ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「Pro Tools用ケーブル」

ACOUSTIC REVIVE連載 by 本間昭光、CHOKKAKU、飛澤正人 撮影:Hiroki Obara 2019年5月23日

MAIN

“原音忠実”の理念のもと、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今回の製品クロス・レビューのテーマは、AVID Pro Tools|HDXまたはHD/HD Nativeシステムで使うPro Tools用ケーブル(DigiLink接続)だ。

第5回「Pro Tools用ケーブル」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

Pro Toolsシステムに付属するDigiLinkケーブルでは、1本の細いケーブルの中に26本もの導体が混在しています。Pro Toolsにおけるデジタル伝送を劣化や損失無く実現するには、導体の性能はもちろんのこと、絶縁材や緩衝材、シールドやシースまで吟味しなければなりません。

ACOUSTIC REVIVEのPro Tools用ケーブルは、導体に“PC-Triple C”を使用しています。鍛造製法によって結晶構造を電気の流れる横方向に連続させた音響専用導体で、迷走電流の発生が無い単線で採用。さらに、比誘電率や誘電正接に優れたテフロン絶縁、静電気の発生を防ぐ天然シルク緩衝材、外来ノイズを強固に防ぐ銅箔シールドなどにより、劣化や損失の無いPro Toolsの伝送を実現しました。

かつては周波数的にハイ上がりになるPro Tools用ケーブルもありましたが、ACOUSTIC REVIVEのPro Tools用ケーブルはフラットかつワイド・レンジで、極めて正確な位相特性を備えています。Pro Toolsの音に気になる部分があれば、このケーブルによりすべて解決することを保証します。

<Price>
ラインナップ
▪Type A DigiLink Mini/DigiLink Mini(写真左)
▪Type B DigiLink Mini/DigiLink(同中央)
▪Type C DigiLink/DigiLink(同右)

価格(3つのタイプに共通)
▪48cm:45,000円
▪155cm:54,000円

 

Cross Review

Composer/Arranger/Keyboardist/Producer
本間昭光
H

<Profile>これまでに槇原敬之のバンマス、ポルノグラフィティへの楽曲提供、いきものがかりのライブ・サウンド・プロデュースなどを手掛ける。現在はテレビや劇伴でも活躍。

位相特性が素晴らしく分解能も高い
音楽の組み立てそのものに好影響

今回、Pro Tools用ケーブルのType A(155cm)をチェックしました。私は日々“エンジニアの領域には立ち入らないこと”をモットーにしているので、MOTU DPでアレンジしたデータをノーEQ/ノー・コンプ、フェーダーは一直線にしてPro Toolsに流し込むだけ、といったセッション・ファイルを制作して現場に納入しています。なので、Pro Toolsシステムに付属のDigiLinkケーブルを換えるだけで、どれほどの変化や効果があるのか楽しみだったのですが、正直“驚愕”しました。

これはすごい。あえて言うなら“96kHz/192kHz時代向けのハイレゾ仕様ケーブル”と表現できるでしょう。とにかく位相特性が素晴らしく分解能も高いので、高域の解像度と伸びが飛躍的に向上し、左右にグッと広がりが出ます。中間定位を意識した楽曲でチェックしたところ、水に墨を落としたがごとく中域がステレオ・イメージ全体に広がり、高域はスピーカーの上の方までグンと抜ける印象を覚えました。良い意味で、従来のケーブルとは印象が全く違うため、あらゆる情報を積み上げたプログラムの途中では換えることができないレベルです。

そして、これほどまでに分解能が高くなってくると、音楽的グルーブ感とオーディオ的な高品位さの両立について、制作の初期段階から高レベルな追い込みができると思います。それはレコーディングの初期段階というよりは、作曲やアレンジ/プロデュースといった“音楽の組み立てそのものの考え方”に影響をもたらすレベルの変化だと言えます。素晴らしいケーブルです。

 

Arranger/Producer
CHOKKAKU
C

<Profile>アレンジャー/プロデューサー。SMAP、L’Arc~en~Ciel、真心ブラザーズ、Kis-My-Ft2、OKAMOTO’S、映画『シン・ゴジラ』などの楽曲を手掛けてきた。

とにかく音の上下左右
そして奥行きが一回り大きくなる

これまで音の改善をするために、どれだけのケーブルを試しただろうか。そして、ほとんどが納得できる結果ではなかったように思う。ましてやDigiLinkケーブルは、 Pro Toolsシステムに付属のものを使用するのが当たり前だと思っていたので、今回送られてきた、たった48cmのこのケーブルには当初かなりの疑念を持っていた。

しかし自宅のPro Tools|HDXシステムに取り入れ、自身のアレンジ曲のセッションを聴いてみると、第一印象は“エッ、激変”。とにかく音の上下左右、奥行きが一回り大きくなったのだ。付属ケーブルと比べるうちに、音の立ち上がりが速くなったことに気付いた。そのため各楽器のアタックがハッキリ聴こえるし、分離が実に良くなっている。特にドラムやギターのカッティングなどアタッキーな音には顕著に効果が出るようだ。1本のケーブルを換えることで、こんなに素晴らしい結果が出るとは本当に驚きである! 音全体に余裕が出るためもう一つ音色を入れたくなるなどトレードオフもあるが、製品の質は高いと言える。

 

Recording/Mixing Engineer
飛澤正人
TB

<Profile>Dragon Ash、HY、GACKTなどの作品に携わってきたエンジニア。VRサウンドの研究中で、yucat『PARALLEL WORLD IV〜消滅海底都市』などで成果が聴ける。

位相がピッタリと合い
“音の格”が一段上がる印象

デジタル伝送時にも音質劣化が起こることは以前から耳にしていましたが、DigiLinkケーブルを交換しチェックするのは初めてです。今回は、本製品Type Bの48cmをプライベート・スタジオのオーディオI/O、DIGIGRID DigiGrid DLIとHDXカードの接続で試しました。

交換直後の音はすごく輪郭がはっきりした印象で、結構な変わりように驚きました。膜を取り払った感じというか、全体の位相がピッタリと合ったようで、音像が目に見える形で変化したのです。似た感じとしては、良いマスター・クロックを使ったときの感動に近いものがあります。昨今はVRサウンドのミックスをする機会が増えたので、奥行きやワイド感などの立体定位が正確に表現されるのはありがたいです。低域はモヤが取れたようにスッキリと、中域から高域にかけては定位感が向上しクッキリします

私はマスター作成時にD/A後の信号をDSDレコーダーに録っているのですが、そういったときにも本製品の効果は絶大でしょう。音の格が一段上がります

 

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE Pro Tools用ケーブル

 

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2018年3月号からの転載となります)

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