関正道(DIGITAL SONIC DESIGN)が使う「Pro Tools」第3回

クリエイターが使うPro Tools by 関 正道 2017年12月25日

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トラックの作成やアサインなどで
効率を上げるテクニック

  皆さん、こんにちは! 今回も作業効率を上げる技を紹介していこうと思います。レコーディング、プリプロ、MA、ミックス、マスタリングなど、同じAVID Pro Toolsを使用しても使い方や頻繁に使うショートカットもかなり違います。逆にいろいろな現場に対応できているPro Toolsもすごいし、長く使っていても新しい発見があり、魅力的だなと思う今日このごろです。

 
 

ダブル・クリックでトラック作成
出力の昇順アサインもワン・クリック

 Pro Toolsのトラックにはオーディオ・トラック、Aux入力、VCAフェーダー、マスター・フェーダー、MIDIトラック、インストゥルメント・トラック、ビデオ・トラックがあります。バーチャル・インストルメントをインサートするトラックとして一般的なのは、インストゥルメント・トラックでしょう。1つだけの音色で鳴らす場合はそれでよいのですが、マルチティンバー音源、例えばストリングス・セクションの各パートを同時に扱えるような音源の場合、Auxトラックに立ち上げるのが通常です。そのマルチティンバー音源に対しそれぞれの楽器MIDIトラックを作り、MIDIチャンネルをアサインしていきます。作曲家から“ストリングス・セクション”として1つのMIDIトラックで渡された場合、パートごとにコントロールしたいので、まずMI
DIノートをパート別のMIDIトラックへ移します。

 ……と文章で書くと簡単ですが、毎回、command+shift+N(WindowsではCtrl+Shift+N)の“新規トラック作成”でこの作業を繰り返すのは結構手間がかかります。そこでPro Toolsの機能を使います!

▲おなじみの新規トラック作成ダイアログ。トラックの種類や数を指定すると、一度に複数のトラックを作成できる。Macでは⌘+shift+N、WindowsではCtrl+shift+N。今回はより効率的にトラック作成が行える方法を紹介していく

▲おなじみの新規トラック作成ダイアログ。トラックの種類や数を指定すると、一度に複数のトラックを作成できる。Macでは⌘+shift+N、WindowsではCtrl+shift+N。今回はより効率的にトラック作成が行える方法を紹介していく

 

 編集ウィンドウもしくはミックス・ウィンドウの何も無い部分をcommand(WindowsではCtrl)+ダブル・クリックすると、オーディオ・トラックができます。次にoption(WindowsではAlt)+ダブル・クリックでインストゥルメント・トラック、control(WindowsではStart)+ダブル・クリックでAux入力、shift+ダブル・クリックでマスター・フェーダーが1つずつできます。基本はそれぞれステレオ・トラックで、キーを複数押しながらダブル・クリックすると、それぞれに対応するトラックが生成されます。また、何もキーを押さずにダブル・クリックすると、最後に作った種類と同じトラックが生成されます。“あれ? じゃあMIDIトラックは?”。そうなんです、MIDIトラックはなぜかショートカットが無いのです! ですので1度だけ新規トラック選択でMIDIトラックを作ります。後は、ダブル・クリックすれば最後に作ったトラックとしてMIDIトラックを作ることができます。

▲ミックス・ウィンドウや編集ウィンドウでトラックが無い部分をダブル・クリックすると、最後に作成したトラックと同種のトラックが作成される(ここではMIDIトラック)。また、修飾キーを押しながらダブル・クリックすると、オーディオ・トラックやAux入力、インストゥルメント・トラック、マスター・フェーダーの作成が指定できる

▲ミックス・ウィンドウや編集ウィンドウでトラックが無い部分をダブル・クリックすると、最後に作成したトラックと同種のトラックが作成される(ここではMIDIトラック)。また、修飾キーを押しながらダブル・クリックすると、オーディオ・トラックやAux入力、インストゥルメント・トラック、マスター・フェーダーの作成が指定できる

 

 ここで少し話題は戻りますが、command+shift+Nの新規トラック作成にて、デフォルトでは1トラック、モノラル、オーディオ・トラック、サンプル・ベースの設定で開きますが、このダイアログにもショートカットが存在します。

 まず、トラック数は↑↓キーで増減可能。トラックのチャンネル数(モノラル/ステレオ/クアッドなど)はcommand+→←、トラックの種類はcommand+↓↑(WindowsはCtrl+↓↑)、形式(タイムベース)はcommand+option+↓↑(WindowsはCtrl+Alt+↓↑)で変更できます。また、command+shift+↓↑(WindowsではCtrl+Shift+↓↑)で同時に作るトラックのメニューを呼び出せます。この状態で複数のメニューが出ているときは、tabキーで変更するトラック・メニュー間を移動可能。トラック数のパラメーターがアクティブになっているメニューが、これらのショートカットに対応している状態です。

