Device04 アンビエントな4chルーパー by 原 摩利彦

Maxで作る自分専用パッチ by 原 摩利彦 2013年5月7日

基礎的な機能ブロックをつなぎ合わせることで独自のソフトウェアを構築できるCYCLING ’74 Max。現在ネット上では数え切れないほどのパッチがシェアされており、それらのプレーヤーとしても活用が可能です。ここでは最先端のプロフェッショナルが作成したクールなパッチを紹介。パッチのサウンドを試聴できるほかファイルをWebよりダウンロードして、新しい音楽の制作に役立ててください

Device04 アンビエントな4chルーパー by 原 摩利彦

ScreenShot_PresentationMode
▲パッチ外観(プレゼンテーション・モード)

Screen_Shot_PatcherMode

▲パッチ内部(パッチング・モード)

 

オーディオをBPMから解き放つ

初めまして、原 摩利彦と申します。僕がMaxを購入したのはバージョン4のときですが、プログラミング能力に乏しい僕でも何とかやっているうちにパッチが組めるのが、Maxの素晴らしいところ! 体当たりのパッチングをいつも楽しんでいます。さて今日は、静かなライブ・セット(アンビエント・セット)のときに使用しているパッチを公開したいと思います。このパッチは4chのルーパーで、“シンプルな機能でいかに音楽を作るか”がテーマになっており、選択したフォルダーの中からオーディオ・ファイルを選び出し、ループさせるというものです。それぞれのチャンネルには、元のサウンド・ファイルに対して、4/5/8度(オクターブ)ピッチを下げられるようにしてあります。

使い方は、“Select folder”をクリックしてフォルダーを選び、[umenu]からオーディオ・ファイルを選ぶだけです。デフォルトではピッチは元ファイルのままになっています。オーディオ・ファイルを選んでから音量フェーダーを上げてみてください。“Fade In”の[bang]をクリックすると、自動でフェード・インすることもできます。ピッチの変更は、[bang]をクリックすることで可能ですが、それ以外のピッチにしたい場合は[flonum]に直接数値を入力してください。またこのパッチでは、リバーブなどVSTプラグインを読み込めるようにしています。

チャンネルごとに別のオーディオ・ファイルを再生してプレイするのもよいですが、個人的には、1つのオーディオ・ファイルをピッチを変えて重ねることをお勧めします。ピアノの断片など

はとても効果的。さまざまなオーディオ・ファイルで試してみてください。ピッチを変えることで再生速度が変わり、BPMから自由になったオーディオ・ファイルが組み合わさって思わぬフレー

ズを生み出すことがあります。またフィールド・レコーディングを素材に使うのも面白いです。今回のサンプル音源にはピアノのオーディオ・ファイルと、とある地域の夕方の町内放送を含むフィールド・レコーディングを使いました。

 パッチの構造

パッチの構造は、基本的に再生部、ミキサー部に分けられます。フォルダー選択部分はカプセル化しており、[p select ]をダブル・クリックすると中を見ることができます。

再生部分は[groove~]を使用しています。[groove~]は1というシグナルを受けると通常の再生をし、1オクターブ下げて再生させるには0.5を送ります。同様に4度、5度下げるにはそれぞれ0.75、0.6666を送っています。また[groove~]の第3アウトレットは、読み込んだバッファーの再生位置に応じてシグナルの数値を出力するので、その値を元に[zmap]でスケーリング。[slider]に入力し、[waveform~]と同じ幅にしてくっつけることで、オーディオ・ファイルの再生位置が分かるようにしています。

ミキサー部には、各チャンネルにミュートとフェード・インの自動ボタンを用意しています。またすべてのチャンネルを一斉に操作するようにしています。MIDIコントローラーの接続などを付け加えて操作性を高めたり、パンをランダムに動かしたりしてもよさそうですね。

このパッチを作るきっかけは、昨年の京都・法然院での演奏でした。鳥や虫の声、風など自然の音が豊富な中で、どのような音を出せばよいのか、という問題意識からパッチを組み始めました。限られた機能の中で、“これだ!”という音を出すのは難しいですが、制約の中で生まれる“良い音”はまた違った音であるような気がします。単なるループの重なりであったとしても、うまくいくと永久に聴いていられるような(!?)音を作ることができます。実際このパッチで作った音は、僕がプロジェクト・メンバーとして参加した『CHROMA』の中でも使われています。

パッチはある目的を持って書くものですが、同時に自分が何を求めているのかを問いながら進めていくので、作曲を見つめ直す1つの方法としても、Maxは有効だと思っています。

ファイルのダウンロードをする(maxpatch4.zip)

MarihikoHara_Portrait_Flora_2013原 摩利彦

【Profile】はら まりひこ。京都大学教育学部卒業。複数のアルバムを国内外よりリリースし、ダムタイプ高谷史郎演出作品『CHROMA』や伊勢谷友介監督『セイジ』のサウンドトラックなどに参加。音楽を担当した短編映画『コロンボス』(監督:カワイオカムラ)はロカルノ国際映画祭やロッテルダム国際映画祭などで上映された。2013年4月11日、最新アルバム『Flora』(night cruising)をリリース。www.marihikohara.com

 

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