Device07 キーボード入力でライブ・パフォーマンス! by 首藤陽太郎

Maxで作る自分専用パッチ by NOEL-KIT 2013年7月12日

基礎的な機能ブロックをつなぎ合わせることで独自のソフトウェアを構築できるCYCLING ’74 Max。現在ネット上では数え切れないほどのパッチがシェアされており、それらのプレーヤーとしても活用が可能です。ここでは最先端のプロフェッショナルが作成したクールなパッチを紹介。パッチのサウンドを試聴できるほかファイルをWebよりダウンロードして、新しい音楽の制作に役立ててください

Device07 キーボード入力でライブ・パフォーマンス! by 首藤陽太郎

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▲パッチ外観(プレゼンテーション・モード)

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▲パッチ内部(パッチング・モード)

 

 

グワシャアァァァっときてドーン!

前回のNOEL-KITに続いて、今回はDUB-Russell首藤が担当させていただきます。今回は僕たちがライブで使っているパッチですが、紹介に入る前に、普段僕たちがライブで何をしているのかを簡単に説明すると、2台のラップトップにそれぞれのMaxパッチを立ち上げて、7割即興で演奏しています。

僕が“キキキキ”と音を出すと、NOEL-KITがすかさず“アガナガッガ”と反応し、さらにそれらの音を加工してフィードバックさせることで“グワァシャァ!”と高まった辺りで“ドーン!”とビートを出し、その上にさらに“ビシャァアァ!”をかぶせて“エギギゲゲ!”となる、ほぼ足し算のスタイルです。

ライブ中はシーケンスやエフェクトをすべてリアルタイムで構築するのが難しい場面もあるため、エフェクトのパラメーターやシーケンスなどをある程度パッチにプリセットしておいて、ラップトップのキーボードを触ることで大きな展開を付けられるようにしています。

前置きが長くなってしまいましたが、いよいよそのライブ用パッチの解説にいきたいと思います。ファイルを開いたら、まずは何も考えずにスペース・キーを押してください。しばらく再生してみて、次の展開が欲しくなってきたら“d”キーを押してみてください。フィードバック量が上がって“キュアァアァン”と鳴っているはずです。そのまま10秒ほどその状態をキープしていると、きっと体がビートを欲しているかと思います。

僕は焼肉を食べる際はライスを欠かしたくない方ですが、お店によっては機が熟すまでライスをじらされるところもあり、ハラハラしながらハラミをジュビビと焼いていることがよくあります。そして今、同様に体が欲しているのがビートです。もう我慢ができない!というタイミングで“u”キーを勢いよく“ターンッ!”と押してみてください。そうです。待ちに待ったビートが鳴り出しました。いつかイベントへお越しいただいた際には、ここで元気に“ヒュゥー!”と言っていただけるとうれしいです。そして流れているビートに少し飽きてきたころに“b”キーを押して展開を作ります。今まで鳴っていたサンプルの再生方法が変わり、アグレッシブで複雑なビートを奏でるようになります。もちろん、このループとビートは任意のサンプルを読み込めるようになっています。

パッチの構造

以上のように、このパッチではラップトップのキーボード入力を用いて簡単なライブ・パフォーマンスを行えるようになっています。Maxでキーボード入力を扱う場合、[key]オブジェクト(キーボードを押したときに動作)や[keyup]オブジェクト(押していたキーボードから手を離したときに動作)が使用できますので、今回は[key]オブジェクトと[sel]オブジェクトで“d” “u” “b”とスペース・キーを検出し、各要素につないでいる[preset]オブジェクトに保存されたパラメーターを呼び出しています。

音源はサンプル・スライサーが2つあり、これらは[buffer~]オブジェクトにロードされたループを細かく切り、通常再生、逆再生、グラニュラー再生の3種類の方法で、順番を並び替えつつ再生を行っています。エフェクトは、流れてきた音を細切れにするグリッチ・エフェクトと、ディレイ、リバーブ、EQを実装。作り方的に少し面白いのはグリッチ・エフェクトで、このエフェクトはディレイの応用で作られています。ディレイ・エフェクトは[tapin~][tapout~]などを用いて実装しますが、[tapin~ 10000]のようにms 単位の数値を引数としてオブジェクトを作成すると、引数で指定した値の時間分、入ってきた音声をメモリーに保持します。○秒前の音を出し続けるとディレイ・タイム○秒は普通のディレイとして働きますが、そのディレイ・タイムをゴチャゴチャといじってあげると、指定した秒数前の音までさかのぼれるリアルタイム・サンプリング・バッファーとして自由に扱うことも可能です。

こうしたエフェクトを最終段に入れると、グラニュラーやスクラッチなど、お好みの方法で出音をコントロールできます。

 

 

 

ファイルをダウンロードするshuto_patch

 

shuto首藤陽太郎

【Profile】DUB-Russellでは主にビートを担当。音に対する単純な興味からMax/MSPを用いたサウンド・プログラミングに注力。SonarSound Tokyoに出演したほか、ジェフ・ミルズなどのリミックスも手掛ける。 www.dubrussell.com

 

CYCLING ’74 MaxはMI7 STOREでオーダー可能

問合せ:エムアイセブンジャパン
http://www.mi7.co.jp/

 

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