モンスターストライク リミックスで目指す次世代クリエイター 【第5回】プロ直伝のリミックス・テクニック

モンスターストライク リミックスで目指す次世代クリエイター by Text:サウンド&レコーディング・マガジン編集部 2019年4月25日

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スマートフォン向けアプリ“モンスターストライク”(以下、モンスト)の楽曲をリミックスする“【XFLAG公式】リミックスコンテストvol2”が開催中だ。今回は、課題曲「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」のアレンジを行ったSHADOW OF LAFFANDORと、お手本リミックスを手掛けたHΛLに、制作のこだわりを聞いていこう。

音源はこちらからチェック!

 

モンスターストライクとは?

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世界累計利用者数4,900万人(2018年12月時点)を突破したスマートフォン向けアプリ。ゲームの内容はシンプルで、自分のモンスターを指で引っ張り、敵のモンスターに当てて倒していくというもの。最大4人までの協力プレイが可能となっており、強い敵や難しいクエストも協力してプレイすることにより突破することができたり、1人で遊ぶよりも多く報酬が得られたりするのも魅力の一つだ。【XFLAG公式】リミックスコンテストvol.1の課題曲「モンスターストライクメインテーマ」をはじめ、多くの楽曲を作曲家の桑原理一郎が手掛けている。

 

SHADOW OF LAFFANDOR

▲SHADOW OF LAFFANDOR。左から矢内景子、近谷直之

▲SHADOW OF LAFFANDOR。左から矢内景子、近谷直之(Photo:八島崇)

課題曲「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」は、アプリ内のBGMを矢内景子と近谷直之から成るSHADOW OF LAFFANDORが、幕張メッセで行われたイベント“XFLAG PARK2018”内のステージ“XFLAG SYMPHONY”用にリミックスしたものだ。原曲のシンフォニックなテイストを残しつつもさらに荘厳にアレンジし、トラップの要素も取り入れている。

 

オーケストラ×トラップで“半歩先”を表現

近谷 アレンジするにあたって3つのポイントを設けました。まず、原曲はテンポが速くきらびやかだったので、テンポを落として重厚な雰囲気にすること。次に、オリジナリティを出しつつも、原曲のフレーズをしっかりと使うこと。そして、矢内のボーカルを入れることです。

矢内 モンストのユーザーなら誰もが知っている象徴的なメロディを、ボーカルで表現したかったんです。なのでボーカルの録り音にはこだわりました。マイクは普段から愛用しているNEUMANN M49を使っています。M49のビンテージ感がアレンジにも合うかなと思ったのも選んだ理由の一つですね。

近谷 プリアンプはNEVE 1272、コンプレッサーはADL 1000を使用し、リバーブはUNIVERSAL AUDIO UAD-2 EMT 140、Lexicon 224、VALHALLA DSP Valhalla VintageVerbの3つを使い分けました。奇麗に神聖な感じで響くように意識して処理をしましたね。

矢内 ストリングスもNEUMANN U67とNEVE 1073を使って生で録り直したものと、シンセを混ぜています。

近谷 SPITFIRE AUDIO Spitfire Symphonic Stringsがメインですね。生と比べて、音源はかなり立ち上がりが遅くなってしまうので、コントロールするのが非常に難しいのですが、Spitfire Symphonic Stringsでは立ち上がりがうまく表現できました。速いフレーズとレガートで音を変えたりしていますね。

矢内 また、“半歩先を見せる”というのも一つのテーマだったので、ビートにはトラップを取り入れているんです。

近谷 奇麗なオーケストラとトラップが合わさっている曲をあまり聴いたことがなかったので、テーマに添って組み合わせてみました。また、原曲よりもテンポを落としているのですがスピード感は欲しかったので、トラップ特有の16分音符で刻むハイハットが合うかなと思ったんです。SPLICE SOUNDSのサンプルを使用しており、音の処理はEQで調整した程度ですね。僕らがオーケストラとトラップを組み合わせたように、応募者の皆さんにもいろいろチャレンジしてほしいです。リミックスコンテストvol.1の際に、こんなにもリミックスのバリエーションがあるのかと感動したので、今回も期待しています。

矢内 ボーカルは真ん中にくるものだとどうしても思ってしまいがちですが、それを取り払ってどんな面白いものが作れるかということに挑戦してもらえたらうれしいです!

 

▲今回のリミックス素材にもなっている矢内のボーカル録りで使用したNEUMANN M49。矢内はM49を日ごろから愛用しており、今回も「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」の雰囲気に合った厳かな音で録れるのではないかと考え使用したという

▲今回のリミックス素材にもなっている矢内のボーカル録りで使用したNEUMANN M49。矢内はM49を日ごろから愛用しており、今回も「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」の雰囲気に合った厳かな音で録れるのではないかと考え使用したという

 

▲ボーカルのレコーディングで使用したコンプレッサー、ADL 1000。初期ロットのものだそうで、調整を施した上で今回のレコーディングに用いたという

▲ボーカルのレコーディングで使用したコンプレッサー、ADL 1000。初期ロットのものだそうで、調整を施した上で今回のレコーディングに用いたという

 

▲楽曲の後半で聴こえるブラスは8DIO Cage BrassとSPITFIRE AUDIO Spitfire Symphonic Brassを合わせたものだ。「Cage Brassは派手な音ですが、映画音楽にも対応するので前に出過ぎることなく、奥行きを演出できます。気付かないけど実は支えている、厚くなったみたいな感じですね」と近谷

