「Get Wild」リミックス・アワード イベント・レポート

レポート by サウンド&レコーディング・マガジン編集部(Photo:Hiro Sato) 2017年9月25日

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9月15日、ドイツ文化会館OAGホールにて「Get Wild」リミックス・アワードが行われた。サウンド&レコーディング・マガジンとエイベックスの共同企画「Get Wild」リミックス・コンテストの受賞式を兼ねたイベントで、当日はリミックス・コンテストの応募者のほか、多くのTM NETWORKファンが来場。「Get Wild」の誕生にかかわりのあるゲストたちを交えたトーク・コーナー、受賞したリミックス作品の発表、そして最後に小室哲哉のサプライズ登場と、大きな盛り上がりを見せた。そのイベントの様子をレポートしていく。

▲左から、レコーディング・エンジニアの伊東俊郎氏、シンセ・プログラマーの石川鉄男氏、シンガー・ソングライター/作詞家の小室みつ子氏

▲左から、レコーディング・エンジニアの伊東俊郎氏、シンセ・プログラマーの石川鉄男氏、シンガー・ソングライター/作詞家の小室みつ子氏

前半に行われた「Get Wild」スペシャル・トーク・コーナーでは、「Get Wild」をよく知る3人としてレコーディング・エンジニアの伊東俊郎氏、初期TM NETWORKの作品に数多く携わったシンセ・プログラマーの石川鉄男氏、シンガー・ソングライター/作詞家の小室みつ子氏がステージに登場し、司会/進行役の音楽プロデューサー佐藤純之介とサウンド&レコーディング・マガジン副編集長の松本とともに「Get Wild」にまつわるさまざまなトークを展開した。“一番好きな「Get Wild」のバージョンはどれ?”という問いに対して、伊東氏はオリジナルの「Get Wild」、石川氏は「GET WILD(“LIVE EPIC25” Version)」、小室みつ子氏は「GET WILD ’89」を挙げた。また、小室みつ子氏は自身のカバーについて、「オリジナルに対して別の顔が見えるバージョンだと思います。都会の中で孤独にさまようという歌詞の世界をデフォルメし、よりマイナーで切なげな曲調にしましたね」と語った。

最後に3名はTM NETWORK、そして「Get Wild」についての思いを語ってくれた。伊東氏は「30年前の曲について話して、みなさんが喜んでくれる。その楽曲に携われたことはすごく幸せなこと、光栄なことだと思います。今回のみなさんのミックスに負けないようにまだまだ頑張ります」とリミックス作品に刺激を受けたようだ。続いて石川氏は「トッピングとしてはなく、シンセですべてを作るという環境に居られたことが幸せだった」と、当時を振り返る。小室氏は「TM NETWORKの作詞を手がけることで、どうやって言葉やメロを生かすか、という部分を鍛えられました。自然と自分の作詞術ができ上がりましたね」と話していた。

▲イベントの司会/進行役を務めた音楽プロデューサーの佐藤純之介(左)とサウンド&レコーディング・マガジン副編集長の松本(右)

▲イベントの司会/進行役を務めた音楽プロデューサーの佐藤純之介(左)とサウンド&レコーディング・マガジン副編集長の松本(右)

後半は「Get Wild」リミックス・コンテストの受賞イベントがスタート。各賞、4〜5個のノミネート作品が読み上げられ、その後受賞者を発表。受賞者が会場に来ていた場合はその場で賞状などの授与が行われた。

まずはサンレコ賞。ノミネートされた作品は以下の通り。

・「Get Wild Theta Kay “heaven” mix」Theta Kay
・「Get Wild 3rd planet mix by GreenApple」GreenApple0908
・「Get Wild 山田なお バンドサウンド mix」山田なお
・「Get Wild SHiNTA PLANET REMIX」shintaplanet
・「GET WILD K2R Dancin’ Dynamite Mix」OURCELL

この中からサンレコ賞を受賞したのは「Get Wild 山田なお バンドサウンド mix」。

さわやかで勢いのあるロック・ギターとタイトなドラムとのアンサンブルで、全く新しいバンド・アレンジになっている。受賞した山田なおさんは会場にも来ており、サウンド&レコーディング・マガジン編集長の篠崎より賞状と副賞の授与が行われた。山田さんは「リミックスでは本物のボーカル素材を使用することができ、貴重な体験になった」と今回のコンテストに参加した感想を語ってくれた。

