Noahが使う「FL Studio」第2回

ミュージシャンが使うFL Studio by Noah 2017年9月1日

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Channel Samplerを活用した
クリエイティブなオーディオ編集

こんにちは、Noahです。前回は、楽曲制作の取っ掛かりである“ループの作り方”について解説しましたが、実は一度作ってからブラッシュアップし、より良いものにするという工程があるのです。今回は、その方法を紹介したいと思います。ループの制作は、私にとって曲作りの肝になる、とても大事なプロセスです。なぜなら、それによって曲の全体的な方向性や、どんなグルーブのリズムを乗せるのかが決まってくるからです。ループのブラッシュアップに活用しているのは、FL Studioのチャンネルに標準搭載されているサンプラー“Channel Sampler”。これを使ってサンプルをバリエーション豊かに鳴らし、いろいろな可能性を探りながらより心地の良いループにしていきます。

 

 

ピッチ・シフトを利用して
音質の変化を得る

Channel Samplerは、プロジェクトにオーディオ・ファイルを読み込ませると、チャンネルにデフォルトで立ち上がります。サンプルのボリューム・エンベロープやピッチ、フィルターやLFOなどのさまざまなパラメーターをコントロールできるので、これだけでも幅広い音作りが可能です。またピアノロールを併用すれば、ノートの打ち込みもスムーズに行えます。

 

▲Channel Samplerでは、この画面にあるようにボリューム・エンベロープやLFOの各種パラメーターなど、さまざまな要素を調整できる

▲Channel Samplerでは、この画面にあるようにボリューム・エンベロープやLFOの各種パラメーターなど、さまざまな要素を調整できる

 

サウンド・メイキングにも通ずる部分なのですが、私はたびたび、好きな音を作ったり集めたりしたのに、ループにして聴いてみるとどうもしっくりこないと感じることがあります。そんなときは、サンプルのピッチを変えて遊んでみます。なぜなら、ピッチを変えると、それに伴って音質も変化するからです。

Channel Samplerの中にはキーボードのグラフィックを表示させることができ、任意の鍵盤を右クリックすると、そのノートが主音になります。主音はデフォルトでC5に設定されているので、例えばG5を右クリックすれば、そのときに鳴らしているサンプルのピッチを半音7つ分上げることが可能。気軽にいろいろなピッチを試すことができ、場合によっては個性的でインパクトのある音に変わったり、ループへ自然に溶け込むような音になることもあります。とても手軽なので、楽器やボーカル素材だけでなく、リズム隊にも頻繁に使っています。

 

▲キーボードのグラフィックで、主音をG5に設定したところ(赤枠)。任意のノートの鍵盤を右クリックすれば、それが主音になる

▲キーボードのグラフィックで、主音をG5に設定したところ(赤枠)。任意のノートの鍵盤を右クリックすれば、それが主音になる

 

ただしピッチを下げ過ぎると、ひずみが目立ってくることもあるので、“それも味”と感じられる程度にとどめておいた方が良いときもあります。ピッチ・シフトに関連するパラメーターとして、Precomputed effectsセクションにある“POGO”を使うことも。動かすとベンド・ダウンの効果が加わり、面白い響きが得られます。

 

▲Precomputed effectsセクションのパラメーター“POGO”(赤枠)。サンプルにピッチ・ベンドの効果を与えることができる

▲Precomputed effectsセクションのパラメーター“POGO”(赤枠)。サンプルにピッチ・ベンドの効果を与えることができる

 

 

“Stretch”モードに設定し
ピッチを維持したまま長さを調整

Channel Samplerの“CROSSFADE”というパラメーターを動かすと“Use loop points”(=読み込んだオーディオをループ化する機能)が有効になり、キー・オンの間のみサンプルがループ再生されるようになるので、それを聴きながらコードやメロディを奏でられます。MIDIキーボードなどで演奏情報をレコーディングして、生のベロシティやタイミングを取り入れるのも良いかもしれません。シンプルなループ・ミュージックの場合は、そういったちょっとした変化があるだけでも良いアクセントになり、曲が生き生きするような気がしています。

 

▲CROSSFADEのツマミ(赤枠)を回すとUse loop points(青枠)が有効になり、ロードしたサンプルをループ再生できる。スタート/エンド・ポイントの設定も可能で、ループ範囲は赤く表示される(黄枠)

▲CROSSFADEのツマミ(赤枠)を回すとUse loop points(青枠)が有効になり、ロードしたサンプルをループ再生できる。スタート/エンド・ポイントの設定も可能で、ループ範囲は赤く表示される(黄枠)

 

