Apollo Twinの全容

アーティストがApollo Twinを選ぶ理由 by Sound & Recording Magazine編集部  2014年10月31日

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UAD-2システムとオーディオ・インターフェースを統合し、精度の高いプラグインのかけ録りまで実現したUNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズ。最新モデルとなるApollo TwinはThunderbolt接続のMac用インターフェース。デスクトップ・タイプながら、最高10イン/6アウト、24ビット/192kHzのレコーディングに対応。UADプラグインのかけ録りはもちろん、Unisonテクノロジーにより入力信号をモデリングのマイク・プリアンプで増幅できる画期的な製品となっている。現代のスタジオワークに必要な機能を網羅したこのコンパクトなI/Oは瞬く間にクリエイターの注目を集め、発売からほどなくして多くのプロフェッショナルが自身の制作環境にApollo Twinを組み込み始めている。ここでは開発者や既にApollo Twinを実戦投入しているアーティストへのインタビューを通して、このモダンなインターフェースの魅力を明らかにしていきたい。 Photo:Hiroki Obara

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Apollo Twin Solo:オープン・プライス(市場予想価格:79,000円前後)
Apollo Twin Duo:オープン・プライス(市場予想価格:99,000円前後)

Text:草間敬(KURID INTERNATIONAL)

最初に書いておくが、僕はUNIVERSAL AUDIO Apollo(Quadモデル)を2年前に購入して愛用している。だからApollo Twinが発売されたときは、触ってもいないのにどのくらい素晴らしいものかは何となく分かった。それからは知人に“何か良いオーディオ・インターフェースない?”と聞かれた際の、お薦めリストの筆頭にApollo Twinを挙げている。今回、記事を書くにあたってデモ機を借りられたので、僕の推薦が間違っていなかったか、Apolloと違いはあるのか、じっくり検証していこう。

優れたアナログ機材の技術とデジタルのUADを融合

まずApollo Twinの概要を紹介しよう。本機はMac専用で、最高24ビット/192kHzに対応する。Macとの接続はThunderboltのみ。アナログ入出力は2イン/4アウト(デジタル併用時は10イン/6アウト)で、インプットはマイク/ラインの切り替えができ、ギターを直接挿せるインストゥルメント・インも備えている。ライン・アウトはモニター・アウトとライン・アウト3/4があり、ヘッドフォン・アウトも本体前部に備える。

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▲リア・パネルの入出力端子群は、左からADAT&S/P DIFデジタル・イン(オプティカル)、Thunderbolt、ライン・アウト3/4(フォーン)、モニター・アウトL/R(フォーン)、マイク/ライン・イン1/2(XLR/フォーン・コンボ)。フロント・パネルにはインストゥルメント・イン(フォーン)とヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン) も備える

Apollo TwinはDSPチップが内蔵されており(SoloとDuoがラインナップ)、これを利用することでApollo Twin内部でUADプラグインをかけ録りしたりDAWに立ち上げられる。各種設定は付属のConsoleソフトで可能。入力(DAWへ信号を渡す前)にエフェクトをかけたり、DAWからの再生音と異なるバランスでモニターすることもできる。UNIVERSAL AUDIOはコンプレッサーの定番1176をはじめ優れたアナログ機材を製造しているが、その一方でUADのようなDSPを使ったデジタル機材でも好評を得ている。この二分野を一つにまとめ上げた、メーカー自体を標ぼうするような製品がApolloシリーズというわけだ。

 

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▲Apollo Twinの各種設定を行うConsoleソフトウェア。ここで立ち上げているUADプラグインのレイテンシーは2ms以内で、DAW上のそれに比べ大幅に改善される。Precision MultibandやAmpex ATR-102などの複雑な処理をするプラグインはやや遅れが大きいが、それ以外の多くのプラグインは遅れを気にする必要は無いだろう

