第11回〜【番外編】音楽ビジネスの今②

“D”と“P”の作法(音楽業界編) by 中脇雅裕 2017年5月13日

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皆さん、GWはいかがでしたか? サンレコの読者の皆さんなら、ガッツりDAWに向き合って新しい曲を作ったり、新しいサウンドに挑戦していた人も多いはず……。

さて前回は最近の音楽ビジネスの動向をお伝えしました。今回も番外編として、この後の音楽ビジネスの行方についてお話ししてみたいと思います。皆さんがこのGWに作った曲を大ヒットさせるヒントがあるかもしれません。

 

音楽プロダクションとレコード・メーカーを中心とした既存のビジネス構造

前回の記事では今、音楽ビジネス・シーンでは、

●日本が世界で一番CDが売れている国であること
●それを支えているのはアイドルたちのCDであること
●Apple MusicやSpotifyなどのストリーミング・サービスが急速に伸びていること

などをお話ししました。

さてさて、この後、音楽ビジネスはどうなっていくのでしょう……?

私はこの3〜5年で(もっと早いかもしれませんが)、音楽ビジネスの構造は激変すると思います。

私の予言(笑)では今後、各アーティストがそれぞれ自分のレーベルを持つようになるのではと思っています。

まず、今までの音楽ビズネスの構造とは、

音楽プロダクションがアーティストと契約し、プロダクションが主体となってレコード・メーカー(レーベル)との楽曲の販売に関しての契約を結びます。
(まれにレコード・メーカーが主体となってアーティストをマネジメントし、かつ楽曲の販売もするケースがあります)

レコード会社は契約に基づいて、楽曲をCDやデジタル配信などでリスナーに向けて販売します。

販売された音楽の著作権使用料は、JASRACなどの著作権管理団体が徴収して音楽出版社に支払い、そこからアーティストに支払われます。

ライブは音楽プロダクションが主体となって運営していきます。

<参考URL>
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1048_03_04.pdf

ざっくり言うと、音楽プロダクションとレコード・メーカーが中心となった構造になっています。

これはアナログ・レコードやCDなどのフィジカルなメディアが売れ、プロモーションのためのメディアもTV、ラジオ、雑誌など従来型マスメディアが中心の時代が作った仕組みです(またはその名残)。

 

既存のCD/ダウンロードと音楽ストリーミングのアーティスト収入はいくらぐらい?

しかし今、大きく変化している点は、

「CDが音楽メディアの主流でなくなり、ストリーミングが音楽メディアの主流になる」

ということです。

もう、既にその兆しはありますが、そのことで何が変わるのでしょうか……?

ここにこそ、音楽ビジネスの構造が激変する一番の要素があります。

先ずはお金の問題です。

アーティストに入るお金は、
(以下はあくまで参考値なのでケースによって異なります)

・CDシングルの場合1曲あたり約15円(この数字はかなり変動的ですが)
・iTunes Storeの場合は1曲あたり約16.6円
・ストリーミング・サービスの代表格Spotifyの場合 1再生あたり約0.25円(2016年後半のデータ)

ストリーミング安いですよね! ただしこれは1再生あたりなので、他の数字と比較のしようがありません。

私の実感では、正直まだストリーミング・サービスで利益が上がるようなイメージはできませんが、これに関してはいろいろな考えがネット上にも展開されています。

例えば、今大ヒット中のエド・シーランは、Spotifyがなければ自分はブレイクしなかっただろうと言っています。しかし、ご存じの通りテイラー・スウィフトはSpotifyから楽曲を引き上げた経緯もあります。

 

ストリーミングが主流になることでどんな変化が起こるのか?

この辺りの分析はかなり面白いのですが、長くなってしまうのでまた改めるとして、この傾向からしてSpotify、Apple Music、AWA、Line Music、KKBOX 、Google Play Musicをはじめとするストリーミング・サービスが音楽メディアの主流になることは明白です。というかもうなっています。w

これは大きな変化を音楽ビジネスにもたらします。

今の音楽ビジネスの構造でストリーミングが中心になると、アーティスト/ミュージシャンは儲からないと思います。それはアーティストとレコード・メーカー、事務所との契約条件がストリーミング中心のビジネス構造に対応していないからです。

かつてミュージシャン、アーティストが自分の作品をCDにしてそれを流通させるのは結構大変なことでした。
レコード・メーカーや音楽プロダクションと契約をしないと難しいことだったのです。

それが、今や配信なら楽曲さえあればTune Coreなどのサービスを使って、わずかな費用で主要なデジタル音楽配信のプラットフォームで全世界配信できます。それも数日で……。

つまり、曲さえあれば(実際はジャケット写真は必要です)、誰でも世界デビューできるのです!

多分、アマチュア・ミュージシャンがTune Coreで配信した音楽が大ヒットする。そんなことも普通になってくる気がします。

そうすると、既存のレコード・メーカーや音楽プロダクションはどうなるのか……。

この続きはまた改めて!
前々回のボーカル・レコーディングの話もまだ途中でしたので、今回のように番外編で今後の音楽ビジネスの話もしつつ、ディレクター/プロデューサーが使うレコーディングの技も引き続き紹介していきますね。

CUS!

【中脇雅裕】
プロデューサー/音楽ディレクター。CAPSULE、中田ヤスタカ、Perfume、手嶌葵、きゃりーぱみゅぱみゅなどのヒット作品に深くかかわる。アーティスト/クリエイターの成功とメンタルの関連性に日本でいち早く着目し、研究を重ねている。http://nakawaki.com

 

 

※本連載は毎月15日・30日近辺に更新していく予定です。お楽しみに!

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