インタビュー|クレイス・ヨハンソン~「Bitwig Studioは従来のDAWと一線を画した音楽制作が楽しくなるソフトです」

BITWIG Bitwig Studio

Bitwig Studioが切り開く無限のクリエイティビティ by サウンド&レコーディング・マガジン編集部/鈴木“Daichi”秀行 2014年6月15日

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さまざまなDAWが乱立し、それぞれがバージョン・アップしながら完成度を高めてきた中、久々に登場したドイツ・ベルリン発の全く新しいDAWソフトがBITWIG Bitwig Studio。時間軸にとらわれずオーディオ/MIDIを扱えるクリップ・ランチャー、プラグイン同士の連携から生まれる自由度の高いモジュレーションなど、後発ソフトならではの斬新な機能を装備し、クリエイターにとって取り回しの良い、クリエイティビティを刺激するDAWに仕上がっている。今回編集部はBitwig Studioをいちはやく導入した鈴木“Daichi”秀行に、この新しいDAWのみを使って楽曲の制作を依頼。各工程において、新機能がどのように役立つのか、音と連動しながら確認していただきたい。Photo:Takashi Yashima

Photo & Interpretation:Yuko Asanuma

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Bitwig Studioの開発元であるBITWIG社は2009年に設立され、現在はベルリン・プレンツラウアーベルクで10名が働いている。同社の共同設立者でありデベロッパーでもあるクレイス・ヨハンソン氏にBitwig Studio開発の経緯について聞いた。

オーディオ/MIDIを意識せずに音楽制作に集中できる

◎BITWIG設立の経緯について教えてください。

僕を含めた3人のデベロッパーで、“新しい音楽ソフトウェアを作りたい”と考えたことがきっかけで、5年前に設立しました。

◎DAWが既に数多くある中で、全く新しいソフトウェアを作ろうとした動機は?

当時、既存のDAWは少し凝り固まってしまったように感じていました。僕たちは単なるMIDIシーケンサー&レコーダーではなく、その垣根を取り払うようなソフトを作りたかった。

◎Bitwig Studioのコンセプトについて、もう少し詳しく聞かせてください。

僕はBitwig Studioに“DAW”という言葉はふさわしくないと考えていて、“Music Creation Software”と呼んでいます。音楽制作が楽しくなるように作られたソフトです。そして、今という時代に合っている。これまでのDAWは、基本的にレコーディング/ミキシングのために設計されていました。でも現在は、1人のクリエイターが作曲からサウンド・デザイン、録音、ミックス、マスタリングまで完結させる時代になりました。ミュージシャンが同時にプロデューサーでもありエンジニアでもある。Bitwig Studioはそうした時流にマッチしたソフトウェアなのです。

◎エレクトロニック・ミュージックの制作に向くようデザインされているのでしょうか?

どんな音楽の制作にも使えると思いますが、そうしたスタイルの音楽が作りやすいようにはなっていると思います。僕たちのマーケットもエレクトロニック・ミュージックの層がメインになるでしょう。

◎Bitwig Studioはオーディオ/MIDIを“クリップ”という単位で扱いますが、これは音楽制作においてどのような点が有利なのでしょう?

“ユーザーが使いたいように素材を扱える”ことに尽きると思います。例えばオーディオのループ素材の1部分だけ音程を変えたり、音を伸ばしたりすることが容易に行えます。まるでMIDIデータを扱うようにオーディオの編集ができるのです。その一方で、MIDIで打ち込んだデータを部分的にオーディオに変換し、同一トラックの中で波形編集することも可能です。ユーザーはオーディオ/MIDIを意識することなく、音楽制作に集中できると思います。

◎時間軸にとらわれないクリップ・ランチャーは、どのように使うと最も効果的なのでしょう?

まず、初期段階のアイディアをとどめておくスケッチパッドとしての使用法が考えられます。例えばアレンジの大枠ができた段階で、ドラム・フィルのアイディアを思い付いたとしましょう。その際はクリップ・ランチャーにドラム・フィルのクリップを収めておいて、アレンジャー・タイムラインと切り替えて試聴してみればいい。うまく合えばそのままクリップをドラッグ&ドロップしてアレンジに加えられます。また、完成したアレンジをライブ・パフォーマンスで活用してみたいという場合も、クリップ・ランチャーを使えば演奏の自由度が飛躍的に向上します。

音質向上のために全パラメーターにスムージングを施した

◎オーディオのタイム・ストレッチには、どのような技術を投入しているのでしょうか。

音質を向上させるために、対象を幾つかの部分帯域に分け、それぞれに異なるプロセッシングを施しています。このアルゴリズムは数年前に開発したのですが、試行錯誤を重ねるうちにタイム・ドメインをベースとした良い解決法が見つかり、部分帯域をうまく使えば、音の不自然さをさらに軽減できることが分かりました。

◎ほかに音質的な面で工夫した点は?

Bitwig Studioはモジュラー・システムで構成されていますが、すべてのパラメーターにスムージングが施されています。ソフトウェアで音の劣化を招く最大の要因は、パラメーターを動かした際のクリック音/ノイズなのです。

◎プラグイン同士を連携させる考え方は、モジュラー・シンセを想起させます。

そうですね。僕は最初からモジュラー・システムを基礎にした方が良いと考えていました。開発には長い時間がかかりましたが、基礎を一度しっかり作ってしまえば、後はずっと使っていけるものですから。モジュレーションのアイディアは、僕が以前かかわっていたVEMBER AUDIO Surgeというソフト・シンセからヒントを得ています。それを異なるデバイス間でも可能にしたのが、Bitwig Studioなのです。

◎パラメーターのヒストグラム表示など、斬新なアイディアが盛り込まれていますね。

Bitwig Studioは、作業をできるだけ簡単に、分かりやすくするのが狙いでした。ヒストグラム表示も、ユーザーが扱っているクリップの全体像をつかみやすくするための工夫です。

◎クリエイターは、Bitwig Studioを使用することでどんなメリットを得られるのでしょう?

“Bitwig Studioでなければ作れない音楽”を作れるかもしれない、ということでしょうか。

◎今後のアップデートの予定は?

かなり先のことではありますが、モジュラー・システムをバージョン2にアップデートすることになるでしょう。それが僕たちにとって最大のロードマップです。発売以降、ユーザーからのフィードバックは数多く届いています。ただ、従来のDAWの使い方に縛られているものも少なくなかったので、単純に取り入れるのではなく、本当にBitwig Studioに必要な機能かどうか、じっくり吟味していきたいと考えています。

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▲プレンツラウアーベルクに構えられたオフィス

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▲サウンド・デザイナーやサポートなど若いスタッフがそろう

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※Introduction~Bitwig Studioの全容

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