Device 13 新しいフレーズを生成するシーケンサー by lycoriscoris

Maxで作る自分専用パッチ by lycoriscoris 2014年10月10日

基礎的な機能ブロックをつなぎ合わせることで独自のソフトウェアを構築できるCYCLING ’74 Max。現在ネット上では数え切れないほどのパッチがシェアされており、それらのプレーヤーとしても活用が可能です。ここでは最先端のプロフェッショナルが作成したクールなパッチを紹介。パッチのサウンドを試聴できるほかファイルをWebよりダウンロードして、新しい音楽の制作に役立ててください

Device 13 新しいフレーズを生成するシーケンサー by lycoriscoris

slys_presentation

▲パッチ外観(プレゼンテーション・モード)


slys_patch

▲パッチ内部(パッチング・モード)

 

ファイルをダウンロードする→slys

 

素材を16分音符で切って組み替える

5年ほど前、コンパクト・エフェクターやミキサーを使った音遊びがそのままコンピューター上でできるようにならないかと、また今までとは違う新しい音が作りたいと考えていたころにCYCLING ’74 Maxと出会いました。Maxユーザーの中にはそれだけで作曲/ミックスまで完結してしまう人もいますが、僕のような普段プログラミングをしない作曲家にとっても扱いやすく、素材作りにも非常に便利な環境だと思います。また一般的なプログラミング環境と違い、Maxは実行しながらリアルタイムに編集できるので、 思い付いた機能をその場で直感的に増設できるデバイス制作が可能なところも魅力です。
今回は僕が素材作りに使っているパッチを紹介したいと思います。このパッチは、8小節の音素材を16分音符で切り分け、新しいパターンに組み替えてループさせるシンプルなステップ・シーケンサーです。8小節の素材であれば、それがビートであってもシンセ・パッドであっても、BPMや素材の長さ/音色も関係なく16分音符で切り取り、並び替えてくれます。同じ機能を備えたシーケンサーが全部で3つあり、3種類の素材を入れることができます。
“BPM”を動かすと、それに伴って各チャンネルの再生速度が変わります。“1”のときが通常スピードで、“2”が倍速、”0.5”が半分です。またMIDIコントローラーを持っていない人でも遊べるように、キーボードで制御可能な設計にしてあります。どこのキーが何に対応しているかはパッチ内に記載しています。
シーケンス・パターンの並び替えは下に3つ並んでいる階段のようなマルチスライダーで行います。デフォルトの状態では、シーケンスは元素材をそのまま再生するのですが、このマルチスライダーを動かすことでパターンが変わります。例えばすべてのスライダーを0にしてしまえば、元素材の1小節を16に分解した最初の音が16分音符刻みで連打されます。なお、マルチスライダーで変化させられるシーケンス・パターンは1小節分のみで、2小節目以降の刻み方は1小節目と同じパターンが適用されます。
波形のどの部分が再生されているかは中央に表示される波形で分かるようになっています。その右下にある白いボタンはマルチスライダーを初期値にリセットでき、その左の数値は先述した現在の再生速度です。この再生速度を変えると、[buffer~]に入っている素材のBPMにより、この値も変化します。注意していただきたいのは、BPMの異なる音程がある素材を入れると、それぞれのキーが変わってしまうため、音程のある素材を使う際はBPMを合わせるか、ビートやSEなどを使ってみてください。しかしそういったことにとらわれない方が、かえって面白い音が作れたりします。

パッチの構造

デバイスのエンジン部分になっているのは、[counter]と[multislider]です。[multislider]が[counter]から[fetch]を通り整数を受け取ると右アウトレットからスライダー番号の値を出力します。[info~]を使い、[buffer~]内のサンプル素材の長さから16分音符の時間を検出しており、それにスライダーから出力された値をかけることでサンプル素材のどを再生させるか決め、[groove~]によって[buffer~]内の音を再生しています。
シーケンスの継ぎ目でクリック・ノイズが出るのを避けるため、先ほどの値を[p EG]内の[line~]に送ることで16分音符の長さを基準にしたエンベロープを作っており、アタックやリリースを削れるようになっています。また現在のBPMを[info~]で検出したサンプル素材のBPMで割った数字を[sig~]に送ることで、BPMに合わせて素材のピッチ(再生速度)も変化します。
パッチを作るとき、僕はいつもわくわくしながら未知の音を探しています。突き詰めると、とんでもないことまでできるMaxですが、僕ら作曲家にとっても、やはり最高のツールだと思います。ありがとうCYCLING ’74!

 

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【Profile】音楽家。バンド活動を経て電子音楽の制作を開始。これまでに1枚のEPと2枚のフル・アルバムをリリース。DOMMUNEや2.5D、渋響、EMAF 2013などに出演し、2012年には上海などを巡る中国ツアーを行う。生演奏やプログラミング、サンプリング、カセット・テープなどを駆使しながらも、一貫してデジタル時代を逆行するかのようなオーガニックな音像を追求している

 

CYCLING ’74 MaxはMI7 STOREでオーダー可能

問合せ:エムアイセブンジャパン
http://www.mi7.co.jp/

 

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