YAMAHAの最新ミキサー「TFシリーズ」を一早くチェック

製品発表会の関連情報 by サウンド&レコーディング・マガジン編集部/辻 太一 2015年4月24日

YAMAHAがProlight + Sound 2015で発表したPA用デジタル・ミキサー=TFシリーズ。マルチタッチ対応のタッチ・パネルやさまざまな機能をアサインできるエンコーダー、充実したプリセットなどにより、ミキサーをほとんど触ったことがない!という人からプロのエンジニアまで、幅広い層にリーチする製品となっている。今回はヤマハミュージックジャパンのオフィスにて、エンジニアの吉田裕也氏とともに発表されたばかりのTFシリーズをチェックできたので、その特徴をお伝えしたい。

MAIN2

 

基本的な仕様

TFシリーズには、入力数とフェーダー構成の異なる以下3モデルがラインナップされている。
●TF5:32インプット・フェーダー+1マスター(上写真右/オープン・プライス:市場予想価格500,000円前後)
●TF3:24インプット・フェーダー+1マスター(同中/オープン・プライス:市場予想価格430,000円前後)
●TF1:16インプット・フェーダー+1マスター(同左/オープン・プライス:市場予想価格350,000円前後)

それぞれインプット・フェーダーと同じ数のマイク/ライン・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)を備えるほか、2系統のライン・インL/R(RCAピン)も装備。マイク/ライン・インには、同社のMGPシリーズやMGシリーズにも搭載されているマイクプリ“D-PRE”がリコーラブルに再設計され備えられている。出力端子は全機種共通で、16ライン・アウト(XLR)。バスの構成は、メイン・バス(ステレオ+サブウーファー用バス)と20AUXバス(8モノラル+6ステレオ)で、DCAグループの数は8となっている。

REAR
▲TF5のリア・パネル。左からライン・アウト×16(XLR)、ACイン、電源スイッチ、ライン・インL/R×2(RCAピン)、マイク/ライン・イン×32(XLR/TRSフォーン)、オプションのDante I/Oカードなどのためのスロット、フット・スイッチ端子、USB端子、イーサーネット端子が配置されている

 

マルチタッチ対応のタッチ・パネル!

TFシリーズには、マルチタッチに対応した7インチのタッチ・パネルが備えられている。TFシリーズを起動させると、インプット・チャンネル1〜8のチャンネル・ストリップ(ゲイン/パラメトリックEQ/ダイナミクス・エフェクトなど)が表示される。パネルに指を置き、右から左にスワイプするとインプット・チャンネル8以降のストリップが現れ、下から上にスワイプすると各ストリップの下部にあるAUXセンドなどが確認可能だ。

▲タッチ・パネルでインプット・チャンネルを閲覧

チャンネル・ストリップ上の任意のモジュールをタップすると設定画面に移行でき、あらゆるパラメーターをタッチ操作で設定することが可能。例えばパラメトリックEQの画面にアクセスすると、各バンドの周波数ポイントやQ幅、ゲインなどをすべてタッチ操作でコントロールできるのだ。非常に直感的で、スマートフォンやタブレットに慣れ親しんだ世代にも取っつきやすい仕様と言える。

▲EQカーブをマルチタッチでコントロールしているところ

 

さまざまな機能をアサイン可能なエンコーダー

ただしタッチ・パネル上での操作だけだと、パラメーター値を少しずつ変化させたりといったオペレーションが難しい。数値を見ながら細かく音作りしたい!と思うエンジニアもいるだろう。そういった人のために用意されているのが“TOUCH AND TURNノブ”や“USER DEFINEDノブ”と呼ばれるエンコーダーだ。
TOUCH AND TURNノブはその名の通り、操作したいパラメーターを触ってエンコーダーを回すことによって、さまざまなパラメータ値の変更が可能になっている。例えばゲートの各パラメーターをツマミで調整したい場合は、“ゲートの画面を開いて各パラメーターにタッチ→TOUCH AND TURNノブを回す”という動作を繰り返すことで音作りが行える。
USER DEFINEDノブも任意のパラメーターを割り当てられるエンコーダーだが、パネル下に4つ装備されているのが特徴で、よく使うパラメーターを事前にアサインしておくことにより、いつでも即座に調整することが可能だ。

▲TOUCH AND TURNノブでゲートの各パラメーターを調整。“パラメーターにタッチ→エンコーダーを触る”という2ステップでパラメーター値の変更が可能

▲EQの周波数/Q幅/ゲインは、TOUCH AND TURNノブから手を離さずに調整できる。エンコーダーを押すと周波数とゲインが切り替わり、回せば選択中のパラメーター値を変更可能。また周波数を選択している状態でエンコーダーを押し込みながら回すと、Q幅を変化させることができる

 

音作りを支援する充実の新機能!

