ビート・メイカー発掘インタビュー〜Sa-Ra 【1】

インタビュー by 編集部 2009年12月8日

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「仕事を受ける基準は満足できる金額が提示されていることが前提で、次にそのアーティストを自分たちが好きかどうか判断する」(タズ・アーノルド/2005年インタビュー)

ジェイ・ディー以降のビート・メイカーの中で、生演奏の扱いの巧みさという点でSa-Raの存在は際立っている。2009年にUBIQUITYより、サイケデリックで素晴らしいアルバム『Nuclear Evolution:The Age of Love』をリリースしたばかりの彼らだが、ここではカニエ・ウェストのG.O.O.D. Musicと契約し(結局同レーベルから作品はリリースされなかったが)、鼻息も荒い2005年当時のインタビューをお届けしよう。

[この記事は、サウンド&レコーディングマガジン2005年12月号のものです] 
Interpretation:Yuko Asanuma

N.E.R.D.に始まり、ドクター・ドレー、メデスキ・マーチン&ウッド、ファロア・モンチ、トスカ、DJ Mitsu The Beats、ルーツ・マヌーヴァなどヒップホップを中心に、メジャー/アンダーグラウンドを超越したプロダクション/リミックス・ワークで”ポスト・ネプチューンズ最右翼”と目されているロサンゼルスの3人組プロダクション・チーム=Sa-Ra。ソロ名義では「Glorious」「Double Dutch」ら完成度の高い3枚の12インチ・シングルで耳うるさいヒップホップ好きの信頼を勝ち取ってきた。そんな彼らがカニエ・ウェストのレーベル=G.O.O.D. Musicと契約、メジャー・デビューを目前に、現時点でインディーでは最後の作品となる『The Second Time Around』をリリース。持ち前のコズミックなファンク・サウンドを基調に、ファロア・モンチやJ・ディラが参加、”面白いことをやろう”というアグレッシブさに満ちた1枚となっている。爆発前夜といった趣の彼ら。今回はメンバーを代表してタズ・アーノルドがインタビューに答えてくれた。

どんなタイプの音楽でもディープに仕上げる。本当はすべてのオファーを受けたいくらいだ

■バイオグラフィを聞かせてください。音楽を学んだ経験はありますか?

タズ 5歳くらいのころから楽器を弾いてるよ。父親はパーラメントのドラマーだったジェローム・ブレイリーと仲が良くて、家にはジェロームからもらったドラム・セットがあった……キーボードも弾くし、パーカッションもたたく。ビートも作るしラップもする。

■どのようにして音楽業界とかかわるようになったのですか?

タズ 最初は、24歳のころにBig Yacht Entertainmentというプロダクション会社を始めて、ヒットマンというドクター・ドレーの『2001』にフィーチャーされていたラッパーが所属していたんだ。だから、そのころ3年半くらいはドクター・ドレーとずっと一緒にいろいろなプロジェクトをやっていた。あのアルバムのコンサルタント役だったんだ。それがおれの、業界での最初のブレイクだ。

■Sa-Raが結成された経緯を聞かせてください。

タズ Sa-Raは、そのドレーとの仕事が一段落ついたころに結成した。何かもっとデカくて面白いことがやりたいと思って、16年来の友人であるシャフィーク・フセインに相談したんだ。ちょうど彼もクリエイティブな面で行き詰まりを感じていたところだったから……一緒に音楽を聴いたり、アフリカ史の勉強をしたりしているうちに”Sa-Ra”という名前を思いついた。アフリカの言語で”宇宙で最も強大なエネルギーの子孫”という意味だ。

■自らの名がクレジットされた最初の作品は?

タズ ジュラシック5の「Hey」。

■これまでメジャー/アンダーグラウンドの垣根を感じさせないプロデュース/リミックス・ワークを行ってきていますが、人選の基準は?

タズ 金かな(笑)。おれたちが満足できる金額が提示されていることが前提で、次にそのアーティストを自分たちが好きかどうかを判断する。おれたちはどんなタイプの音楽でもディープなものに仕上げることを喜びとしているから、本当はすべてのオファーを受けたいくらいなんだ。でも、今はアルバムの制作に手一杯で、あまり時間の余裕が無い。

■『The Second Time Around』に客演しているファロア・モンチとJ・ディラはどのような経緯で知り合ったのですか?

タズ ずっと前にファロア・モンチと一緒に「Agent Orange」という曲を作ったことがある。それ以来の付き合いだね。J・ディラとはロンドンやニューヨークで何回か顔を合わせていたんだけど、仲良くなったきっかけは、僕らがロサンゼルスでやった最初のライブに彼が来てくれたことだった。ステージから下りたら”もし僕に何か手伝えることがあったらいつでも声をかけてくれ”と言ってくれた。彼の作るビートは大好きだけど、おれたちにビートは必要ないから、ラップで参加してほしいと頼んだんだ。それで家に来てくれて、3日くらい一緒に曲を作った。

■自宅にスタジオを持っているのですか?

タズ ああ。おれらは同じ一軒家で3人で共同生活しているから、その家にスタジオがあるよ。

■メインのレコーダーを教えてください。

タズ DIGIDESIGN Pro Toolsだ。メンバーのオマス・キースはもともとエンジニアで、もちろんPro Tools以外のDAWソフトも使った経験があったけど、Pro Toolsが一番よく使われているからね。ファイル交換も楽だし、今はこれがスタンダードなフォーマットと言えるんじゃないかな。

■実際の作業に際して、3人の役割分担のようなものがあれば聞かせてください。

タズ 特に無いね。みんなが全部をやるという感じだ。3人とも歌も歌うし、ラップもするし、ビートも作るし、楽器も弾く。

■スペイシーなシンセ・サウンドがSa-Raの特徴だと思うのですが、シンセサイザーはどのような機材を使っていますか?

タズ
おれらはいろいろなシンセサイザーを使っているし、特にたくさんのアナログ・シンセをそろえている。よく何を使っているのか聞かれるけど、それは謎のままにしてあるんだ。僕らは、本物のビンテージ・キーボードを使うことにこだわっている。ほかの連中はちょっと昔風の音が欲しければ、カーティス・メイフィールドやスティーヴィー・ワンダーのレコードからその音色をサンプリングする。でもおれらは、彼らの使っていたものと同じキーボードを入手して、それを自分たちなりに弾いて新しい音楽を作っているんだ。自分たち独自のやり方でね。

■リズム・プログラミングに使用している機材は?

タズ E-MU SP1200。それに古いリズム・ボックスだ。スライやシャギー・オーティスが「Inspiration Information」で使っていたやつ。それに生楽器、生ドラムも使うし、鍋とかフライパン、その辺にある音の出るものは何でも使うよ。

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