さまざまな現場で信頼を集めるデジタル卓=YAMAHA TFシリーズ

YAMAHA TFシリーズ企画 by サウンド&レコーディング・マガジン編集部 撮影:Yusuke Kitamura 2017年6月24日

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第6回 上野楽器 サウンドショップ ジェルム

本体のタッチ・パネル/専用APPLE iPadアプリによる直感的な操作性やコンパクト・ボディが特徴のPA用デジタル・ミキサー、YAMAHA TFシリーズ。今回は3Uラック型のモデル=TF-Rackを所有する上野楽器のサウンドショップ ジェルムを訪れた。導入の動機や使用方法について、早速レポートしていこう。

 

中小規模ライブのメイン・ミキサーとして使用

宇都宮市を拠点として、栃木県内に店舗と音楽教室を展開する上野楽器。1956年に創業の老舗で、楽器の販売から修理、リハーサル・スタジオや音楽教室の運営、音響機器のレンタルまで幅広い業務を行っている。サウンドショップ ジェルムはJR宇都宮駅から徒歩約10分の店舗。店内にはギターやベース、ドラムなどが陳列されているが、TF-Rackの用途やいかに? 「まずは自社の音楽教室やその発表会でPAする際に、メイン・ミキサーとして使っています。また地元のイベントで音響を担当することがあり、そういったときにもメイン・ミキサーになっていますね」と語るのは、同店のスタッフ西東(さいとう)成次郎氏。昨年まではアナログ・ミキサーを使っていたと言うが、あるイベントがきっかけでTF-Rackを導入した。

「去年の暮れに某自動車メーカーがショールームで販売展示会を行ったのですが、コンテンツの一つにジャズ・バンドのライブがあるということでPAを頼まれたんです。ただ、機材の仕込みからオペレートまで自分1人でこなさねばならず、進行のスケジュールもざっくりとしか出ていなかったため、システムはなるべくシンプルにしたいなと……。大掛かりになると運ぶのが大変ですし、セットアップにかけられる時間も分からなければ、ミュージシャンのサポートをしながらのオペレートになるだろうとも予測したので、自分が柔軟に動き回れるようなシステムが必要だったんです。それで“どうしよう?”と思っていた矢先、知り合いが“今TF-Rackというミキサーが気になっている”と話しているのを聞き、カタログをチェックしてみたところピンと来たわけですね」

西東氏が最も引かれたのは、TFシリーズ専用のiPadアプリ=TF StageMixによるワイアレスでのコントロールだ。「これがあればミキサーに張り付く必要も無く、どこでもオペレートできますよね。それこそミュージシャンの手助けをしながら音作りすることも可能です」と話す。

「TF StageMixは、デジタル卓ビギナーの僕にも本当に使いやすい。例えばあるチャンネルにリバーブをかけたいときなども、画面右のカラムから“FX1”もしくは“FX2”を選んでフェーダーをセンド・モードにし、目的のチャンネルを上げるだけです。チャンネルと内蔵リバーブをパッチするようなプロセスが無く、とても分かりやすいと思います。タッチ・パネルならではの操作としては、パラメトリックEQのQ幅を指先で広げたり狭めたりできるのが直感的。昨今は携帯電話にしてもタッチ・パネルの時代なので、その感覚の延長で触れるのが良いですね。TF-Rack本体にもタッチ・パネルや操作子がありますが、個人的にはTF StageMixだけでも十分。タッチへの反応も早く、今のところアプリ・オンリーで操作しています

 

クローズアップ・ポイントその① iPadアプリでのコントロール

▲西東氏が、TFシリーズの専用APPLE iPadアプリTF StageMixを使っている様子。画面右の“FX1”もしくは“FX2”の表示を押すと、フェーダーがFXセンドのモードになるなどのクイックな操作感が気に入っている

