Blacklolitaが使う「FL Studio」第1回

ミュージシャンが使うFL Studio by Blacklolita 2018年1月30日

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All Plugins Bundleの名シンセ
Harmorで生み出すニューロベース

初めまして、Blacklolitaです。普段は都内で音楽制作をしながら、シンセのプリセット制作やクリエイター向けのサンプル開発を行ったり、ベース・ミュージック中心のDJとしても活動しております。このたび、音楽制作に使っているIMAGE-LINE FL Studioについて連載のお話をいただいたので、書き進めていこうと思います。

 

 

ステレオ感とうねりのある音を作り
フィルターやフェイザーで加工

今回は、FL Studio All Plugins Bundleに含まれているシンセHarmorを使った音作りを紹介します。Harmorは、現在よく使われているサード・パーティのシンセXFER RECORDS SerumやNATIVE INSTRUMENTS Massiveにも引けを取らない、モンスター級のソフト・シンセ。出音が奇麗かつ、ほかのシンセに比べてつややかで、光沢感のある音が作れます。ここではドラムンベースなどに使われている“ニューロベース”(Neurobass)の作り方を、Harmorを用いて解説。なおAll Plugins Bundle以外のグレードをお使いの方は、beatcloud(beatcloud.jp)にて追加購入の必要があります。

▲倍音加算/減算合成ハイブリッド・エンジンを持つHarmor。画面左上にオシレーター、右上にフィルター、右下にエンベロープ・ジェネレーターなどを装備

▲倍音加算/減算合成ハイブリッド・エンジンを持つHarmor。画面左上にオシレーター、右上にフィルター、右下にエンベロープ・ジェネレーターなどを装備

 

ニューロベースは、アタック感がありつつ、一つ一つの音がピッチ・ダウンするベース・サウンドです。制作の大まかな流れは“基本となる音色の作成→エンベロープ・ジェネレーター(以下、EG)の設定”という形になります。

フラットな状態から音作りを進めていくために、まずはプリセットのDefaultをロード。これですべてのパラメーターが初期化されます。次に画面左上のTimbreというセクションにご注目。2つの波形が読み込まれていますが、MIXノブを右いっぱいに回して完全な矩形波にしましょう。それから画面中央部のUnison。ステレオ感とうねりを出すために、ユニゾン本数を指定するorderの値を8にします。このパラメーターはかなりマシン・パワーを使うので、重いと感じた方は4でも構いません。そして隣のpanの数値を、デフォルトの75%から55%に変更。これは左右の広がり具合を調整するものですが、広げ過ぎてもぼやけた質感になってしまうので、今回は55%とします。そして位相ズレの具合を調整するphaseも、50%から25%に落として広がりを抑えておきます。

▲画面左上に2つの波形とMIXノブがある。そのほか本文で触れたUnisonは右下に位置

▲画面左上に2つの波形とMIXノブがある。そのほか本文で触れたUnisonは右下に位置

 

次にフィルター・セクションに移ります。デフォルトではフィルター1のF1にCrude low passとLowpass、フィルター2のF2にCustom shape 2が2つロードされています。僕は音作りするとき、基本的にフィルターの動かし方によってキャラクター付けを行っています。数値1%の違いがカッコいいか否かを決める大事な要素となるので、皆さんも時間をかけてみてはいかがでしょうか。

まずF1にPhaser、F2にClassic low passをそれぞれロードしてください。そしてENVというパラメーターの値を、F2側のみ50%に設定。これは後にアサインするEGのかかり具合を決めるものです。次にPhaserフィルターのQ幅を調整するF1のwidthを85%に設定。ここでは85%とかなり広く設定していますが、小さくすると面白い響きになるので、お好みで調整してみましょう。

▲フィルター・セクションは、画面上側のF1と下側のF2の計2系統で、それぞれで2種類ずつのフィルター・タイプが選択可能。今回はF1にロードしたPhaserとF2のClassic low passのみを使用している。エンベロープ・ジェネレーターのかかり具合は、画面左のENVノブで調整できる(赤枠)

▲フィルター・セクションは、画面上側のF1と下側のF2の計2系統で、それぞれで2種類ずつのフィルター・タイプが選択可能。今回はF1にロードしたPhaserとF2のClassic low passのみを使用している。エンベロープ・ジェネレーターのかかり具合は、画面左のENVノブで調整できる(赤枠)

 

続いてはFREQの設定。これはフィルターのカットオフ周波数で、自在に制御できるようになれば、よりオリジナリティにあふれた音を作ることが可能です。まずはF1のFREQを23%、F2を39%に設定。これらは後にEGでコントロールします。以上でフィルターの設定は終了。

フィルターの下にはPhaserというセクションがあります。名前の通りフェイザーのセクションで、僕自身ベースを作るとき以外にもよく使っており、Harmorのつややかな音色にかなりマッチします。今回はまずMIXを79%、WIDTHを41%、speedを56%に設定。MIXとWIDTHは、後にEGでコントロールします。

▲フィルターのすぐ下にあるPhaserセクション。MIX(原音とのバランス)とWIDTH(左右の広がり)に後ほどエンベロープ・ジェネレーターをかける

▲フィルターのすぐ下にあるPhaserセクション。MIX(原音とのバランス)とWIDTH(左右の広がり)に後ほどエンベロープ・ジェネレーターをかける

 

 

