モンスターストライク リミックスで目指す次世代クリエイター 【第3回】モンスト音楽の制作現場

モンスターストライク リミックスで目指す次世代クリエイター by Text:サウンド&レコーディング・マガジン編集部 2019年2月25日

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スマートフォン向けアプリ“モンスターストライク”(以下、モンスト)のメインテーマをリミックスする“【XFLAG公式】リミックスコンテスト”が開催された。応募受付は終了したが、今回はゲスト・リミキサーのmono(神聖かまってちゃん)による制作解説と、モンストを手掛けるXFLAG Sound Studioのフィールド・レポートをお届けする。

 

モンスターストライクとは?

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世界累計利用者数4,900万人を突破したスマートフォン向けアプリ。ゲームの内容はシンプルで、自分のモンスターを指で引っ張り、敵のモンスターに当てて倒していくというもの。最大4人までの協力プレイが可能となっており、強い敵や難しいクエストも協力してプレイすることにより突破することができたり、1人で遊ぶよりも多く報酬が得られたりするのも魅力の一つだ。今回リミックスする「モンスターストライクメインテーマ」をはじめ、多くの楽曲を作曲家の桑原理一郎が手掛けている。

 

mono(神聖かまってちゃん)

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自作のMVなどで注目を集め、現在も精力的にライブを行い、オーディエンスを熱狂させ続ける4人組バンド、神聖かまってちゃんのキーボード担当mono。今回はシンセサイザーを多用し、4つ打ちのキックから華やかに展開していくアシッド・ハウス/アシッド・テクノに仕上げている。

monoの音源はこちらからチェック!

 

DJ的な感覚で直感的にリミックスしました

 もともとアシッド・ハウスやアシッド・テクノが好きだったんです。今回リミックスのお話をいただき、自分が好んで聴いているジャンルをベースにするのが一番やりやすいかなと思い、このようなアレンジにしました。

 制作の流れとしては、サンプルのビートに、使用必須の武田真治さんのサックス音源を乗せてみて、テンポや音の雰囲気が合うか試しながら進めました。DJ的な感覚で作っていったので、実際に制作を始めてからは1日半ほどでリミックスが完成しましたね。

 リズム・トラックは、アシッドなノリを出すために、ROLAND TR-707系のビートと五十嵐公太さんのドラム素材を半々くらいの割合で使用しています。五十嵐さんの素材にはBITWIG Bitwig Studioに内蔵されているフランジャーをかけて、独特の雰囲気を演出しました。

 同じくソフト・シンセはBitwig Studioに搭載されているPolysynthを使用しています。冒頭のハモリのように入っているシンセはPoly Pitch Benderというプリセットで、パッドのように聴こえるサウンドはプリセットのSaw Reverb Plucksを使っていますね。楽曲の冒頭から鳴っているアルペジエイターのようなサウンドは、ROLAND TB-303を再現したFUTURE RETRO Revolution R2です。内蔵されているサウンドを一つずつ聴きながら、16のパターンを重ねて構築していきました。地道で時間のかかる作業でしたが、TB-303の王道なサウンドに寄せた音作りができたかなと思います。最初から16音すべて使ってしまうのは展開的にもったいないので、最初は音数をセーブし、後から残りのパターンを追加して、華やかになるようにしました。

 また、曲の後半からうねるようなシンセが入りますが、これはPIONEER RMX-500を使用しています。ちょうど買ったばかりだったので、せっかくだから使ってみようと思い実験的に取り入れてみました。直感的に操作して、納得がいくまで何度も録り直しましたね。最後に転調するのですが、その直前に鳴っているアグレッシブなシンセとスクラッチ音もRMX-500です。転調する合図として入れたのですが、非常に分かりやすくなったかなと思います。転調は一度完成したときには無かったのですが、ずっと同じキーでいるのも退屈だなと思い、急遽(きゅうきょ)取り入れました。

 このようなコンテストがあると、どうせ機材を買わなきゃダメなんでしょと思う人もいるかもしれませんが、僕も基本はDAWソフト内蔵のエフェクトとシンセで完成させました。アイディアがあればパソコンだけで何でもできる時代なので、ぜひリミックスに挑戦してみてください!

 

 

▲BITWIG Bitwig Studioに内蔵されているPolysynth。Poly Pitch Benderというプリセットを使用しており、細かな数値は初期設定からあまり変えていないとmonoは語る

▲BITWIG Bitwig Studioに内蔵されているPolysynth。Poly Pitch Benderというプリセットを使用しており、細かな数値は初期設定からあまり変えていないとmonoは語る

 

▲ROLAND TB-303系の音を求め、6~7年ほど前に購入したというFUTURE RETRO Revolution R2。このリミックスでは当初からRevolution R2の音を前面に押し出すことを決めていたとのこと

▲ROLAND TB-303系の音を求め、6~7年ほど前に購入したというFUTURE RETRO Revolution R2。このリミックスでは当初からRevolution R2の音を前面に押し出すことを決めていたとのこと

 

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▲転調の直前などで聴こえるアグレッシブなシンセ・サウンドはPIONEER RMX-500によるものだ。本体と同機能のプラグインが付属しており、Bitwig Studio内で処理し、ハードをコントローラーとして使用したという

 

 

XFLAG Sound Studio 〜XFLAGコンテンツのサウンドが生み出される場所〜

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モンストをはじめとしたXFLAGスタジオが手掛けるコンテンツの音楽面を担当する“XFLAGサウンドチーム”。多くのユーザーを熱狂させるコンテンツのBGMや効果音が、ここXFLAG Sound Studioで生み出されている。リミックスコンテストのデモ作品を制作した、XFLAGサウンドチームの早坂匠氏とタニサトシ氏に案内してもらった。