▲楽曲の後半で聴こえるブラスは8DIO Cage BrassとSPITFIRE AUDIO Spitfire Symphonic Brassを合わせたものだ。「Cage Brassは派手な音ですが、映画音楽にも対応するので前に出過ぎることなく、奥行きを演出できます。気付かないけど実は支えている、厚くなったみたいな感じですね」と近谷

 

HΛL

▲HΛL

▲HΛL

作曲/編曲/サウンド・プロデュースなどを行う梅崎俊春のソロ・プロジェクト、HΛL。今回は、伸びやかなボーカルを前面に押し出した壮大なバラードと、ノイジーなギターやひずんだベースのリフが印象的なブレイクビーツという対極的な2つのパートを巧みに組み合わせたアレンジとなっている。

 

一手間を掛けてみることで個性が出てくる

 HΛLはもともとブレイクビーツが得意なユニットだったんです。元のアレンジがシンフォニックだったので、ギャップを出した方が面白いかなと思いこのアレンジになりました。
 もう一つのテーマが、もともと持っていた自分のサンプルと今回の課題曲をどう合わせるかという点でした。なので、ひずんだギターも2000年代に作ったサンプルなんです。制作した当時、MOTU Digital Performerにギターを取り込むという手法を採用していました。ファズのコンパクト・エフェクターを試しにかけてみたところノイジーではあったのですが、Digital Performerに取り込むといい具合になじんだんです。最近のクリエイターさんは一つのDAWに頼っている傾向にあると思うのですが、2000年代の僕がやっていたような一手間を試してみてほしいですね。こだわる部分を変えてみると、その人の個性が出てくると思いますよ。
 また、ベースのリフも2000年代当時のサンプリングなんです。ベースはひずませるとどうしても音が細くなってしまうので、WAVES MaxxBassをかけて低域を足しています。使い慣れていることもあり、何Hzを上げるとどうなるというのが直感的に分かるのが良いですね。
 メインのボーカルは、AVID Focusrite D2やCompressorⅡ、WAVES Renaissance Axx を使い、オケとなじませることを最優先にしました。後ろで聴こえるボーカルにはAVID Cosmonaut Voiceをかけて、ラジオ・ボイス風にしたりしていますね。
 今回新しく打ち込んだものの一つに中間部のクロス・ディレイがかかったピアノがあります。フィードバックを少なめにすることで、ほかの音と干渉しないようにしていますね。音色はROLAND XV-5080に入っているエコー・ピアノを使用しました。多少エディットはしますけど、ほとんどプリセットそのままの音ですね。非常に優秀なサウンドです。そのほかXV-5080は、1コードのシンセなどでも活躍しています。XV-5080の拡張用SRXカードの中には正弦波に近い音で、アタックが少し速いパッドが入っているんです。これは僕の定番パッドで今回も活躍しており、そこにプラグイン・エフェクトでステレオ感を付加したり、リバーブを深めにかけたりしていますね。
 応募者の方には、まずは自分がやりたいものをジャンルにとらわれずに想像して、闇雲でも構わないのでやってみるということ、それから自分が思い描いているものにどう近付けていくかということに挑戦してほしいですね。

 

 

▲ボーカルにはAVID CompressorⅡとWAVES Renaissance Axxを使用している。タイプの違うコンプレッサーを二重にかけることで、独特のニュアンスが出せるそうだ

▲ボーカルにはAVID CompressorⅡとWAVES Renaissance Axxを使用している。タイプの違うコンプレッサーを二重にかけることで、独特のニュアンスが出せるそうだ

 

▲HΛL愛用の音源モジュール類。上からE-MU Vintage Keys、ROLAND XV-5080、JV-2080、JV-1080となっており、今回のリミックスでもXV-5080のエコー・ピアノなどが使われている

▲HΛL愛用の音源モジュール類。上からE-MU Vintage Keys、ROLAND XV-5080、JV-2080、JV-1080となっており、今回のリミックスでもXV-5080のエコー・ピアノなどが使われている

 

 

▲音源で聴こえるパルス波はARTURIA Minimoog V(現Mini V)のものだ。HΛLはモジュレーション・ディレイをダブリングのように使用し、音の広がりを演出したという

▲音源で聴こえるパルス波はARTURIA Minimoog V(現Mini V)のものだ。HΛLはモジュレーション・ディレイをダブリングのように使用し、音の広がりを演出したという

 

 

締切まであとわずか! 【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2

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モンストをはじめとしたサービスを手掛けるミクシィ内のXFLAG スタジオが、“サウンドクリエイターが集まり相互に交流し刺激し合う場を作りたい”という想いのもと、“【XFLAG公式】リミックスコンテストvol2”を開催。リミックスの課題曲は「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」だ!

 

「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」をリミックス

矢内景子(SHADOW OF LAFFANDOR)のボーカル素材を必ず使って、リミックスを行うことが条件。ピッチの変更やタイム・ストレッチ、カットアップなど素材のエディットは自由だ。さらに音源の長さやテンポにも特別な制限は無い。思う存分アレンジをしよう。

 

優秀作品は日本コロムビアより配信リリース

REMIX JUDGES(審査員)12組それぞれが選んだ優秀作品12曲は、日本コロムビアよりコンピレーション・アルバムとしてデジタル配信される。さらに、REMIX JUDGESと受賞者でのミーティング・イベントも開催予定だ。

 

リミックス音源を特設サイトにアップロード

応募作品は24ビット/44.1kHz以上のWAV形式で、下記URLからアップロードする。素材のダウンロードやお手本リミックス音源、そのほか詳細な情報もこちらに記載されているので参照してほしい。

 応募締め切りは2019年5月13日11:59まで!

 

 

特設サイトhttps://xflag.com/sound-creators/remix-contest-vol1/

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2019年6月号より転載

 

 

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