第5回〜番外コラム「レコーディングで何を食べる?」②

“D”と“P”の作法(音楽業界編) by 中脇雅裕 2017年2月2日

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前回はレコーディング・スタジオでの食事のことについてお話ししました。今回はその続きとして、“スタジオに常備するべき食べ物”についてのお話です。

 

至高は「龍角散のど飴」!? ハチミツを摂る際の注意点も覚えておきたい

スタジオ・ワークは皆さんご存じの通りかなり高度な知的作業になります。“頭脳を使う”作業なのですが、実はこれはかなりのカロリーを消費するという説もあります(定かではありませんが……)。

それはともかく、スタジオに長く居るとお腹がすきます。ですので、現場のスタッフ、アーティスト、プレイヤーなどは始終何かを口に運んでいるように思います。

口寂しいとき、手軽なのが飴。なので多くのスタジオには飴が置いてあります。これがスタジオごとのキャラを醸し出します。

ほとんどのスタジオでは4〜5種類の飴を混ぜてポットなどに入れてあるのですが、シンガーのための“のど飴”はマスト・アイテム! 気の利いたスタジオだとのど飴だけで3種類ほど用意されていたりします。

柑橘系、ミルク系、ハーブ系などなど。特に、市販ののど飴の中で最も効果が高いと言われているものの一つ、“龍角散のど飴”が入っているスタジオのマネージャーは、かなり気が利く人かもしれません

また、私などは歌うわけでないのでのど飴は不要です。しかし、お腹が空いて血糖値が低くなるとイライラします。この空腹から来るイライラはスタジオ・ワークでは要注意。作業の遅れなどで皆が緊迫しているときにイライラすると、さらにスタジオの空気がダークになります。こういうときは、とりあえず飴を舐めて血糖値を上げることで少し落ち着きます

そんなときに舐める飴は、少しパンチの効いたモノが良いのです。で、この辺りの気持ちも察してくれているスタジオには、のど飴のほかにグミ系やハイチュウなども混ざっていたります。中にはチョコなんかも用意されているおしゃれなスタジオもありますね。

私の場合、スタジオ・ワークが終わると“ハイチュウ”と“チョコレート”がある場合は、まずそれらは残っていません。

飴はほぼ、どのスタジオにも常備されているものですが、もう一つスタジオに常備されている場合が多いモノ。それは“ハチミツ”です。もちろんこれはボーカリストの喉のために置いてあるのですが、少し注意が必要です。

ハチミツは喉に良いと聞いたりしますが、それは“生ハチミツ”だけ。普通の“ハチミツ”は熱処理をしているので、本来のハチミツが持つ殺菌効果や疲労回復効果は望めないと言われています。

スタジオに置いてあるハチミツは残念ながらほぼほぼ普通のハチミツです。そこで優秀なディレクターは、“マイ生ハチミツ”を用意しています。私もスタジオでボーカル・レコーディングするようなときは“マヌカハニー(※注1)”を持っていって、ボーカリストに勧めていました。これをそのまま舐めるか、温めのお湯で溶いたものを飲めば喉はしっとり。良い歌が歌えます。ちなみに、“生ハチミツ”であっても熱い温度のお湯で溶かすとハチミツの酵素が死に、せっかくの効き目が半減します。ぬるま湯で溶かしてくださいね。

ついでにお話ししておくと、ボーカル・レコーディングのとき、シンガーのために用意したい飲み物は“室温のミネラル・ウォーター”“ぬるめの白湯”“ぬるめのハチミツ湯”“だいこんハチミツ(※注2)”などです。

逆に飲ませてはいけないとされているものは、ウーロン茶(喉の油分が奪われる)、牛乳などの乳製品(喉がネバネバしてしまう)、炭酸飲料(ゲップが出やすくなる)、冷たい飲み物全般(喉がキュッとしまってしまう)などです。

 

「スタジオ・ミュージシャンは“歌舞伎揚”で育つ」という名言もある

さて、最後にスタジオでの食べ物として、どうしても紹介しなければならないモノがあります。

それは“歌舞伎揚”!

本当に不思議なのですが、なぜかスタジオには誰が買って持ってくるのか分からないのですが、なんとなく歌舞伎揚があります。もちろんこれはスタジオが用意してくれるものではありません!

ある有名ピアニストは、「スタジオ・ミュージシャンは歌舞伎揚で育つ!」と言い切っていました(笑)。

小腹が減ったとき、この甘じょっぱい揚げせんべいは絶好の効果を発揮します。大体1〜2枚食べれば1時間は空腹を紛らわすことができます。

“歌舞伎揚”がスタジオのお菓子の定番になった理由は定かではありません。誰か知っている人がいたら教えてください。m(__)m

いずれにせよ、この日本のスタジオの伝統ともいえる“歌舞伎揚”の存在は皆さんにぜひ知っていただきたいです。

▲ご存じ歌舞伎揚

▲ご存じ歌舞伎揚

最後に、スタジオに常備するべき食べ物まとめです。皆さんのホーム・スタジオにおけるホスピタリティの参考にしてくださいね。
●飴は通常ののど飴に加え、“龍角散のど飴”を含めた3種類程度あるのがベスト
●さらに“ハイチュウ”と“チョコレート”を加えるとポイントアップ!
●ハチミツは“生ハチミツ”を!
●ボーカリストには常温のミネラル・ウォーターを用意
●“歌舞伎揚”はマスト・アイテム

次回はボーカル・レコーディングについてのお話に戻りたいと思います! お楽しみに!

【※注1 マヌカ・ハニー】
マヌカとはニュージーランドの原住民であるマオリ族が薬として使っていた木のことで、この木の花から集められた花蜜より作られるハチミツをマヌカ・ハニーまたはマヌカ・ハチミツと呼びます。喉に絶大な効果があると言われています。値段が高いのが難点。

【※注2 だいこんハチミツ】
風邪のつらい症状によく効きます。5〜6センチの賽の目に切っただいこんにハチミツをたっぷりかけます。2時間ほど置くとダイコンの汁とハチミツが混じってきます。これが“だいこんハチミツ”

 

 

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【中脇雅裕】
プロデューサー/音楽ディレクター。CAPSULE、中田ヤスタカ、Perfume、手嶌葵、きゃりーぱみゅぱみゅなどのヒット作品に深くかかわる。アーティスト/クリエイターの成功とメンタルの関連性に日本でいち早く着目し、研究を重ねている。http://nakawaki.com

 

 

※本連載は毎月15日・30日近辺に更新していく予定です。お楽しみに!

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