D/Aの音質については、Apolloを購入した際に自ら検証したことがある。ビクタースタジオにApolloを持ち込み、スタジオ常設のAVID 192 I/Oとデジタル接続して出音を比べてみたのだ。結果は192 I/Oとほとんど遜色のないクオリティ。さらに外部から高精度のワード・クロックをApolloに供給してみたところ、192 I/Oをしのぐほどのサウンドとなった。特に低域から高域にかけてのバランスが素晴らしく、録音からミキシングまで信頼できる音質だと感じた。Apollo Twinも同等のサウンドで、僕の自宅のモニター環境ではApolloとの違いが分からない。従来のコンパクトなオーディオ・インターフェースとは別次元の、素晴らしい音と言える。ワード・クロック入力が無いのがやや残念だが、デジタル・イン(オプティカル)は装備されている。ここを介して高精度のクロックを送れば、さらなる音質向上が期待できるだろう。ヘッドフォン出力のクオリティも申し分ないものだ。

Unison対応プラグインでマイクプリのキャラクターが変化

一方、Apolloの入力に関しては、特に良い印象も悪い印象もなかった。無色透明と言うか、何の特色も感じないのだ。しかしApollo Twinと同時にUnisonテクノロジーが発表されたときは、“なるほど”と思った。このUnisonはさまざまなマイクプリの特性をハード&ソフトでシミュレートする技術なのだが、それを実現するためには、色付けの無いマイクプリを用意し、そのアンプを通った音という前提ありきでシミュレートしなければ、モデリング元と別物になってしまうからだ。
そのUnison対応プラグインだが、Consoleソフト上にあるインプット専用スロットに立ち上げて使用する。UA 610-A/B、API Vision Channel Strip、Neve 1073の3プラグインがラインナップされており(UA 610-B以外は別売)、早速聴き比べてみたが、同一のマイクプリとは思えないほどキャラクターが変わる。個人的にはUA-610-AとNeve 1073が気に入った。
一般的に録り音を決定付ける機材は、重要度の高い順にマイク→プリアンプ→コンプと言われている。早い話、音が鳴っているところに近い順に影響するというのが定説だ。しかし、マイクは録音する対象によって向き/不向きが大きく変わり、必ずしも高価なマイクが合うとは限らない。なので、僕が個人的に重要視する機材はプリアンプ→コンプ→マイクの順だったりする。実例で言うと、僕はボーカル録音にVINTECH AUDIO X73や実機のNEVE 1073をよく使うが、これらとSHURE SM58の組み合わせが大好きで、パンチのあるサウンドが欲しいときによく使っている。Apollo Twinのテストでも、UADのNeve 1073とSM58の組み合わせを試してみたが、まさに僕の好きなニュアンスを再現できた。ゲインを上げた際のひずみ、EQの質感、それらをひっくるめてキャラクターが似ているのだ。しかもApollo Twinはアナログ2イン仕様なのでステレオ・ソースにも使え、コスト・パフォーマンスはすこぶる高い。
ConsoleソフトはVIRTUALインプットを装備し、例えばここにソフト・シンセの出力をアサインすることも可能だ。Console上でかけたプラグインは遅延を感じることはないので(例外もある)、ボーカルやギター、ソフト・シンセなどを実機のプリアンプやコンプ、EQに通しているような感覚で使える。またすべての設定が保存可能なので、お気に入りのセッティングをセーブしておけば、スタジオでの作業時間が大幅に節約できる。
Consoleソフトで使うプラグインは、先述したようにかけ録り用のエフェクトとしても利用できる。僕はApolloの購入当初、せっかくリコールできる(録音した音に同じセッティングのプラグイン・エフェクトをDAW上でかけられる)のだし、そんなにかけ録りはしないかなと思っていた。だが、音を作り込んで“良い音だ!”と感じながらバンバン録っていくのは、実に気持ちがいいということにあらためて気付かされた。そのため僕はApolloを導入して以降、かけ録りを多用している。