Channel Samplerではタイム・ストレッチを行うこともでき、私は主にサンプル全体の長さを変えたいときに使っています。サンプルの波形自体を引き伸ばしたり縮めたりできるのですが、デフォルトの状態では、長さと同時にピッチも変化します。そんなときは、Time stretchingセクション内のModeタブから“Stretch”を選択するとピッチを維持しつつ長さだけを変えられるようになります。このStretchモードは、ループの雰囲気はそのままに細かく尺を調節したいときに使えるほか、アンビエントのパッド音などの長い持続音を作りたいときにも活躍します。先述のピッチ・シフトと同様に、調整の度合い(ストレッチ幅)によってはかなり音質も変わるので、邪道な方法と言えるかもしれませんが、私はその音質変化をサウンド・メイキングの手法の一つとして活用しています。

 

▲Time stretchingセクション内のModeタブから“Stretch”を選択しているところ(赤枠)。これを選ぶと、サンプルのピッチを維持したまま長さだけを変えられるようになる

▲Time stretchingセクション内のModeタブから“Stretch”を選択しているところ(赤枠)。これを選ぶと、サンプルのピッチを維持したまま長さだけを変えられるようになる

 

 

複数のChannel Sampler間で
面白い効果が得られるCut/Cut by

Channel Samplerの機能で一番のお気に入りは、“Cut/Cut by”です。使用するときはまず、当該セクション下部にある“Cut self”ボタンをクリック。するとChannel Samplerに番号が付き、CutとByのそれぞれに表示されます。ここの設定で、サンプルを連続して鳴らした際、最初に鳴った音の余韻が後に鳴った音のアタマで止まり(=カットされ)、音が重複して団子状態になるのを防げるのです。同様に、ほかのChannel SamplerにもCut selfボタンで番号を付けます。その上でCutとByの番号を任意のChannel Samplerのものに設定すると、異なるサンプル同士で音をカットしたり、カットされたりするように設定することができます。

 

▲Groupセクションにある機能Cut/Cut by(赤枠)。セクションの下の方にあるCut selfボタンを押すと、“Cut”と“By”の両ウィンドウにそのChannel Samplerを表す数字が表示される。Cutは“音の余韻をカットされるChannel Samplerの番号”、Byは“カットするChannel Samplerの番号”なので、双方に同じ数字が出ているときはそのChannel Samplerのサンプル同士で“カットする/される”の関係が生じる。結果、サンプルの連続トリガー時に余韻が重複しないのだ

▲Groupセクションにある機能Cut/Cut by(赤枠)。セクションの下の方にあるCut selfボタンを押すと、“Cut”と“By”の両ウィンドウにそのChannel Samplerを表す数字が表示される。Cutは“音の余韻をカットされるChannel Samplerの番号”、Byは“カットするChannel Samplerの番号”なので、双方に同じ数字が出ているときはそのChannel Samplerのサンプル同士で“カットする/される”の関係が生じる。結果、サンプルの連続トリガー時に余韻が重複しないのだ

 

ポピュラーな使い道として、ハイハットなどに施せば、クローズド・ハイハットがオープン・ハイハットを止めるときの“チー・ッ”といった効果を得られます。また、リリースの長いサンプルがキックやスネアのタイミングでスパッと止まるよう設定すれば緩急が付き、グッと完成度が上がります。私はコード感のあるミュージカル・パートにも積極的にCut/Cut by設定を施し、余分な部分をすっきりさせてグルーブ感を際立てるようにしています。

 

▲Channel Sampler(8番)のクローズド・ハイハットでChannel Sampler(9番)のオープン・ハイハットの余韻をカットしているところ(赤枠)。なお、今回フォーカスしたChannel SamplerはFL Studio 12 All Plugins Bundle(99,990円)、FL Studio 12 Signature Bundle(パッケージ版:31,000円)、FL Studio 12 Producer Edition(24,000円)、FL Studio 12 Fruity Edition(12,800円)に共通の仕様。Signature Bundle以外はbeatcloud(beatcloud.jp/)にてダウンロード購入可能だ

▲Channel Sampler(8番)のクローズド・ハイハットでChannel Sampler(9番)のオープン・ハイハットの余韻をカットしているところ(赤枠)。なお、今回フォーカスしたChannel SamplerはFL Studio 12 All Plugins Bundle(99,990円)、FL Studio 12 Signature Bundle(パッケージ版:31,000円)、FL Studio 12 Producer Edition(24,000円)、FL Studio 12 Fruity Edition(12,800円)に共通の仕様。Signature Bundle以外はbeatcloud(beatcloud.jp/)にてダウンロード購入可能だ

 

FL Studio シリーズ・ラインナップ

FL Studio 12 All Plugins Bundle(99,990円)
FL Studio 12 Signature Bundle(パッケージ版のみの販売:31,000円)
FL Studio 12 Producer Edition(24,000円)
FL Studio 12 Fruity Edition(12,800円)

<<<Signature Bundle以外はbeatcloudにてダウンロード購入可能>>>

 

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