『Right On Brother』 Boogaloo Joe Jones

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2014年9月11日

FUNK的千円生活:ブーガルー・ジョー・ジョーンズ編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Right On Brother』 Boogaloo Joe Jones

 

『ライト・オン・ブラザー』ブーガルー・ジョー・ジョーンズ

 

Prestige (1970)

 

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なんというかソウル・ジャズを聴く歓びがぎゅーっと凝縮されたようなアルバムだなこれ。と幸せな気持ちで聴きかえしておりました。差別も競争も社会的主張も都会の孤独も無くってただ温泉のように噴き出すソウルと履き慣れたグルーヴだけがあるソウル・ジャズってどんだけ気持ちの優しい音楽ジャンルやねん、実家か、と思いますよね。難しいことなんて何もない、ただ愛すればいいだけ。ブーガルー・ジョー・ジョーンズ(g)のキャラクターなんてソウル・ジャズのほっこりした部分そのままです。出納係みたいな黒ぶち眼鏡に半開きな口もと。前のめりなタイム感に腰の浮くようなフレーズ。カントリーですか?いえブルースです、という感じのイナタさ。もう、めまいがするほどのイナタさ。速い曲では取り憑かれたようにテケテケと弾き倒すところがホレボレする。祭り囃子的なフレーズも似合いすぎてヤバい。カッコよさとイナタさが混じりあって感じたことのない興奮が生まれます。

Prestigeに8枚もアルバムを残してるブーガルー・ジョーだけど、今日のアルバムはメンツも濃くて最高ちゃうかな。ドラムには説明不要のバーナード・パーディ。なんだかブーガルー・ジョーのバックで叩く時のパーディは他の録音よりもちょっとうれしそうな感情が感じられる。テナー・サックスは絶倫男ラスティー・ブライアント。貫禄と音の太さ、隙のないソロは『Fire Eater』よりも調子良いかも。オルガンは先週からのチャールズ・アーランド。この人のオルガンは豚骨ラーメン的なこってり感が魅力。ベースはカウント・ベイシー楽団でも弾いてたヴェテラン、ジミー・ルイス。この時期のPrestigeソウル・ジャズの常連です。

高速ファンク「Brown Bag」のギター・ソロなんかブーガルー・ジョーを代表する名演じゃないでしょうか。8分音符で埋め尽くすみたいにリズミックな短いフレーズを繰り返す感じのノリは津軽三味線とか思い出すし、フレーズはどことなくハービー・マンのフルートに似てる気がします。なんて軽薄でカッコいいんだろ。同じくJBインスピレーション系のファンク「Right On」も休符の存在を否定するかのようにフレーズを畳み掛けるガッツが最高。この曲のラスティー・ブライアントとか脂が乗りまくってピチピチ跳ねるマグロみたいです。「Poppin’」はバンド全員我を忘れてスウィングしまくる阿鼻叫喚系の高速4ビート。アーランドのオルガンもパーディのドラムも煽りまくるスーパー・グルーヴです。そういう興奮曲の間に「Things Ain’t What They Used To Be」なんて入ってるところもほっこりしちゃうよね。

さてFUNK千円生活シリーズは今週で終わり。というか昨日(9月10日)発売のリニューアル号で『サックス&ブラス・マガジン』が『サックス・マガジン』に生まれ変わった、というタイミングでこのウィークリー連載コラムもいったん終了とさせていただきます。気付けば3年間も続けさせていただきました。読んでいただいた方には心より感謝申し上げます。リニューアルした『サックス・マガジン』では入魂の新連載「炎の1970年代サックス奏者列伝」など書かせていただいておりますので、ぜひそちらもチェックお願いいたします。また気が向いたら毎週コラムも復活するかも!

 

 

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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