大ぶりのノブで音量調節/4系統あるアナログ出力も便利

Apollo Twin本体についても見ておこう。まず中央の大きなレベル・ノブが目につくが、これはデジタルで制御しているので、ガリが出る心配は皆無だ。トップ・パネル右にあるモニター・ボタンを押すことでモニター・アウト/ヘッドフォンのボリュームを切り替えて操作できる。ノブ自体を押し込むとミュートがかかり、周りのインジケーターLEDが赤く点灯する。
左側のプリアンプ・ボタンを押すと、マイクプリの設定モードになる。このモードではレベル・ノブがインプット・レベルの調整となり、下に並んだオプション・ボタン群でライン/マイク切り替え、ローカット・フィルター、48Vファンタム電源、位相反転などの設定ができる。また、ACアダプターもねじ込んで差し込むとロックし、不用意に外れない設計になっていたりと、ユーザーの視点から作り込まれたものとなっている。
このように完成度の高いApollo Twinだが、どんな場合にお薦めか、ちょっと考えてみた。
①自宅スタジオのオーディオI/Oとして
形状からも想像できる通り、プライベート・スタジオの卓上に置いて、マイク、ギター、パワード・スピーカーなどを接続すれば、すぐにセットアップが完了する。ギターやヘッドフォン端子は本体前面に装備されており、場所をとらないコンパクトさも魅力だ。
②持ち出し用のオーディオI/Oとして
最近はリハスタなどでレコーディングする機会も多いが、その際もApollo Twinは便利に使える。ライン・アウト3/4からはモニター・アウトと別系統のミックスを出せるので、これをプレイヤー側に送ってヘッドフォンでモニターすれば、エンジニア/プレイヤー個々の好きなバランスでレコーディングが可能だ。付属のRealtime Analog Classics BundleにはUA 610-Bや伝家の宝刀1176も含まれるので、このサイズからは考えられないような素晴らしい音で録音できるだろう。
③Thunderbolt接続のUADプラグイン・エフェクト・ユニットとして
既にお気に入りのオーディオ・インターフェースを持っている人も、UADプラグインに興味があるのなら、Apollo Twinは良い選択かもしれない。ほかのオーディオI/Oを使っている場合、Apollo Twinはそれと競合することなく、純粋にUADユニットとして動作する。しかもThunderbolt接続なので安定性も高い。例えばAVID Pro Tools|HDXを使っている人がUADプラグインを使いたい場合も、本機をMacに接続しておけばOKだ。UADプラグインは外部DSPで処理するためレイテンシーが大きいのだが、Consoleソフト上で使っている限りは問題ない。なので録音時のモニターにUADプラグインをかけたり、外部エフェクト・ユニットとして使用しても便利だろう。僕もドラムを録る際などは、UADプラグインのOcean Way Studioを立ち上げたApolloをリバーブ・ユニットとして使ったりしている。

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▲Apollo TwinにはRealtime Analog Classics Bundleが付属。UA 610-B、Softube Amp Room Essentials、1176SE/LN、Pultec Pro Equalizers、Teletronix LA-2A、CS1 Precision Channel、RealVerb Proという即戦力の7プラグインのバンドルだ

 

SPECIFICATIONS
■接続タイプ:Thunderbolt
■オーディオ入出力:10イン/6アウト(ADAT使用時)
■最高ビット&レート:24ビット、192kHz
■マイクプリ数:2
■外形寸法:150(W)×57(H)×152(D)mm(突起部含まず)
■重量:1.05 kg

REQUIREMENTS
■Mac:Mac OS X 10.8/10.9(64ビット)、2GB以上のハード・ディスク空き容量、Thunderboltポート(Thunderbolt 2対応)、1,024×800以上のディスプレイ、UADソフトウェアv7.4.2以降、Audio Units/VST/RTAS/AAX(64ビット)対応ホスト・アプリケーション

Topic

※AMS RMX16、Summit Audio TLA-100Aを含むUADソフトの最新版v7.10がリリース
※Apollo Twinフリー・レンタル・キャンペーン実施中

 

(そのほかの記事)
UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin開発者インタビュー
Artist Interview 1:滝 善充(9mm Parabellum Bullet)
Artist Interview 2:TeddyLoid

 

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