プロを魅了する UNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズのクオリティ〜その③ 中野雅之×Apollo 8

新生Apolloシリーズ by サウンド&レコーディング・マガジン編集部/撮影:西槇太一 2015年9月8日

BOMM

 

中野雅之(b、g、k、prog)と川島道行(g、vo)の2人から成るBOOM BOOM SATELLITES。同ユニットでエンジニアリングも手掛けている中野は、作業の中でUNIVERSAL AUDIO UAD-2プラグインを愛用してきた。Apolloシリーズの魅力に迫る本企画の3回目は、彼にApollo 8 Quadを試してもらえたので、そのインプレッションを尋ねてみることにしよう。

A/Dは周波数バランス/位相共に良く
驚くべきコスト・パフォーマンス

中野は普段、プライベート・スタジオのAPPLE Mac ProにUAD-2 DSPアクセラレーター・カードのOctoとQuadを1枚ずつ接続し、プラグインを扱っている。主な用途はミキシングで「UAD-2プラグインは全般的に音の密度が高く、新しいものが出るたびにクオリティが上がっている印象です」と語る。

今回のテストでは、ライブで使っているThunderbolt搭載のMacBook ProにApollo 8を接続。川島の歌や自身のギターを録音するなどして試してくれた。チェックを終えた中野にファースト・インプレッションを尋ねてみると「まずはA/Dが初代のApolloよりずっと良いですね」との答え。詳しく聞いてみよう。
「初代のApolloは川島くんが持っていて、BOOM BOOM SATELLITESのプリプロなどに使っているんですよ。A/Dはカラっとした明るい音質ですが、その反面ミッドローがやや薄いとも言え、複数の音を録ってミックスすると“もう少しコシがあればな”と感じることもしばしばです。しかしApollo 8のA/Dは、その辺りの帯域がちゃんと詰まっています。マイク・イン/ライン・イン共にその印象で、初代ApolloのA/Dとは別モノだと思いますね。低域から高域までの周波数バランスはフラットではなくメリハリに富んでいますが、各帯域のスピードがそろっているので位相特性も優れています。だからステレオ・ミックスを作ったときも左右の広がり方が的確なんです」

これまでにさまざまな機材を使ってきた中野には、“良質なA/Dコンバーターというものは1chあたり10万円以上、ステレオなら20万円以上はする”という経験則があるという。しかし試してもらったApollo 8 Quadは8ch A/Dで310,000円。「このクオリティのA/Dが8ch装備されているということは、僕の経験則に基づいて計算すると80万円以上になるので、驚くべきコスト・パフォーマンスの高さだと思います」と語る。

 

スムーズなサウンドが得られる
Unison対応のプラグイン

NEVE
▲中野が製品チェック後に絶賛していたNeve 88RS Channel Strip Collection。AMS NEVEのアナログ・コンソール88RSのチャンネル・ストリップをエミュレートしたもので、マイク/ライン・アンプ、ローパス/ハイパス・フィルター、ダイナミクス・エフェクト(VCAタイプ・リミッター/コンプ/ゲート/エキスパンダー)、ポストフェーダー・アウトプット・ゲインなどを備えている

次に、テストで用いたプラグインについて尋ねてみた。歌録りにはUnisonプラグインのNeve 88RS Channel Strip Collectionを使用。普段はプラグインのかけ録りをあまり行わないと言うが、「試してみるとすごく良い感触です」と手応えは上々のようだ。
「スムーズなサウンドで、EQのかかり方にしても奇麗ですし、ダイナミクス・エフェクトの音もナチュラルです。これまで本番のレコーディングではマイクプリにハードウェアのEQやコンプをつないでかけ録りしていましたが、UnisonのNeve 88RS Channel Strip Collectionがあればハード無しでも録れそうだなと。もちろんレイテンシーも感じられませんし、本当によくできています。プロ・クオリティの歌録りが行えますね」

 

今回テストしてみて
1台欲しいと思った

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▲アンプ・モデリングのFriedman DS-40 Amplifierを立ち上げてギター録りを行っているシーン。Unison対応プラグインではないものの、相当お気に入りの様子だった

ギター録りにも幾つかのプラグインを試したそうだが、中でもFriedman DS-40 Amplifierに関して「すごく良いと思います」と語る。
 「昨今さまざまなアンプ・モデリングが発売されていますが、しっかりとした音が鳴るものは意外と少ないんですよ。腰高だったり、デジタル特有の中抜けを感じるものが多く、演奏していてもグッとこないんですよね……。その点、このFriedman DS-40 Amplifierはなかなかスゴい。アンプ・サウンドの生々しさやマイク録りによる空気感をよく再現できていて、スタジオでアンプを鳴らしているときに聴くような音がします。弾いていて盛り上がれますね。ギターを演奏するときは出音の良し悪しがプレイに影響するので、Friedman DS-40 Amplifierを使用すれば素早くOKテイクが出せそうです。もちろん自宅録音などで使われる安価なアンプ・モデリングに比べると、次元が違います。プロのレコーディングでも使えるというか、積極的に選ぶだろうというくらいに良いと思いますね」

Apollo 8の出力に関しては、背面のS/P DIFアウトをモニター・コントローラーに接続してチェック。その音質について「MOOGシンセなどのワイド・レンジな音も再現できていたので、すごく良いと感じました」と語る。
「今回テストしてみて、1台欲しいと思いましたね。自分のシステムに取り入れて、録れる音の選択肢が増えればいいなと。ハイアマチュアの方が購入する場合は、録りからミックス/マスタリングまで、Apollo 8だけで完結させても良さそうです。あとは使い手次第……これでヒドい音になったら、腕が悪いってことですね(笑)。つまりそれほど製品として良いものだと思います」

 

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