アナログ・シンセ界の小さな巨人 IK MULTIMEDIA Uno Synthの衝撃④ アーティスト・インプレッション編

IK MULTIMEDIA Uno Synthの衝撃 by 編集部 2018年9月25日

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Uno Synthの衝撃① 性能チェック編
Uno Synthの衝撃② サウンド・メイク編
Uno Synthの衝撃③ 開発者インタビュー編:エリク・ノーランダー

 

Artist’s Impression①

Chihei Hatakeyama

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【Profile】デジタル機材とアナログ機材、両方を駆使した美しいアンビエント・ドローン作品を生み出す電子音楽家。レーベルWhite Paddy Mountainの運営のほか、マスタリング/ミックス/レコーディング・エンジニアとしても活躍する。

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音作りのおいしいポイントがまとめられています

まずは音の良さにびっくりしました。それに、ほかの音源やエフェクトなどを使うときもなじみやすいサウンドです。アナログ・シンセやモジュラー・シンセだと音が太過ぎたり、キャラが濃過ぎる場合もありますが、Uno Synthのオシレーターはアナログの音でありながらも主張が強過ぎない素直な音。ミックスも楽にできるんじゃないかと思います。

操作面も分かりやすいです。階層をたどって機能にアクセスするのではなく、トップ・パネルに必要なパラメーターが整理して配置されています。フラットなデザインなので、“鍵盤部分の操作性はどうなのかな?”と気になっていましたが、実際に演奏してみるとフラットならではのフレーズも生まれてきて面白いです。HOLDは音を作るときにとても便利。右手で弾きながら音を作るのは結構疲れますからね。また、ドローン・サウンドをプレイするときも、このHOLDで音を持続させながら音色をコントロールするとよいでしょう。

2つのオシレーターでは個別にTUNEを変えられます。この価格帯のシンセでは珍しいのではないでしょうか? デチューン効果を作り出し、繊細な揺らぎのあるドローンをプレイすることも可能です。

フィルターがローパスだけでなくハイパスやバンドパスが入っているのもうれしいポイント。パッド系の音を作るとき、“ちょっと低域がきついかな”ということがよくあります。そういったとき、弾きたい音域だけが出てくれるようにハイパスやバンドパスを使うことが多いです。また、LFOの波形ごとのキャラクターがはっきりしているので、フィルター・カットオフにアサインしたりすると面白い音が生み出せますね。

ポンと押すだけで操作できるエフェクトも使いやすいです。細かく調整ができるわけではありませんが、最初から気持ちの良いエフェクトが得られる設定になっています。

音作りのおいしいポイントが分かりやすくまとめられたUno Synth。ジャンルやユーザーのレベルを問わず、制作にもパフォーマンスにも使えるシンセだと思います。

Photo:Chika Suzuki

Artist’s Impression②

櫻木大吾(D.A.N.)

DAN

【Profile】ミニマルかつメロウなサウンドを体現する3人組バンド、D.A.N.のボーカル/ギター/シンセを担当。ジェイムス・ブレイクの来日公演オープニング・アクトを務め、自身もロンドン公演を成功させるなど、世界基準の音楽を生み出している。

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ピュアでシンプルな音なのでほかの楽器とも混ぜやすい

D.A.N.は3人組なので、音数が少なくても成り立つようにできるだけサウンド一つずつをリッチに鳴らしたいんです。そういう理由もあって、僕はどちらかというとシンセはアナログ派。アナログ・シンセはレンジが広く、音に説得力があります。Uno Synthの音もちゃんと存在感や立体感があって、抜けも良い。ピュアでシンプルな音なので、ほかの楽器とも混ぜやすいと思います。ペダル・エフェクトとの相性も良く、さまざまな機材との組み合わせでオリジナリティを作っていけるでしょう。フィルターも癖が無く、ざっくりとしたシンプルな使い心地が僕は好きですね。

コントロール部のノブの数も絞られていて、エフェクトもワンタッチで操作する簡素なタイプ。モジュラー・シンセなどの複雑性を楽しむ人もいますが、僕はUno Synthのようなシンプルな方が好きなんです。余計なこと考えず、直感的なアイディアを制作に落とし込めます。

プリセットも実用的なものが多いと感じました。モノシンセはリードやベースといった音として使うことが多いと思いますが、そういう音作りの際はプリセットへアクセスし、選んだ音色を少しEQで調整するくらいの方がよい。制作においてはその速さが重要だと思います。あまり迷わないで作れると楽しいですから。専用のエディター・ソフトを使ってプリセットの管理ができるのも現代的な仕様ですね。自分の作った音色を保存しておけば、ライブのときなどに本体へ読み込めるので便利です。

手前に傾斜したプロダクト・デザインも、“よく考えられているな”と思いました。本体は軽量で利便性にも優れています。電池による駆動ができるということも、余計なノイズが入らなさそうですし、安心感があります。

音楽機材は自分との相性が大事。それぞれの機材に合う人、合わない人がいますが、このUno Synthはそのシンプルな音と操作性によって、多くの人に合うシンセになっていると思います。

Photo:Hiroki Obara

Artist’s Impression③

machìna

machina

【Profile】東京を拠点に活動する電子音楽家/プロデューサー/シンガー。モジュラー・シンセやアナログ・シンセを駆使したエクスペリメンタルなサウンドに、自身のボーカルを乗せた楽曲を制作している。

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どこにでも持っていけるというアイディアが気に入りました

アナログ・シンセなのに電池で動いて、しかもここまで軽くてポータブルなものは初めて見ました。ヘビーな見た目の方がアナログ・シンセの雰囲気があって良いというイメージもありますが、Uno Synthはアプローチの仕方が違います。音楽って一人で作るのも楽しいけど、やっぱりみんなで一緒に演奏したりするときが一番楽しいですよね。このポータブルさでどこでも持って行って演奏できるというアイディアが気に入りました。

モジュラー・シンセのフィルターには洗濯物をギュッと絞るようなイメージを持っていますが、Uno Synthのフィルターはもっとシャープにかかる印象です。ハイハット的な音を作るときなど、シャープさが生きてくる使い方もいろいろとあるでしょう。

モノシンセなのでほかの音源と一緒に使うことも多いと思いますが、アルペジエイターとHOLDが付いているので、ずっとUno Synthを操作していなくても次々とサウンドやフレーズを変えて鳴らせます。ライブ・パフォーマンスで便利ですね。フラットなデザインなので、キーボード部分を指でスライドしてグワーンと鳴らすような演奏ができるのはUno Synthの強みだと思います。

アナログ・シンセを使うアーティストにとって、自動チューニングはすごくありがたいです。Uno Synthはアナログ回路でできていますが、うまくデジタルのコントロールが取り入れられていますね。3~4時間くらい演奏していても安定して鳴ってくれたので、ライブでも安心して使えそうです。

全体として、とてもポテンシャルが高いアナログ・シンセだと感じました。必要な機能は本体にほとんど備わっていますが、もっと細かくコントロールしたい人に向けた専用エディター・ソフトがあることもうれしい部分です。ステップ・シーケンサー、アルペジエイター部分がすごく良いので、欲を言うならCVアウトが欲しいですね。ユーザーとしてはまたこれからの進化が楽しみです!

Photo:Yusuke Kitamura

 

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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年10月号より転載

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