Device 20 規則的な挙動を繰り返すサンプル・ルーパー by ima

Maxで作る自分専用パッチ by ima 2016年3月25日

基礎的な機能ブロックをつなぎ合わせることで独自のソフトウェアを構築できるCYCLING ’74 Max。現在ネット上では数え切れないほどのパッチがシェアされており、それらのプレーヤーとしても活用が可能です。ここでは最先端のプロフェッショナルが作成したクールなパッチを紹介。パッチのサウンドを試聴できるほかファイルをWebよりダウンロードして、新しい音楽の制作に役立ててください

Device 20 規則的な挙動を繰り返すサンプル・ルーパー by  ima

 

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▲パッチ外観(プレゼンテーション・モード)


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▲パッチ内部(パッチング・モード/パッチ全体)

 

 

 

予測可能と予測不能のギリギリのライン

美しい音楽は、センスやテクニック、経験などさまざまな要素が絡み合って作られるものだと思います。しかし、その結果が物理学的に解析できるのであれば逆算もできるのではないか、というのがMaxに手を出したきっかけの一つです。また、Maxはリアルタイムで結果を確認しながら作業できるので、逆算で自分の感性に近付けていくという要領の悪い発想に対しても、直感的に作業できるツールだと思います。

今回紹介する[2d.wave~]を利用したサンプル・ルーパーは、規則的で数学的な挙動を繰り返すため、ある意味でMax的でないと感じられるかもしれません。ですが、このパッチのように完全なランダムではなく、予測可能と予測不能のギリギリのラインで構築するループには、特異なグルーブが宿ると思っています。[2d.wave~]についての詳細は割愛しますが、簡単に言えば波形を分割して再生位置を決定(y軸)し、任意のピッチで再生(x軸)するオブジェクトです。このパッチでは、x/y軸ともに三角波をシグナルとして与えることで再生範囲を折り返しながら再生し、通常の再生と逆再生を交互に繰り返すパッチとなっています。

操作方法は、“open”で任意のサンプルを選択し、波形上をドラッグして再生範囲を決めます。そして“start”をクリックもしくはスペース・キーで再生を開始します。再生範囲の選択方法は、波形右下の“mousing help”をクリックするとクリック以外の方法が確認できます。次に“rows”で波形の分割数を決定します。“bpm”は出力するループの長さを決めるための要素で、設定したBPMにはまる長さでループ再生します。“pitch”は半音単位でx軸のシグナルの速さを調整します。次に、波形右側の“power”と下側の“triangle point”で、再生位置を決定するy軸シグナルの挙動を変更します。最後に、右下の“hi-pas”ノブで低音を調整してください。特に“rows”を大きくし過ぎて低音が膨らんでしまった場合などに有効です。また、デフォルトでは同一フォルダー内に入っているアコースティック・ギターと具体音を合わせたサンプルが読み込まれますので、パッチ起動後すぐに再生しても音が鳴るようになっています。

パッチの構成

このパッチは、極力シンプルな操作で制御するために、操作できる各パラメーターに連動してさまざまな要素を計算しています。まず、パッチングモード内“control”では、読み込んだサンプルの長さ、“rows”、“bpm”、波形の選択範囲、2本のスライダーの数値から、出力するループの長さ、x/y軸に与える[phasor~]の周波数、読み込んだサンプルのピッチを基準にした半音単位でのピッチ・シフト、y軸に与える三角波の形状を変化させるための計算などをしています。y軸については、各スライダーの動きによってシグナルがどのように変化しているかが分かりやすいように[scope~]を用意しましたので、確認してみてください。またy軸のシグナルを[cycle~]や[rand~]に変えても面白い効果が得られると思いますので、いろいろ試していただければと思います。

“sample playback”では“control”で算出した各数値でサンプルを再生しています。x/y軸に与えている[p
hasor~]が折り返す際の不要なノイズを取り除くため、[cos~]を使ったハン窓でボリュームを調整し、3つの[2
d.wave~]を[pong~]でずらして再生しています。

最後に“playback position”についてですが、[2d.wave~]にtest waveという名前の波形(0.から1.に真
っすぐ伸びる波形)を格納し、“sample playback”と同じ条件で再生することでその挙動を可視化しています。

このパッチは、フィールド・レコーディングなどの具体音でも、コード感のあるアルペジオを使っても、元素材の雰囲気を生かしたまま全く違うものに変化させることができ、なおかつ手動でのカットアップでは難しいような結果が得られますので、Maxユーザーでない方にも素材録りなどで活用していただければと思います。

 

 

ファイルをダウンロードする→ima.2dlooper

 

artistima

【Profile】京都在住の電子音楽家/ギタリストmakoto kataokaによるソロ・プロジェクト。一貫してアコースティックな素材をプログラミングにより複雑な音響へ昇華した作品を発表している。shrine.jpなどからアルバムをリリースしているほか、自身のWebサイトではMaxパッチを多数無料配布。Route09とのノイズ・ビート・ユニットA.N.R.i.としても活動している。

http://imanone.net/

 

CYCLING ’74 MaxはMI7 STOREでオーダー可能

問合せ:エムアイセブンジャパン
http://www.mi7.co.jp/

 

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