▲西東氏が、TFシリーズの専用APPLE iPadアプリTF StageMixを使っている様子。画面右の“FX1”もしくは“FX2”の表示を押すと、フェーダーがFXセンドのモードになるなどのクイックな操作感が気に入っている

 

持ち運びや仕込みもやりやすい

TF StageMixはサーフェス型モデルと共通のアプリだが、TF-Rackならではのメリットについては「ずばり小型&軽量なボディだと思います」と言う。
普段は、TF-Rackとパワー・アンプを結線した上でラックに入れて持ち運んでいます(メイン写真)。5〜6Uのラックで済みますし、あとはスピーカーをメイン/モニター合わせて4台ほど持っていけば、現状は十分に賄えています。ルーティングに関しても、アンプのメイン・アウトL/Rをメイン・スピーカーに、TF-Rackのライン・アウトL/Rをモニター・スピーカー用途のYAMAHA Stagepas 400Iに接続するだけなので、とにかくセットアップが楽。こうしたスピーディさもメリットだと思います」

取材は5月末に行ったが、その時点で既に6月のファームウェア・アップデートがアナウンスされていた。新ファームウェアのVer. 3.5に実装されるのはDAN DUGANのオートマティック・ミキサー。最大8chのマイク回線のゲイン・バランスをリアルタイムに自動最適化し、ナチュラルなミックスを実現するというものだ。

「オートマティック・ミキサーはすごく気になっています。コーラス隊やブラス隊がずらりと並ぶ現場もあるので、そういうときに使ってみたいですね。このコンパクトなボディにミキサー、エフェクト、オートマティック・ミキサーなどがオールインワンになっていて26万円ほどとは、コスト・パフォーマンスが非常に高いと思います
さらなる進化を遂げるTF-Rack。中小規模の現場で、これまで以上の存在感を放つことになるだろう。

 

クローズアップ・ポイントその② 内蔵グラフィックEQ

▲本文では紹介し切れなかったが、TF StageMixの内蔵グラフィックEQも西東氏のお気に入り。マスターはもちろん、AUXやマトリクスなどの各種出力チャンネルに標準搭載されているので、アウトボードのグラフィックEQを何台も用意するような手間がかからない

▲本文では紹介し切れなかったが、TF StageMixの内蔵グラフィックEQも西東氏のお気に入り。マスターはもちろん、AUXやマトリクスなどの各種出力チャンネルに標準搭載されているので、アウトボードのグラフィックEQを何台も用意するような手間がかからない

 

 

【製品紹介】YAMAHA TF-Rack (オープン・プライス:市場予想価格260,000円前後)

YAMAHAのPA用デジタル・ミキサー、TFシリーズのラック・マウント型モデル。ボディは3Uで、スペースに制限のある場所にも設置しやすい。本体にマイク/ライン・イン×16やライン・インL/Rを装備し、前者にはディスクリート仕様のクラスAマイクプリ“D-Pre”がリコーラブルに再設計されスタンバイ。チャンネル・プロセッサーのほか8基のプロセッサーを備え、多彩な音作りが行える。出力については、ライン・アウト×16を装備。内蔵のUSBオーディオI/O(Mac/Windows対応)を使った34trの録音/再生や、APPLE iPad用アプリTF StageMixでの遠隔操作なども行える。

YAMAHAのPA用デジタル・ミキサー、TFシリーズのラック・マウント型モデル。ボディは3Uで、スペースに制限のある場所にも設置しやすい。本体にマイク/ライン・イン×16やライン・インL/Rを装備し、前者にはディスクリート仕様のクラスAマイクプリ“D-Pre”がリコーラブルに再設計されスタンバイ。チャンネル・プロセッサーのほか8基のプロセッサーを備え、多彩な音作りが行える。出力については、ライン・アウト×16を装備。内蔵のUSBオーディオI/O(Mac/Windows対応)を使った34trの録音/再生や、APPLE iPad用アプリTF StageMixでの遠隔操作なども行える。

 

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