『Leaving This Planet』 Charles Earland

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2014年9月4日

FUNK的千円生活:チャールズ・アーランド編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Leaving This Planet』 Charles Earland

 

『リーヴィング・ディス・プラネット』チャールズ・アーランド

 

Prestige (1974)

 

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この惑星よさらば。なんて聞くとトミー・リー・ジョーンズを思い出してしまうんだけど、結論から先に言うと、このアルバムでチャールズ・アーランド(org, keys)がおさらばしようとしているのはタバコと安酒と汗の匂いの染み付いた黒人クラブであり、ねっとりとしたブルースの響きと時に過剰な熱狂をもたらすグルーヴをもったソウル・ジャズであり、いつまで経っても戦争や差別や格差の無くならない社会であって、かたや宇宙船に乗ってたどり着こうとしているのは平和でクリーンな近未来的世界と、そこで鳴らされているべき洗練された音楽なのではと思うのです。1974年においてコテコテなソウル・ジャズはもうその使命を全うして新しい何かに生まれ変わろうとしていたわけですね。

メンバーを紹介しましょう。ゲストとしてジャケットにも大きく書かれているのがフレディ・ハバード(tp)とジョー・ヘンダーソン(ts)。エディー・ヘンダーソン(tp)とデイヴ・ハバード(sax, fl)も参加してるけど明らかに2軍扱いなのがかわいそう。偶然かも知れないけど2人のハバード、2人のヘンダーソンになっているのはお気づきでしょうか。フレディとジョーヘンと言えば思い出すのがCTIでのヒット曲『Red Clay』ですが、このアルバムでも堂々と再演しております。アーランドの頭にはCTIの都会的なジャズ・ファンク・サウンドへの俺なりの回答、みたいな想いもあったのではないでしょうか。その新しいサウンドを牽引しているのがドラムのハーヴィー・メイソン。それまでのジャズ・ドラマーとは明らかに次元の違う細分化されたビートと軽やかなグルーヴはすでにハービー・ハンコックのヘッドハンターズやスカイ・ハイ/マイゼル・ブラザーズ作品で証明されていました。ムーグ・シンセで参加のドクター・パトリック・グリーソンもハンコックの参謀的立場だった人です。

宇宙旅行を想起させる電子音で始まるタイトル・トラックはとんでもなくカッコいいヴォーカル曲。これ聴いてアガらない人はマグロって呼ばれます。ハウス・ミュージックのDJたちからもこよなく愛されるジャンルを超えた名曲ですが、アーランドが書いたメロディがほんと素晴らしくメイソンのビートも斬新。さらにはジョーヘンのソロが渋すぎて泣けてくる。しょぼいオルガン・ベースじゃなくってもしチャック・レイニーとかが弾いてたら危うく殺されてた。確かにコテコテ期のサウンドからはオサラバしちゃってるよな。続く「Red Clay」はCTIヴァージョンよりもテンポ上げてアグレッシヴになった熱いパフォーマンス。クールでアーバンなグルーヴを心掛けているつもりがついつい白熱してエキサイトしてしまうアーランドのオルガンがたまりません。この人はほんとに“ジャム好き”って印象が強い。サービス精神おう盛なジャムおじさんだよ。ところでジャケ・イラスト(デイヴ・ハバード作)のアーランドの前に生首みたいのが浮かんでるの昔っから気になってるんですけど、アレ何でしょうね?

 

 

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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