▲サンレコ賞を受賞した山田なお(左)

▲サンレコ賞を受賞した山田なおさん(左)と賞状を読み上げる編集長、篠崎(右)

続く伊東俊郎賞にノミネートされた作品は、以下の4作品。

・「Get Wild – BtB Mix -」Sho Yoi
・「Get Wild Wilder than the Wild mix」Shutou Yuhei
・「Get Wild Hiroyuki ODA Remix 」HODA
・「Get Wild Tokyo Motion Picture MIX」はたはた

その中から伊東俊郎賞に選ばれた作品は、Shutou Yuheiさんの「Get Wild Wilder than the Wild」。

以下のリンク先から視聴可能。
https://youtu.be/CH9DUm0T63k

4つ打ちドラムと野太いベースにゲート処理されたノイズやきらびやかなシンセなどが乗るダンス・トラックだ。選定理由として伊東氏は「低域と高域の処理がしっかりされており、全作品において一番音圧があった。いわゆる商品としての手前まで音圧が上がっていた」と作品を評価した。

ここで、会場に遊びに来ていたJanne Da ArcのkiyoとTM NETWORKにサポート・ギタリストとして参加している松尾和博に突撃インタビューが行われた。
快く受けてくれた二人は、「「Get Wild」は僕がキーボードを始めるきっかけとなった曲です」とkiyoが語り、松尾は“ライブでは、いつもどういうところに気を付けてギターを弾いていますか?”という問いに対して「技術的にというより、ファンの方々やメンバー、楽曲そのものにリスペクトをしつつ、いつもギターを弾いています」と答えてくれた。

▲来場していたJanne Da Arcのギタリスト、kiyo

▲来場していたJanne Da Arcのキーボーディスト、kiyo

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▲ギタリストの松尾和博

ここからはTM Networkの3名による賞が発表された。まずは宇都宮隆賞。ノミネートされたのは以下の4作品だ。

・「Get Wild more*2 pop mix」macron
・「Get Wild 170815 mix」sprout na
・「Get Wild Jazz&Fusion mix」Y Y
・「Get Wild radio-jack mix」hyyden

その中から宇都宮隆賞に選ばれたのは、hyydenさんがリミックスを手掛けた「Get Wild radio-jack mix」。

重厚なギター・サウンドで作り上げたデジタル・ロック調のリミックス作品だ。宇都宮は残念ながら会場に来ることができなかったが、以下のメッセージが届いており、プレゼンターとして小室みつ子氏が代読をした。

「デジタル・ロックやダブステップの融合で新たな“Get Wild サウンド”を聞けた、という感じでした。構成も面白く、とてもカッコよかったです。重厚なサウンドの中にも疾走感があって、あっという間に聞き終わりました」

イベントに来場していたhyydenさんは壇上に上がり、小室みつ子氏から賞状と副賞を受け取った。その際に小室氏は「ウツ(宇都宮隆)の声は感情を込めすぎない素直な声。こういったディストーション・サウンドにも奇麗に乗る」と宇都宮の声の特徴を解説。hyydenさんは「声は扱いやすいが、処理に悩んだ。宇都宮さんから賞をもらえてうれしいです」と受賞できた喜びを語った。

▲宇都宮隆賞を受賞したhyydenさん

▲宇都宮隆賞を受賞したhyydenさん

続いて、木根尚登賞にノミネートされたリミックス作品は以下の通り。

・「Get Wild トロピカルサマーMIX」
・「Get Wild 田舎者mix」mono inaka
・「Get Wild einsteins Get Kawaii mix」JAPANeinsteins
・「Get Wild F.Endo Omoide mix」浦島鱗太郎
・「Get Wild 夏休みですね! ミネアポリスは無理でもTDLくらいは行ってみたいなmix」甘党

会場では木根からのビデオ・メッセージが届いており、その最後に本人から受賞作が発表された。

受賞作品は、浦島鱗太郎さんの「Get Wild F.Endo Omoide mix」。

木根が「シティーハンターというよりも連ドラのよう。個人的にはグランプリです」と評したように、エスニックなギター・フレーズ、宇都宮のボーカルに重なるコーラスが特徴的なリミックスになっている。