 

▲XFLAGサウンドチームのタニサトシ氏(写真左)と早坂匠氏(同右)

▲XFLAGサウンドチームのタニサトシ氏(写真左)と早坂匠氏(同右)

 

楽器やボイス録音はもちろんディスカッションする場としても活用

 XFLAGサウンドチームのデスクが並ぶフロア。そこに隣接する形で、XFLAG Sound Studioが設けられている。コントロール・ルームとレコーディング・ブースという構成だが、どちらにもワーキング・デスクを用意することで、それぞれ別の制作が行えるようになっているという。DAWはAVID Pro ToolsとSTEINBERG Cubaseを導入しており、モニター・スピーカーはGENELEC 8330Aを使用。コントロール・ルームのラックにはUNIVERSAL AUDIO LA-610 MKⅡ、RME Fireface UFXⅡをマウントしている。また、レコーディング・ブースにはRELOOP Mixon4やKEMPER Profiler Rack、HUGHES&KETTNERのギター・アンプなどの機材を用意。XFLAG Sound Studioは、楽器や音声の収録から、ミックスやMAまで可能だ。早坂氏が設立の経緯とスタジオでの具体的な作業を説明してくれた。

 「さまざまなゲームやイベント、動画コンテンツなどを展開していく中で、音声収録の需要が高くなってきました。社内にスタジオがあれば外部のスタジオのブッキングをせずとも、“じゃあ、明日録ろうか”ということが可能になる。そこで業務の効率化を考え、2017年に設立しました。僕の場合は、楽器のレコーディングや歌が必要な曲のときに仮歌を録ったり、各クリエイターの成果物をレビューするときに使用しています。また、クリエイター間の技術共有と相互理解を目的とした定例企画があり、お題に対して30分の制限時間内に作曲し、それを披露し合うということもやっています」

 タニ氏は「僕はある程度大きなボリュームでプレビューする際に使用しています。その際には、サウンド担当だけでなく案件の担当者も呼び、イアフォンとは違った環境でモニタリングしていますね。また、メロディを考えるときにも、自分のデスクだと周りに気を遣ってしまいますが、スタジオだとより集中して気兼ね無く口ずさみながら作ることもできるので重宝しています」と語る。

 

将来的には部署や会社を越えさまざまな方と一緒に活用していきたい

 それでは【XFLAG】公式リミックスコンテストのデモ作品の制作ではどのように活用したのだろうか。まずは早坂氏が制作を振り返る。

 「今回僕は武田さんのサックスと五十嵐さんのドラムに、ベースとピアノを重ねる形でリミックスをしたのですが、XFLAG Sound Studioで実際にアンプを通してベースとキーボードを鳴らし、発想を膨らませました。完成した音源のモニタリングも行いましたね。普段の制作から、細かいノイズはヘッドフォンでチェックしますが、最終的な出音はスピーカーでの確認を重視しています」

 タニ氏はどのように制作を行ったのだろうか。

 「僕の場合はAstroNoteSの関野元規さんと共作したので、彼のスタジオと僕のデスクで制作を行い、XFLAG Sou
nd Studioで確認作業をしました。最初のアイディア出しの段階から、最終のチェックまで使用したという感じですね。制作はデスクで、大きな音で確認したい場合はスタジオでという使い分けです。いろいろな環境でモニタリングすることは僕も大事だと思うので、XFLAG Sound Studioに幾つかスピーカーを持ってきて、聴き比べも行いました」

 最後にXFLAG Sound Studioの展望を両氏が語ってくれた。“開かれたスタジオにしたい”とタニ氏。

 「社内のサウンドチームだけでなく、社外クリエイターの方も交えて一緒に音を生み出す場にしていきたいですね。ミクシィは“コミュニケーション創出カンパニー”を掲げているので、ただのスタジオではなく、外部の方を招いてセミナーを行ったり、一緒に学んだりする機会なども設けていければと思います」

 早坂氏も多くの人が使ってみたいと思うようなスタジオにしていくことが理想だという。

 「【XFLAG公式】リミックスコンテストも、“サウンドクリエイターが集まり相互に交流し刺激し合う場をつくりたい”をコンセプトにしているので、僕たちだけでなくいろいろな人たちを巻き込み、一緒に盛り上げていきたいなと思います。“あのスタジオを使ってみたいよね”と言われる活動を展開して、音楽クリエイターのハブになるような場所にしたいですし、音楽業界全体に何かしら刺激を与え、大きなムーブメントを作っていきたいですね」

 

 

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▲レコーディング・ブース内にもデスクを設けることにより、別の作業を同時に行うことが可能となっている。マイクは写真のNEUMANN U87AIのほか、AKG C414-XLⅡ、SHURE Beta 58Aなどを用意

 

▲スタジオのすぐ隣にあるXFLAGサウンドチームのデスク。普段は各人がデスクで楽曲制作を行っている。コミュニケーションの取りやすいデスクと、集中して作業の行えるスタジオを適宜使い分けているそうだ

▲スタジオのすぐ隣にあるXFLAGサウンドチームのデスク。普段は各人がデスクで楽曲制作を行っている。コミュニケーションの取りやすいデスクと、集中して作業の行えるスタジオを適宜使い分けているそうだ

 

応募総数170通 ただいま審査中!!

結果は3月25日12:00に特設サイトで発表。また、同日発売の本誌5月号では結果発表とともにREMIX JUDGES(審査員)のコメントも掲載予定だ!

 

 

特設サイトhttps://xflag.com/sound-creators/remix-contest-vol1/

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2019年4月号より転載

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