YAMAHA PX Series導入レポート〜サンフォニックス音響事業部

YAMAHA PX Series by サウンド&レコーディング・マガジン編集部 撮影:小原啓樹(*を除く) 2016年9月24日

 カスタムLSIを使用した新規設計のクラスDエンジンと、YAMAHAのDSP信号処理技術を統合して生まれた2chパワー・アンプ、PX Series。1,000W(8Ω)×2のPX10でも実売で10万円前後という低価格も話題となり、今年6月の発売と同時に多くのプロが導入を始めた。このレポートでは、そんなPX Seriesユーザーを訪れて、導入の経緯や使用感などを伺っていく。初回は大手PAカンパニーのサンフォニックスを訪れ、音響事業部の皆さんの意見を集約して、ここにお伝えしよう。

▲サンフォニックス音響事業部の鈴木慶幸氏(写真右)と神野菜穂子氏(同左)。本稿ではお二人を含む同事業部の皆さんの意見を集約してお伝えしている

▲サンフォニックス音響事業部の鈴木慶幸氏(写真右)と神野菜穂子氏(同左)。本稿ではお二人を含む同事業部の皆さんの意見を集約してお伝えしている

名機PC2002Mに代わるアンプとして導入

 楽器のレンタルや販売、放送局などでの音響業務など、音にまつわる現場を多数手掛けるサンフォニックス。PA事業にかかわる音響事業部は1971年より業務を始めており、長い歴史を誇る国内最大級のPAカンパニーの一つと言える。

 同事業部は、パワードのラインアレイ・スピーカーを大型会場用に所有しているが、小中規模の会場では用途に合わせてさまざまなブランドのパッシブ・スピーカーを選択しているという。そして、それらのパッシブ・スピーカーをドライブするアンプとして、長らくYAMAHA PC2002Mを使用してきた。

 「ELECTRO-VOICE SX300やJBL PROFESSIONAL VRXシリーズといったパッシブ・スピーカー用に、弊社ではPC2002Mを20台以上所有していました。古参のスタッフが入社したころにはもう有ったというので、30年以上使っていることになりますね」

 そのPC2002Mは1982年に発売されたロングセラー・モデルで、PAはもちろんスタジオや設備など、さまざまな現場で今も目にすることができる。しかし、時間の経過とともにさすがの名機にも不具合が出始め、サンフォニックスでも代替機の導入を長年にわたって検討してきたそう。とはいえ、まだ多くのPC2002Mが現役で稼働している中、それに代わるほどの決定打が無かった。そこに満を持して登場したのがPX10だったというわけだ。

 「社内での意見は、2U/2chがいいというものが多かったですね。1Uモデルはファンを小型化する必要があるため動作音が大きくなる傾向があります。また、L/Rとモニターで4ch必要な際に、2ch×2台ならば万が一アンプが1台壊れたとしても、残りの2chでモノラル運用すればなんとかなるんです。そうしたさまざまな状況を想定して、PX10は条件に適うモデルでした」

▲サンフォニックスで30年以上活躍してきた名機PC2002Mは、出力240W(8Ω×2)、重量20.5kg。これと比べてPX10は4倍の出力と約1/3の重量を実現しており、仮設PAの運搬/設置はかなり負担が軽減された

▲サンフォニックスで30年以上活躍してきた名機PC2002Mは、出力240W(8Ω×2)、重量20.5kg。これと比べてPX10は4倍の出力と約1/3の重量を実現しており、仮設PAの運搬/設置はかなり負担が軽減された

軽量&省電力でインストア・ライブに最適

 サンフォニックス音響事業部にとって、PX10が魅力的だったのはその機動性と価格、パワーなどのバランスの良さだったという。

 「PC2002Mは20.5kgありますから、女性スタッフが一人で持つのは厳しいですし、男性でもアルバイトに運んでもらうのは大変。PX10ならば7.4kgなので、2台でも2人で楽に運べますし、少し設置場所を動かすくらいなら1人でもできます。ワンボックス・カーに機材を積んで行くインストア・ライブなどの現場には最適です。静かな現場でもファンの音が気になりませんし、消費電力も小さいので、電源が15Aしか取れない現場でも安心ですしね」

 忘れてはならないのはPX10のサウンド。もちろん試聴して「これなら大丈夫」と確信を得た上で導入したそうだ。

 「上を見ればキリがありませんが、PC2002Mの240W×2から比べるとパワーがある分、出音にも余裕がありますね。音を作るのは私たちがEQでやるので、パワー・アンプの出音は素直でコシがあればいいんです」

 まだ導入したばかりのPX10だが、今後はさまざまなDSP設定などもチェックしていきたいとスタッフの皆さんは語る。さすがにPC2002Mまでとはいかないかもしれないが、PX10も長きにわたって彼らの音を支えるアンプとなるだろう。

▲現在のところPX10を10台用意。写真のセットアップは2台/4ch〜10台/20chを想定しているが、1台/2chでも簡単に持ち出せるようにケースを発注しているところだという。現在はDSPでの補正はかけずフラットな状態で使用することが多いそうだが、「必要なときにDSPでフィルターがかけられるという安心感はありがたいですね」とも語る

▲現在のところPX10を10台用意。写真のセットアップは2台/4ch〜10台/20chを想定しているが、1台/2chでも簡単に持ち出せるようにケースを発注しているところだという。現在はDSPでの補正はかけずフラットな状態で使用することが多いそうだが、「必要なときにDSPでフィルターがかけられるという安心感はありがたいですね」とも語る

サンフォニックス 音響事業部 https://sunphonix.jp/livesound/

製品情報

PX Series オープン・プライス

YAMAHA PX10

YAMAHA PX10

カスタムLSIを使用した新規設計のクラスDエンジンを搭載。1チップに必要な機能を凝縮したシンプルな構成で、軽量化と高信頼性を両立する。高性能DSPと信号処理技術を組み合わせた柔軟なプロセッシングを実現。YAMAHAスピーカーに適したプリセットに加え、コンフィグ・ウィザードによる簡単確実なセットアップが可能となっている

  • PX10 市場予想価格98,000円前後 1,000W×2(8Ω)、1,200W×2(4Ω)、700W×2(2Ω)
  • PX8 市場予想価格85,000円前後 800W×2(8Ω)、1,050W×2(4Ω)、600W×2(2Ω)
  • PX5 市場予想価格72,000円前後 500W×2(8Ω)、800W×2(4Ω)、500W×2(2Ω)
  • PX3 市場予想価格60,000円前後 300W×2(8Ω)、500W×2(4Ω)、300W×2(2Ω)

■PX Seriesに関する問合せ:ヤマハミュージックジャパン プロオーディオ・インフォメーションセンター
http://www.yamahaproaudio.com/japan/ja/products/poweramps/px/index.jsp

サウンド&レコーディング・マガジン2016年11月号より転載
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