田中隼人×8330A〜クリエイターが愛用するGENELECモニター

クリエイターが愛用するGENELECモニター by サウンド&レコーディング・マガジン編集部 撮影:八島崇 2018年8月27日

HayatoTanakaStudio

自分の環境と外部スタジオに持っていったときの差は
8330Aを使い始めてから全く考えなくてよくなりました

 40年の歴史を誇る、フィンランドのモニター・スピーカー・メーカー、GENELEC。現在のスタジオ・モニターでは主流となったアクティブ式のパイオニアと知られる同社は、コンパクトなデスクトップ機からスタジオ用ラージ機までを手掛け、世界中のエンジニアやクリエイターから厚い信頼を寄せられている。この連載では、そんなGENELECモニターを愛用するクリエイターを訪ね、制作のパートナーとしてのモニターを語ってもらう。今月は、Jポップからクラブ・トラックまで幅広く活躍する作編曲家/プロデューサー田中隼人に、愛用の8330Aについて語っていただいた。

 

8330Aの導入でモニター環境が大幅改善

田中が使用している8330Aは、内蔵DSPとGLM 3ソフトウェアを組み合わせ、再生環境にかかわらずフラットなモニタリング環境を提供してくれるスピーカーだ。実は、2015年に行った本誌企画が導入のきっかけ。当時、自宅の作業ルームでルーム・アコースティック調整を重ねていた田中とともに8330Aをテストしたが、田中は誌面でSAMの効果を“正直感動しました”とまで語り、そのまま8330Aを購入。以後3年にわたって、8330Aが彼のメイン・モニターとして活躍することになる。

 「最初は、同じ部屋でも、これまで聴いていたスピーカーとこんなに変わるんだと驚きました。8330Aの導入以前は、“現状ではこういうふうに聴こえるけれど、きっと本当に鳴っている音はもう少しこうだろう”と、一回頭の中でシミュレーションしながら作らないといけませんでした。自分の環境でモニタリングしている音と、スタジオに持っていったときの差を感じながら制作していたのに比べ、8330Aの導入でそうしたことを全く考えなくてよくなったんです

そう語る田中は、2016年に新たな作業環境を求め、プライベート・スタジオのROMAHOLIC. STUDIOを設立。もちろんここでも8330Aがモニターとして使われている。

 「前の作業部屋は今の半分くらいの大きさで縦長だったので、DSPで音場補正しているとは言え、壁が近いため反響している感覚はありました。きちんと音場設計したスタジオを作ってみると、8330Aのポテンシャルがより引き出されている感じがしますね」

 
 

音量の違いに左右されない解像度の高さ

田中はフラットな特性とともに、解像度の高さが8330Aの長所だと語る。

「小さいけれども、ウーファーがきちんと鳴ってくれているので、低域もちゃんと分かります。実は、作っているときはあまり大きな音で聴かないようにしているんです。大きな音で聴くと、どのスピーカーで何を聴いてもいい音に感じてしまうこともあって。8330Aのように解像度の高いスピーカーは、小さい音で鳴らしても大きな音量で鳴らしたときと遜色(そんしょく)無く鳴ってくれるのが強みですね」

ほかの環境でどう聴こえるかを確認するために、他社のスピーカーを併用することもあるというが、8330Aが彼にとっての不動のメインであることは間違いないようだ。最後にこうまとめてくれた。

「ペアで20〜30万円クラスの中ではコスト・パフォーマンスに優れたスピーカーだと思います。今はほかのブランドも含めてより高級なパワード・モニターもたくさんありますが、8330Aは価格と性能のバランスがいい。どこかに力を入れているポイントがあって、“こういう音で聴いてくれ”とメーカーが主張するスピーカーではないというか、むしろそうした主張が無いのが利点。作る側としてはフラットに聴けるスピーカーの方が、音作りはしやすいですから」

 

田中隼人 使用モデル

genelec_8330a_front

8330A
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格100,000円前後/1基、ホワイト:市場予想価格108,000円前後/1基)

使用環境の音場を計測しDSPでピークを補正して最適なモニタリング環境を構築するSAM(Smart Active Monitoring)システム対応モニター。5インチ・ウーファーと0.75インチ・ツィーターを搭載した、クラスDバイアンプ2ウェイ・モデル
 

Creator of This Month

HayatoTanaka
田中隼人
クラブ・サウンドとJポップのバランスが特徴のサウンド・デザインと、美しいメロディが真骨頂のクリエイター。ファンキー加藤、DAOKO、Czecho No Republic、クアイフなどのプロデュース/アレンジのほかFloor on the Intelligence名義でクラブ・トラックも手掛ける

■GENELEC製品に関する問合せ:ジェネレックジャパン  https://www.genelec.jp/

2018年9月号
サウンド&レコーディング・マガジン2018年9月号より転載

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