このように柔軟な操作体系を持つTFシリーズだが、音作りをサポートする機能も非常に充実している。例えばカフェのオーナーなど、“店内でライブ・イベントを催したいけど、PAの経験はほとんど無いんだよな……”という人は、当然プロセッサーの扱いに不慣れなもの。しかしTFシリーズには、“1-knob COMP”や“1-knob EQ”“QuickPro Presets”といった強い味方が実装されているので安心だ。

1-knob COMPとは、TOUCH AND TURNノブひとつで内蔵コンプのかかり具合を調整できる機能。YAMAHA MGシリーズやMGPシリーズなどのアナログ・ミキサーにも搭載されているが、TFシリーズではコンプレッション・カーブを表示させることができるので、聴覚&視覚の両方で音の変化をとらえることができる。

▲1-knob COMPを回すと、コンプレッション・カーブが変化。スレッショルドやレシオが連動している

1-knob EQも同様に、TOUCH AND TURNノブだけでイコライジングの行える機能。インプット・チャンネルには2つのモードが備えられており、“Vocalモード”を選ぶとワンノブ操作で歌声に適したEQカーブを連続的に変化させることが可能。複数の周波数ポイントが連動しつつカーブが変わる。“Intensity”というモードでは、EQカーブを設定した上で周波数ポイントを変えずに各ポイントのゲインを増減させることが可能。出力には、最適な音質を保ちながらスピーカーやインイア・モニターの音圧レベルを稼げる“Loudnessモード”、そしてIntensityモードが用意されている。

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▲パラメトリックEQのVocalモードのカーブ。パラメーター値は“30”に設定されている

VocalMode4

▲こちらはIntensityモード。あらかじめ作ったEQのポイントはそのままに、そのかかり具合(深さ)を調整できる。写真ではパラメーター値=“100”に設定

そして極めつけはQuickPro Presets。これは入出力の両方に向けたチャンネル用プリセットで、例えばインプット・チャンネルでは“AUDIO-TECHNICA ATM25をキックに立てた場合の設定”“SHURE SM58をボーカルに使用した場合の設定”といった具体的なプリセットを選び、使用することが可能だ。
これらはSHUREやAUDIO-TECHNICA、SENNHEISERと公式に協力関係を結んだ上で、現場のエンジニアの声も取り入れつつ作成されたもの。ゲインやEQ、ダイナミクスなどの設定が含まれているので、現場で使っているマイクのプリセットを選べば、そこから音作りを始められる。ミックス経験の少ない人やノンプロの人はプリセットを微調整する程度でミックスが成立し、プロ・エンジニアはセットアップのスピード・アップを図れるので演奏者との会話時間や音質を追い込む時間を確保可能だ。

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▲QuickPro Presetsの中から、キックにSHURE Beta 52Aを設置するためのプリセットを選択

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▲選択されているチャンネル(左から2番目)に先のBeta 52Aプリセットがアサインされている

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▲Beta 52AプリセットのEQカーブ。このように、プリセットを読み込んだ後、エディットすることもできる

 

以上、駆け足でTFシリーズの特徴を見てきた。製品を触ったエンジニア吉田氏は「まさにエンジニアリングのビギナーからプロまで、幅広い層に役立つミキサーだと思いました」とコメント。『サウンド&レコーディング・マガジン7月号』(5月25日発売)では吉田氏によるTF3のレビューが掲載される予定なので、現場目線のインプレッションを読むことができる。乞うご期待!

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▲PAエンジニアの吉田裕也氏。サンレコ7月号(5月25日発売予定)では、氏によるTF3のレビューが読める!

TUNECORE JAPAN