プロを魅了する UNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズのクオリティ〜その④ 村田智宏×Apollo 8P

新生Apolloシリーズ by サウンド&レコーディング・マガジン編集部/撮影:小原啓樹 2015年9月9日

MURATASAN

SONY MUSIC STUDIO TOKYOやDaimonion Recordingsを経て、現在はフリーランスのエンジニアとして活動する村田智宏氏。これまでにRHYMESTERやPUSHIMなどのレコーディング/ミックスを手掛け、音作りにはUAD-2プラグインを積極的に活用してきた。Apolloシリーズの魅力に迫る本企画の4回目は、村田氏がApollo 8Pをテストし、抱いた印象について紹介したい。

マイクプリの音が無色透明だからこそ
Unisonの必要性が見えてきた

村田氏はUAD-2プラグインに関して、とりわけビンテージ機器のエミュレーターとしての価値を高く評価している。スタジオではAVID Pro Tools|HDシステムにUAD-2 DSPアクセラレーター・カードを接続の上、プラグインを用いるケースが多いようだが、Apollo 8Pについてはどのようにとらえているのだろう?
「オーディオI/OとDSPが一体になっているのは非常に合理的です。プロのスタジオに取り入れるのも良いと思いますが、より威力を発揮するのはプライベート・スタジオのグレードを高めたい場合でしょう。ボーカルやアコースティック・ギターなどの生音を優れた音質で録れますし、1台でUAD-2プラグインを用いてのレコーディングやミックスを完結できるのは魅力です。またマイクプリが8基内蔵されていて、リハーサル・スタジオなどに持ち込めばドラムのマルチマイク録りなども行えるので使い道が広いと思います」

村田氏は今回、ホーム・レコーディング環境でApollo 8Pをテストしてくれた。録音のソースとなったのは、声、シェイカーやタンバリンなどのパーカッション、そしてアコーティック・ギター。まずは本体のマイクプリの音質について尋ねてみよう。
「プラグインのかけ録りをしない状態では、まさに無色透明といった感じ。昨今は各社からマイクプリ一体型のオーディオI/Oが発売されていますが、Apollo 8Pくらいの価格帯の製品はマイクプリのクオリティが粒ぞろいで、色付けが無いという点では優秀です。でもそれが音楽的に良い音かと言われれば、味気ない面もあるわけですね。だからこそ“Unison”が意味を持ってくるのでしょう」

 

Neve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collectionが
しっくりくるサウンドです

プラグインのプリアンプから本体のマイクプリをデジタル制御することで、エミュレート対象となった実機の特性を高い精度で再現するUnisonテクノロジー。この技術により、スペースの限られたプライベート・スタジオなどでもアウトボードを用いずに、Apollo 8Pだけでビンテージ・ギアさながらのサウンドが得られるのだ。Unisonに対応したプラグインのプリアンプは現在5種類で、選択して使用できるが、村田氏は「中でもNeve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collectionがしっくりくる」と言う。
「実機のイメージに近く、かけ録りすると聴き慣れた感じの音になります。僕は、録り音において重要なのは“倍音”だと思うんです。ハードウェアを通して録音すると複雑な倍音を加えられますが、Unison対応のプラグインではそれと同様の効果が得られるわけですね。だからイコライジングするにしても効きが良いというか、グイッとついてくる感じがするんです。パートごとの録り音を聴いただけでは何の変哲も無いものに思えるかもしれませんが、トラック数が増えるほど倍音の影響は大きくなるでしょう。それこそNeve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collectionをかけた状態でドラムのマルチ録音などを行うと、結果が全然違ってくると思いますよ」

1073
▲村田氏が「自分の親しんできた音楽とよく似た、耳なじみの良いサウンドが得られる」と話すNeve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collection。世界で唯一、AMS NEVEから本格的なライセンスを受けた1073エミュレーションだ

PREAMP
▲プリアンプ・ゲイン・ノブはUnison対応プラグインのゲインと連動しており、写真のように回すとプラグイン側のゲイン値が変化する

 

D/Aの音質は立体感がありスピーディ
大ぶりのモニター音量ノブも出色

続いてはApollo 8PのD/Aについて伺った。
「背面のモニター・アウトをパワード・スピーカーに直接つないでチェックしました。立体感やスピードがあるサウンドで、仕事でも使えるクオリティだと思います。A/Dと同じく、とにかくクセが無いので使いやすいですね。そのほか印象に残ったのは、モニター・アウトの音量を調整できるフロント・パネルの大型ノブ。ホーム・レコーディングなどでパワード・スピーカーに接続する場合、手元で音量調整できるので便利だと思います。モニター・コントローラーとの併用を見越したオーディオI/Oにはこうしたノブがあまり付いていませんが、自宅環境ではトークバックなども必要ないので、1台でモニター周りまで調整できるのは良いですね」

Monitor
▲村田氏が便利だと話すモニター・レベル・ノブ。大ぶりのサイズで、メイン・スピーカーを接続するためのモニター・アウトL/Rの音量を手元で調整できるのが魅力

自宅メインで音楽制作する人も、Apollo 8Pを手に入れればUAD-2プラグインを核とした幅広い音作りが実践できそうだ。村田氏はこう締めくくる。
「Apollo 8Pを導入することで、レコーディングの段階から曲の世界観にしっかりとマッチした音が作れるでしょう。エンジニアの観点からすると、録りのときに音が決まっていれば演奏のノリが良くなりますので、1人で音楽制作する人にもバンドで活動する人にもApollo 8Pは有用だと言えます」

 

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