オウテカ 発掘interview【4】 ~ WARPレコーズ特集

インタビュー by 編集部 2009年11月20日

autechre_4_main

「今はハードウェア・シーケンサーを多用している。DSPの進化を追いかけることに飽きたんだ」
(ショーン・ブース/2005年インタビュー)

 

EQなどのエフェクトもほとんど使っていない

■「lpacial Section」では細かいシンセのループを聴くことができますが、これもASR-10で作ったのですか?

ロブ  それはモジュラー・シンセをサンプリングしたものだ。MIDI機能のないアナログ・シンセの音をサンプリングして、サンプラーでサウンド・エディットしている。

ショーン  モジュラー・シンセはANALOGUE S
YSTEMSやDOEPFER、SERGE、BUCHLA、R
OLAND System-100などを使った。その中でもANALOGUE SYSTEMSのモジュラー・シンセが好きだな。オシレーターの周波数を36kHzまで上げられるところがすごくいい。あと、オシレーターの周波数を下げるとスゴい音が出せるんだよ。

ロブ  ビット・クラッシャーをかけたときに近い音になるんだ。

■モジュラー・シンセ以外にはどんなシンセを使ったのでしょう?

ロブ  CLAVIA Nord Leadなどを使うことが多かった。CLAVIAのシンセはMicro Modular以外全部使ったよ。

ショーン  後はELEKTRON Monomachine S
FX-60とYAMAHA FS1Rが多かったかな。FS1
Rはプログラミングが大変だけど、構造を理解すれば素晴らしい音が出せる。無限の可能性を持
ったシンセだと思うよ。多分これからも飽きることはないだろうね。でも、スタジオに人が来てFS1Rを見ると”どうやって使うの?”って言われるね。エディットとするときの階層が深いから、みんな驚くみたい。ほかにはFM合成方式のシンセだとベース用にYAMAHA DX100も少し使った。DX100のことは知り尽くしているから、FMで簡単に音を作りたいときに使っている。

ロブ  ほかにはROLAND Juno-106やMC-202、SH-09、SH-2も使用した。

ショーン  Juno-106はオシレーターが安定しているところがいい。MC-202はその正反対で不安定なところが面白いんだ。

■それらのシンセの音には特別な処理を施しているのですか?

ショーン  今回はほとんどEQなどを使っていない。シンセやサンプラーで音を作っているときに、大体問題となる音は除去できるからね。シンセを出してきてその音を録音し直した方が楽なんだ。以前はDJミキサーのEQも使うこともあったが、今作ではほとんど使っていない。別にダブ的な方法でアイソレーターを使ったわけでもないから。ほかのエフェクトにしても同じようにあまり使わなかった。

■では、ミックス時にはどんな作業を?

ショーン  僕らは曲を作りながら常にミックスしているようなもんだ。AuxPanderに幾つかエフェクターをつなげると、すごく変わったフィードバック・ループを作り出せる。AuxPanderは使っているとミックスとシンセシスの境界線があいまいになるんだ。

ライブは即興の要素が強く、会場によっても演奏は変わる

■それでは今回のライブの話題に移らせてください。まず、ライブ時の役割分担は?

ショーン  ライブでも役割分担はない。それぞれの目の前にある機材を使うだけだ。お互いが何をやっているか分かっているからね。

ロブ  それに、それぞれの作業が複雑だから、同じ機材を一緒に使うと混乱してしまうからね。

■2人ともダブっている機材はない?

ショーン  そうだね。僕はMachinedrum SPS-1とMonomachine SFX-60を使う予定だ。後はMACKIE. Onyx 1640を置いている。Onyx 1640はライブの前にサウンド・チェックするために用意した。ただし、ライブ中にミキサーに触れることはほとんどないね。

ロブ  僕はAKAI PROFESSIONAL MPC1000、CLAVIA  Nord Modular G2 Engineを使う。Nord Modular G2 EngineはEVOLUTIONのMIDIコントローラーUC33でコントロールしているんだ。後はMachinedrum SPS-1とMonomachine SFX-60、Nord Modular G2 Engineを同期させている。DBX 1066も用意しているけど、これはシンセなどのパラメーターを変化させたときに突然大きな音が出てしまうことがあるので、保険として置いているだけだ。でも、今回はエンジニアが精度の高いコンプを持っているから使わない。

■トラック制作時と同様にコンピューターはあまり使わないのですか?

ショーン  そうだ。コンピューターはライブに前にNord Modular G2 Engineのサウンド・エディット用として使うだけで、演奏のときは使わない。以前はMax/MSPでライブのためにシーケンサーを作ることもあったけど、僕たちはステージでコンピューターを使うことに飽きてしまったんだ。

■リズムはすべてMachinedrum SPS-1とMPC
1000から出している?

ショーン  そうではない。Monomachine SFX-
60からも出している。MPC1000に入っているのはほとんど単音だ。それに、Machinedrum SPS-1とMPC1000からも上モノを出している。

ロブ  どの機材からも上モノやリズムを出しているんだよ。

ショーン  例えば、わざとMachinedrum SPS-1
を使ってチューニングを外したメロディを出すことがあるんだけど、それはMonomachine SFX-60ではできないからね。

■これらの機材の中でシーケンサーの役割を担うのは?

ショーン  セットにある音源全部をシーケンサーとして使っている。

ロブ  Nord Modular G2 Engineも優れたシーケンサーを装備しているからね。僕はMPC1000でNord Modular G2 Engine内のシーケンスをトリガーさせたりもする。ショーンがMonomachine SFX-60を使って、MPC1000のサンプルをトリガーさせることもある。このセットの可能性は無限だと思っている。

ショーン  あとは、あらかじめ作ったシーケンスをDJみたいにその場で変えている。ただ、DJよりも遊べるものが目の前にたくさんあるからね。例えば、Monomachine SFX-60のアルペジエイターをリアルタイムでコントロールしたり、Nord Modular G2 Engineのパラメーターをエディットしたりしているんだ。

ロブ  それに会場によっても演奏は変わってくるし……今回もいつもと違う内容になるはずだ。

■最後に今後の予定を教えてください。

ショーン  これからフェスティバルに出演して、その後はスタジオに入る。ハフラー・トリオのハフラーとコラボレーション・アルバムの第3弾を作るかもしれない。あと、グレン・ヴァレズという素晴らしいパーカッショニストがいるんだけど、彼が僕たちと仕事したがっているから一緒に何かやろうと思っている。それ以外は別に予定は立てていない。とにかく早くスタジオに戻って曲を作りたいよ。

 

autechre4_zu.jpg

▲来日時のオウテカのライブ・セット。ショーンはELEKTRON Machinedrum SPS-1とMonomachine SFX-60を、ロブはAKAI PROFESSIONAL MPC1000、CLAVIA DMI  Nord Modular G2 Engine、EVOLUTION UC33を使用。中央に鎮座していたMACKIE. Onyx 1640はライブ中ほとんど操作しないそうだ。Max/MSPなどのオブジェクト指向のソフトウェアを駆使するアーティストというパブリック・イメージからかけ離れたハードウェアを中心としたシステムが構築されていることに注目してほしい

 

untilted.jpgAutechre 『Untilted』

この商品を「Amazon」で買う
この商品を「iTunes」で買う

TUNECORE JAPAN