ディストーションとコンプをかけて
ひずみとソリッドさをプラス

続いてはエフェクトの設定に移ります。画面の下半分にあるFXタブをクリックしてみてください。Distortion、Chorus、Delay、Reverb、Compressionというエフェクトが並んでいると思います。今回はニューロベースということで、若干ひずんだ感じにソリッドさを加えたいので、DistortionとCompressionを使ってみましょう。

▲FXセクションの全体。画面左からグローバル・コントロールのGlobal、Distortion、Delay、Chorus、Reverb、Compressionが並ぶ。今回はGlobalのpreフェーダーを80%まで上げて、エフェクトのかかった音よりも原音が大きく出るようにしている(赤枠)

▲FXセクションの全体。画面左からグローバル・コントロールのGlobal、Distortion、Delay、Chorus、Reverb、Compressionが並ぶ。今回はGlobalのpreフェーダーを80%まで上げて、エフェクトのかかった音よりも原音が大きく出るようにしている(赤枠)

 

Distortionは、今回Sincrushというタイプを使います。パラメーターの設定は、かかり具合を示すamtを40%、波形の正負対称性を調整するasymを負の方に61%、ミックス・バランスのwetを80%、ローパス・フィルターのFilterをマックス近くまで上げます。次にCompressionは、全4タイプの中からBurningを選択。ほかに比べると音がパキッとして前に出てくるような、軽いコンプレッションが得られるのでよく使っています。

▲Distortionの設定。ひずみのタイプは画面右側のプル・ダウン・メニューから選ぶことができ、今回は全7種類の中からSincrushを選択している。このDistortionもCompressionもかなり音が変わるエフェクトなので、“気持ち変わる”程度にかけるのがコツ

▲Distortionの設定。ひずみのタイプは画面右側のプル・ダウン・メニューから選ぶことができ、今回は全7種類の中からSincrushを選択している。このDistortionもCompressionもかなり音が変わるエフェクトなので、“気持ち変わる”程度にかけるのがコツ

 

 

2つの波形のバランスやフィルター
ピッチなどをEGでモジュレート

続いては、今回一番重要なEGの設定に移ります。先のFXタブの並びにあるENVタブを押して、EGを表示させましょう。EGで複数のパラメーターにモジュレーションをかけることで、独創的なサウンドに仕上げられます。今回は“アタック感のあるピッチ・ダウン・サウンド”がテーマなので、“数値がマックスから0に戻るような動き”を意識しながらカーブを作成。長さは1小節分にします。

まずはTimbreのMIX(2つの波形のバランス)にEGをアサイン。これにより矩形波からノコギリ波へ移り変わるような、うねりのあるサウンドに近付きます。F1とF2のFREQ(2つのフィルターのカットオフ)には、異なるEGをアサイン。ローパス・フィルターのF2は、最初はフィルター全開でエグみのある音を出しつつ、しつこさが残らないようフェード・アウトさせています。PhaserセクションのMIXとWIDTHにもアサイン。音色のテーマに基づき、最初はマックスで後半にかけて0へ向かうようなカーブを描きます。そして最後にpitchにも設定。ピッチ・ダウン感を決定付けるパラメーターです。

▲2つのオシレーター波形のミックス・バランスに時間的な変化を加えるためにかけたエンベロープ・ジェネレーター

▲2つのオシレーター波形のミックス・バランスに時間的な変化を加えるためにかけたエンベロープ・ジェネレーター

 

▲ローパス・フィルター・カットオフへのエンベロープ・ジェネレーター

▲ローパス・フィルター・カットオフへのエンベロープ・ジェネレーター

 

▲PhaserセクションのWIDTH(左右の広がり具合)をモジュレートしているエンベロープ・ジェネレーター。音の出だしには広がりがあり、後半にかけてモノラルっぽくなっていくよう設定している

▲PhaserセクションのWIDTH(左右の広がり具合)をモジュレートしているエンベロープ・ジェネレーター。音の出だしには広がりがあり、後半にかけてモノラルっぽくなっていくよう設定している

 

▲音高は、画面のエンベロープ・ジェネレーターで後半にかけてピッチ・ダウンするよう設定。今回使用したHarmorは、FL Studio 12 All Plugins Bundle(99,990円)に標準搭載されており、FL Studio 12 Signature Bundle(パッケージ版:31,000円)、FL Studio 12 Producer Edition(24,000円)、FL Studio 12 Fruity Edition(12,800円)のユーザーは別途購入の必要がある。Signature Bundle以外はbeatcloud(https://beatcloud.jp/)でダウンロード購入可

▲音高は、画面のエンベロープ・ジェネレーターで後半にかけてピッチ・ダウンするよう設定。今回使用したHarmorは、FL Studio 12 All Plugins Bundle(99,990円)に標準搭載されており、FL Studio 12 Signature Bundle(パッケージ版:31,000円)、FL Studio 12 Producer Edition(24,000円)、FL Studio 12 Fruity Edition(12,800円)のユーザーは別途購入の必要がある。Signature Bundle以外はbeatcloud(https://beatcloud.jp/)でダウンロード購入可

 

 

以上で、Harmorによるニューロベースが完成しました。来月はこのニューロベースとFruity Granulizerを組み合わせた一歩先を行く音作りを解説する予定です。

 

FL Studio シリーズ・ラインナップ

FL Studio 12 All Plugins Bundle(99,990円)
FL Studio 12 Signature Bundle(パッケージ版のみの販売:31,000円)
FL Studio 12 Producer Edition(24,000円)
FL Studio 12 Fruity Edition(12,800円)

<<<Signature Bundle以外はbeatcloudにてダウンロード購入可能>>>

 

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