Calm×原 雅明、20周年ライブに向けたトーク・セッションの前半を書き起こし!

レポート by 白石裕一朗 2017年10月27日

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デビュー20周年を迎えたCalmが、11月にキリスト品川教会 GLORIA CHAPEL 礼拝堂にてメモリアル・ライブを行う。それに先立って、10月21日に「dublab.jp × Calm “Calm talk session” 〜曲が産まれ出来上がる神秘の瞬間に迫る〜 @ Red Bull Studios Tokyo」が開催。コンサートに向けたRed Bull Studios Tokyoでのリハーサル映像を公開するとともに、Calm本人が「THE CHOICE IS YOURS」筆者である原雅明とトーク・セッションを繰り広げた。ここでは、11月のライブに向けた前半部を書き起こし〜エディットしてお届けしよう。

Photos Courtesy of Red Bull Music Studios Tokyo(☆)

 

ライブ会場としての“教会”の可能性

 dublab.jpの原雅明です。今日はCalmさんのデビュー20周年メモリアルコンサートに際し、貴重な映像や音源とともにトーク・セッションを行います。ご存じない方に説明すると、dublab.jpは2013年から放送を行っているネット・ラジオで、Calmさんには「Knockin On Loft Classic」という番組を長く担当してもらっています。今回の20周年ライブにあたり、dublab.jpとして何かお手伝いしたいと思っていたところ、Calmさんから「Red Bull Studios Tokyoでバンド・リハーサルの模様を撮影するので、レクチャールームで動画を公開しつつ、トーク・セッションを行うのはどうですか?」という提案を受けました。Calmさんがこうした場で話をするのは珍しいので、僕も楽しみです。早速始めたいのですが、まず、Calmさんがこのような形でライブを行うのは久々ですよね?

Calm はい、このところさまざまな理由でワンマン・ライブは行っていませんでした。「どうしようか」と思っていたところで20周年のタイミングが来たので、久々にちゃんとライブをやってみようと。

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 会場は、キリスト品川教会 GROLIA CHAPEL 礼拝堂(以下、品川教会)ですね。

Calm はい。これまでワンマンはライブ・ハウスやクラブで行うことが多かったのですが、今回はもっと開放的な雰囲気のある場所でやりたかったんです。グランドピアノが常設されていることが前提で、アコースティック楽器が映えそうな場所を探していたところ、品川教会にたどり着きました。場所を下見に行った時点で、「これは20周年の良い節目になる」と感じて、その場でレンタルを申し込みました。

 グランドピアノが常設されている会場となると、結構絞られますよね。

Calm はい、ウチのバンド・メンバーはジャズ畑の人が多いので、リサーチをかけてみたのですが、小箱のジャズ・クラブか大きなホールになってしまうんです。会場にピアノを持ち込むのは大変だし、コストもかかるので、ある程度収容人数がありグランドピアノがある会場ということで、教会に行き着きました。

 どんな感じの場所なのですか?

Calm 規模はさほど大きくないのですが、実際に行ってみると、Webで見たよりも荘厳な感じがしました。天井がすごく高いし、客席がすり鉢状になっていて、ステージも見やすいんです。窓がたくさんあって響きが若干多いのですが、とにかく圧倒される空間。足を踏み入れただけで何かを期待させる雰囲気があります。

 以前、パーカッショニストの高田みどりさんがピアニストの佐藤允彦さん、サックス奏者の姜泰煥さんと下北沢の日本キリスト教団 東京都民教会で行ったライブを見たのですが、パーカッションの音が奇麗に響いて、とても良かった。教会って音楽ライブの会場としてはあまり使われていないですが、実際に探してみると、東京にも結構あるんですね。

Calm そうですね。実は町ごとに1件はあるんじゃないかというくらい。品川教会は、畠山美由紀ちゃんもよくライブをやっていて、「それなら僕でも大丈夫だろう」と。

 

Red Bull Music Studiosでのリハーサル

 リハーサルは、ここの1FにあるRed Bull Studios Tokyoのメイン・ブースで行ったんですよね。

☆

Calm はい、基本はレコーディング・スタジオで、リハーサルで使わせてもらうのはぜいたくなんですが。

 いやいや、スタジオ本来の目的に沿ったクリエイティブな使い方だと思います……今日はその模様を映像で公開してもらえるんですよね?

Calm はい。普通ライブやアルバムは、完成した状態を聴いてもらうわけですよね。今回見ていただくのは、そのもっと前の段階で、メンバーにはある程度曲の概要は伝えているのですが、実際合わせるのは初めてという映像です。だから、メンバーによっては「恥ずかしいから公開しないでほしい」という人もいるかもしれない。でも見返してみると興味深くて、ライブ本番との違いも含めて楽しんでもらえたらいいと思いました。今まで、公開したことがないものですし。

 今回見せていただくのは、新曲のリハーサルなんですよね?

Calm はい。ライブの仕込みに入る前はずっとニュー・アルバムを作っていて、品川教会でも2曲ほど新曲を演奏する予定です。今回紹介するのはそのうちの1曲です。

 メンバーに渡したデモとは、生楽器が入っていない、Calmさんの打ち込みだけで作ったものなんですか?

Calm そうです。ライブでは、その各パートをミュージシャンに演奏してもらいます。映像は、本当に最初に集まったとき、一回目の練習の模様です。

 メンバーはCalmさんのデモを聴いた上でスタジオに来ているのですか?

