像を扱う機能”Jitter”も統合され、単に”Max”と呼ぶようになっています。ざっくり言えば、MIDIやオーディオや映像などを扱うソフトを作るためのソフトです。

ご存じのように、現代の音楽制作環境はソフト・ベースへの移行が進み、多くのミュージシャンがDAWをはじめとした音楽ソフトを利用して音楽制作を行っています。一方で既成のソフトではできない処理や、一般的な音楽制作方法とは異なるアプローチで作曲を行いたいといった場合、それに適した独自のソフトが欲しくなります。しかし、音楽を作ることとソフト開発は別の話で、両方をこなすというのはなかなか難しいことです。

そこで登場するのがMaxです。Maxはプログラミングの専門家でなくとも、比較的容易に素早くソフトを開発できるよう、後述する”パッチ”というプログラミング方式を採用しています。

ミュージシャン向きのパッチ式プログラミング

Maxの最大の特徴は、何と言っても直感的なパッチ式プログラミングにあります。パッチとは、単純な機能を持った部品である”オブジェクト”を”パッチコード”でつないでいくことで、目的の機能を作り上げていくしくみです。とにかく実際のパッチを見ていただきましょう。

まずはpatch1(上の画面:左)です。440という数字が入っている部品は数値パラメーターのオブジェクトで、自由な値をセットすることができます。[cycle~]はサイン波オシレーターです。スピーカー・マークのオブジェクトは音の出口=DAコンバーターで、クリックすることでパッチのオーディオ処理の開始/停止を行う役割も持っています。となると、Maxを全く知らない方でも想像がつきそうです。このパッチは任意の周波数のサイン波を出力するものです(聴力検査ソフトと言い張ってもよいです)。

続いてpatch2(右)はもう少し複雑な例です。[notein]はMIDIノート情報を受信し、[stripnote]はノート・オン情報だけを通過させます。[+ 7]は(ご想像通り)7を加え、[mtof]はノート・ナンバーを周波数に変換します。[saw~]はノコギリ波オシレーターで、[line~]はここではエンベロープと考えていただいてよいです。細かい疑問はさておき、このパッチもある程度シンセサイザーの知識を持っている方であれば、何となく想像がつくかもしれません。これはMIDIキーボードで演奏できるごく簡単なシンセの例ですが、ひとつ仕掛けがあり、ステレオ出力になっていて右チャンネルからは5度上の音が出ます。Maxのパッチがいわゆる”モジュラー・シンセ”と似ているということも、お分かりいただけるかと思います。

このようにMaxは、ミュージシャン自身がソフトを作って使うこと、言わば”音楽ソフトのDIY”を現実的なものにします。Maxで作成できるのは、シンセやエフェクター、シーケンサーのようなものはもちろん、自動作曲のたぐいや実験的な音響合成などなど、まさにアイディア次第。

昔から、自作あるいは改造した楽器やハードウェア機材を使って演奏や制作を行うミュージシャンはいますが、そういったワンオフの楽器や機材がほかでは代用できないこだわりの音や何かに特化した利便性といった価値を持つように、Maxで作成されるソフトもまた独自の価値を持ち得ます。もちろん、既成のソフトでカバーできないことを行いたいのであれば、自分自身で作るほかはありません。そのような目的で行うソフトのDIYを強力に支援してくれるのが、Maxなのです(と言いますか、DIYは単純に楽しいです!)。

ファイル(maxpatch1.zip)のダウンロードはこちらから!

 

 

KatsuhiroChiba.jpgKatsuhiro Chiba

【Profile】電子音楽家。デジタル音響処理に精通しMax/MSPのスペシャリストとしても知られる。2003年、サンプル・ループを主体としたラップトップ・インプロビゼーションのためのソフトウェア「cyan/n」を制作。自らこのソフトを駆使したライブ活動をスタート。楽曲制作/ライブ・パフォーマンスに用いるソフトウェアから徹底して手掛けることで、独自のサウンドを追求する

 

 

CYCLING ’74 MaxはMI7 STOREでオーダー可能

問合せ:エムアイセブンジャパン
http://www.mi7.co.jp/

 

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