▲トラック作成ダイアログとショートカット。基本は上下左右キーと修飾キーなので、何度か使っているうちに手が覚えるようになるだろう

▲トラック作成ダイアログとショートカット。基本は上下左右キーと修飾キーなので、何度か使っているうちに手が覚えるようになるだろう

 

 さらに、MIDIトラックをAux入力に挿したマルチティンバー音源へアサインするとき、1トラックずつ設定するのは面倒ですよね。そのときは、複数並んだMIDIトラックをまとめて選択。command+shift+optionキー(WindowsではCtrl+Shift+Start)を押しながら出力でMIDI ch1を選ぶと、それに続くトラックは2、3、4、5……と連番で一気にアサインできます。また、optionキー(WindowsではAlt)を押しながら切り替えると出力はすべて同じチャンネルになります。これは、入力選択に対しても同じで、MIDIだけでなくオーディオも共通なので、覚えておくと便利です。

▲トラックを複数選択し、command+shift+option(WindowsではCtrl+Shift+Alt)を押しながら出力を設定すると、チャンネル番号が連番となるアサインができる。ここでは4つのMIDIトラックの出力先として、1つのXpand! 2のch1〜4を一挙にアサインできた

▲トラックを複数選択し、command+shift+option(WindowsではCtrl+Shift+Alt)を押しながら出力を設定すると、チャンネル番号が連番となるアサインができる。ここでは4つのMIDIトラックの出力先として、1つのXpand! 2のch1〜4を一挙にアサインできた

 

トラック・プリセットから
よく使う設定を呼び出す裏技

 ここまで、ショートカットを駆使しておりますが、もっと便利に速く生成する方法を使います。作曲家の中には、使う楽器やパートのMIDIトラックをアサインしたテンプレートを用意される方が多いと思います。しかし、いつもそのテンプレートに含まれる全楽器を使うとは限りませんし、使わない楽器やトラックは無い方がスマートです。

 まず、私のPro Toolsでのトラック作成ダイアログをご覧ください。基本トラック以外のトラック名が表示されています。これは説明書に記載の無い裏技で、新規トラック作成ダイアログにトラック・プリセットを登録しているためです。もちろんそこにはインサートしたプラグインも含まれており、その設定内容も一緒に保存されています。新規トラック作成ですぐに別のセッションでも“あの音”として呼び出せるようになります。

▲筆者の新規トラック作成ダイアログ。トラック種別の欄に、使う音源のカテゴリーが登場するように設定している

▲筆者の新規トラック作成ダイアログ。トラック種別の欄に、使う音源のカテゴリーが登場するように設定している

 

▲カテゴリーを選択すると、“形式”欄にはそのカテゴリーに含まれるトラック・プリセットが表示されるようになる

▲カテゴリーを選択すると、“形式”欄にはそのカテゴリーに含まれるトラック・プリセットが表示されるようになる

 トラック・プリセットは、まずFinder上でシステム/ユーザ/(ユーザ名)/書類/にある“Pro Tools”という名前のフォルダーを見つけます。そのフォルダー内に“Track Presets”という名前のフォルダーを作成します。さらに内部にサブフォルダーを設けることでトラック・カテゴリーになります。
 このフォルダー内にトラック・プリセットを保存していきます。保存したいトラックを選択して、メニューのファイル>エクスポートから“選択されたトラックを新規セッションとして…”を選択。コピー保存画面で“選択したトラックのみ”にチェックが付いてることを確認しましょう。
 すると、拡張子“.ptx”のファイルが書き出されますので、この拡張子を“.ptxt”に変更します。これでトラック・プリセットの完成です。

▲指定の形式で書き出したファイルの拡張子を.ptxtに書き換えるとこれがトラック・プリセットとなる。またサブフォルダーを設けるとカテゴリー分けができる

▲指定の形式で書き出したファイルの拡張子を.ptxtに書き換えるとこれがトラック・プリセットとなる。またサブフォルダーを設けるとカテゴリー分けができる

 というわけで、今月はここで誌面が尽きました。来月で私の担当は最終回。よろしくお願いいたします。

 

 

*AVID Pro Toolsの詳細は→http://www.avid.com/ja

サウンド&レコーディング・マガジン 2018年1月号より転載

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