Calm はい、最低限コードの雰囲気は分かってもらっているという状態です。が、皆がどこにどう楽器を入れるかは決まっていません。ウチのバンドの特徴として、まず自由にやってもらうんです。ジャズ畑の人が多いので、予定調和を嫌うんですよ。だから、まず一回好きにやってもらった上で、指示を出すようにしています。

 ある種のセッションのような感じですね。では映像を見てみましょう。


▲この映像はリハーサル冒頭の一部分を切り出したものです

 面白いですね! まずCalmさんはメンバーのミュージシャンに、コードとソロをどこで取るのかとグルーブについて大まかに話していましたが、後は本当に指示を出さないんですね。

Calm そうですね。皆のことをミュージシャンとしてリスペクトしているので、演奏から出てきたフレーズから良いものチョイスしていくやり方です。自分からは絶対に出てこないフレーズや、ミュージシャンならではのライブ感を求めています。あらかじめ決められたフレーズをなぞると、“発表会”になってしまいますよね。それは自分のライブ観とはちょっと違う。皆の良いところをどれだけ引き出せるかに集中しています。

 ジャズの人って、構成をかっちり決められるのを嫌いますよね。

Calm 1回はやってくれますけど、2回目は無いですね。「覚えていない」と言われます(笑)。

 これは最初に皆で音を出したときの映像なんですよね。結局何回リハーサルしたのですか?

Calm 3回です。1日全体で7時間くらい通しでリハーサルして、この曲は3回目で大体落ち着きました。

 3回で落ち着くものですか?

Calm そうですね、不思議と(笑)。今見てもらった1回目で前半をやって、2回目のリハで後半、それを3回目でまとめたという感じです。

 それで形になるんですか?

Calm はい。細かな詰めは別として、聴いてもらっても恥ずかしくないものにはなっています。3回目のリハを録音したテイクを聴いてみますか? <音源を聴く>

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Calm 探り探りですが、「取りあえずこんな感じ」と皆が理解した段階です。ここまで来たら、各メンバーは「こういう攻め方をすればいい」と分かってくるので、本番ではもっと曲に入っていける。

 

自由度が高いからこそ難しい

 プレイヤーはそれぞれ楽譜を見ていましたが?

Calm あれは楽譜ではなく、自分たちなりのメモなんですよ。ベースの杉本智和さんはAPPLE iPadだし、キーボードの柴田敏弥君は若者らしくiPhoneを器用に使っています。彼らなりに気付いたポイントや展開などをメモしているんです。

 では、本番ではフレーズが違う可能性もある?

Calm そうですね。ウチのバンドの特徴として、コード・チェンジといった大きな決まり事は2~3ありますが、それ以外は自由に曲が進んでいくんです。展開がどうなるかは、本当にフタを開けてみないと分からない。ソロも「今日はサックスの方が調子いいな」と感じたら、その場でサックスの時間を長く取ったりしますし。唯一、メンバーには“起承転結を作ってほしい”とは伝えていて、僕はそこを敏感に感じ取って、次の展開やソロを指示できるよう注意を払っています。

 これはコンサートに向けてのリハーサルですが、録音物の場合も同様にリハーサルするのですか?

Calm 録音の場合は、曲にもよりますが、ある程度サイズが決まった状態でミュージシャンに渡します。そこで何テイクかやってもらった上でハメていったり。そこでのプレイが良かったら、それに合わせて曲の尺やアレンジが変わることもあります。

☆

 実際の映像を見て、勝手にイメージしていたよりも自由度が高いと感じました。

Calm そうですね、出来上がった僕の曲はスムーズに聴けると言うか、例えば変拍子のバンドの方が難しいことをやっているように聴こえるかもしれません。でもそうしたバンドは、得てして決まり事をなぞっているだけのことが多いんですよ。その意味ではウチのバンドの方が難しくて、ダメなときは本当にダメ(笑)。でもその代わり、200点!というときもある。

 Calmさんの録音物を聴いていると、すごくきちんと構築されているように感じるのですが、その裏には起伏があるんですね。

Calm ええ。打ち込みなんですが、マインドはジャズという感じでしょうか。その辺りは、コルトレーンなどのモードジャズからの影響が大きいと思います。

 Calmさんは“クラブジャズ”にカテゴライズされることも多いですよね。でも、単にビートが打ち込みだったり、ソロもシーケンスに合わせているような作品が多い中、Calmさんの音楽は全然違いますね。

Calm そうかもしれません。

 この曲が本番でどう演奏されるのか、楽しみです。

Calm 今聴いてもらったのはハンディ・レコーダーで簡単に録ったものですが、本番ではPAの内田直之君がすごいことを始めます。彼はミキサーを“演奏”しますから、メンバーが5人いると考えてもらっていいと思います。

 それはすごいことになりそうですね。音響面も含めて楽しみです!

「Calmデビュー20周年メモリアルコンサート Music is Ours ~ 20 Years Live Citrus」

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日時:2017年11月24日 (金) 18:00開場 18:30開演予定
会場:キリスト品川教会 GLORIA CHAPEL 礼拝堂
(http://www.gloria-chapel.com/facility/index.html)

【出演】
Calm – Moonage Electric & Acoustic Quartet
(Tomokazu Sugimoto [b] / Yuichiro Kato [sax] / Toshitaka Shibata [ac.p, k] / Calm [all other instruments, prog] / Uchida naoyuki [live mix])
Sound Design:MMU
Lighting:Masahiro Motoike

【主催】
Music Conception (http://www.music-conception.com)

【制作/運営】
The. (https://www.the-web.info)

【協力】
dublab.jp / Redbull Studio Tokyo / Dommune / ANATOMICA

【Ticket】
http://eplus.jp/sys/T1U14P002235453P0050001

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