最後は小室哲哉賞。ノミネートされたのは以下の作品だ。

・「Get Wild Clean Tears mix」Clean Tears
・「Get Wild / Gramme re-Ensemble mix」Gramme official
・「GET WILD (INFINITY HARDSTYLE MIX)」INFINITY Media
・「Get Wild Run through mix」h_a_
・「Get Wild Hayashi Mini mix」角笛たかひろ

この中から小室哲哉賞に選ばれたリミックスは、角笛たかひろさんの「Get Wild Hayashi Mini mix」だった。

リミックスは大胆にボーカルをカットアップしたフロア向けのサウンドになっているのだが、実はこの作品に決定したのが当日のお昼前。最後の最後まで小室は選考に悩んだという。ここで司会者から、この日に、PANDORAとしてULTRA JAPAN 2017に出演したばかりの小室哲哉がサプライズで来場していることがアナウンスされると、場内は大歓声に包まれ、小室哲哉が登場。興奮状態の場内を見渡しながら、受賞した作品について「こういうものがあるんだ、っていうちょっと変わった感じを選んだ。ボーカル・トラックに縛られず、思い切りがないと宇都宮君の声をこういった感じには扱えない」とコメントした。

▲小室哲哉賞に輝いた角笛たかひろのリミックスについて、小室本人がコメントした

▲小室哲哉賞に輝いた角笛たかひろさんのリミックスについて、小室本人がコメントした

また、「Get Wild」がここまで愛される楽曲になったことについて、「30年前から生き残っている曲はなかなか無い。音楽を通した仲間が局地的に盛り上げてくれたからかもしれないですね。僕らだけではならなかったと思う」と思いを語っていた。さらに、小室がもし次に「Get Wild」を作るなら?という質問を投げかけてみると、「浅倉大介とのPANDORAでやれたら面白いですね。彼はMOOG Ⅲ-Cも持っているので、分厚い音でシンセのメロとか弾いてほしいです」とその構想を語ってくれた。新しい「Get Wild」が聴ける日も近いかもしれない。

最後に、この日トーク・ゲストとして来てくれた3人も登壇し、久々の再会を懐かしみながら、フリー・トークも始まり、石川氏から「変わらずに活動を続けられる秘訣は何ですか?」と質問された小室が、「もうそろそろ……あとちょっとだなって思います」と話すと、会場からは落胆の声が上がるが、すぐに「求められている限りやります」と小室が補足し、拍手が起こる場面もあった。
締めくくりとして、この日のイベントについての感想を話してもらい、終演を向かえた。
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エンディングでは、イベント翌日に石野卓球による最新リミックス「GET WILD(Takkyu Ishino Full Acid Remix)」がリリースされることがアナウンスされ、会場ではいち早くその楽曲の試聴も行われた。

「GET WILD(Takkyu Ishino Full Acid Remix)」はiTunesなどで配信中。
https://itunes.apple.com/jp/album/get-wild-takkyu-ishino-full-acid-remix-single/id1274378154

 

30年という長い月日を経ても、変わらずに多くの人々の心をつかみ続ける曲というのは数少ないだろう。今回のリミックス・コンテストには総数600を超える作品が集まり、「Get Wild」の多大な影響力を感じる企画となった。また、オリジナルの「Get Wild」にかかわった3人の貴重なトーク、事前にアナウンスはできなかったのだが、小室哲哉のサプライズでの登場と、編集部としても見どころを作れたと思う。今後も、読者の皆さんに満足していただけるイベントなども企画していきたい。そして、TM NETWORK、「Get Wild」の同行についても、今回の企画に賛同してくれたFANKSとともに注目していきたい。

今回のイベントでPAを担当したのは澤田悠介氏(写真右側)とLSDエンジニアリングの遠藤幸仁氏(同中央)。こだわりの機材でオペレートを行ってくれた

▲今回のイベントで音響を担当したのは澤田悠介氏(写真右側)とLSDエンジニアリングの遠藤幸仁氏(同中央)。YAMAHA CL5、D&B AUDIOTECHNIKのスピーカーを使いオペレートしてくれた

*一次審査通過者はこちらのページに掲載しております。

http://rittor-music.jp/news/2017/09/61459?ch=sound

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