『People Moving』 Azar Lawrence

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2014年8月21日

FUNK的千円生活:エイゾー・ローレンス編

今回の”裏”Recommend Disc

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『People Moving』 Azar Lawrence

 

『ピープル・ムーヴィング』エイゾー・ローレンス

 

Prestige (1976)

 

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“最近のエイゾー・ローレンスが凄い”とどこかに書かれていたのをみかけて先月出た彼の新作CD『The Seeker』を買ってみたんですが、電車の中で聴いてるうちあまりのカッコ良さに思わず脳内にドーパミンがあふれ心の中でケモノが雄叫びをあげてしまい、その瞬間の恍惚のイキ顔をOL風の女性に白い目で見られて恥ずかしい思いをした今日この頃ですがみなさまいかがお過ごしでしょうか。コルトレーン派のラスト・サムライよろしくモーダルな楽曲を吹き上げる姿は62歳とは思えぬエネルギーを感じさせ、その圧倒的な風圧たるや共演のニコラス・ペイトン(tp)も影が薄くなるほど。ピアノのベニート・ゴンザレスがマッコイ・タイナーを情熱的にした感じでこれまたインパクト強い。しかしエイゾーさんはわずかに鼻詰まったような良く鳴るテナーの音色が最高ですな。

LAで生まれ、地元の重鎮ホレス・タプスコット(p)のバンドで修行。エルヴィン・ジョーンズ(ds)に認められて彼のバンド、ジャズ・マシーンのメンバーとしてNY進出。以降はマッコイ・タイナー・バンド、マイルス・デイヴィス・グループとジャズの王道を歩みながらアイク&ティナ・ターナー、チャールズ・ライト、ウォー、アース・ウィンド&ファイアといったソウル・アクトとも共演を重ねました。にしては知名度低めだけどな。代表作は70年代Prestigeに吹込んだ3枚。1作ごとにクロスオーヴァー度が増していく展開の3枚目が今日の一枚。コルトレーン度数は低めで、彼の個性的な音色とファンキィなアドリブがじっくり楽しめる悪くないブツです。もしあなたがEW&Fファンならさらに楽しめることウケアイ。

というのもプロデュースがスキップ・スカボロウ。といえばEW&Fがカヴァーした「Can’t Hide Love」の作曲者でEW&Fはじめ数々のアーティストに楽曲提供した人。カリンバ・プロダクション出入り業者。いっぽうでスカイ・ハイ・プロダクションズにも関わっていてドナルド・バードの『Places And Spaces』などでは鍵盤を弾いている、という西海岸の重要人物。このアルバムでも「Can’t Hide Love」「Gratitude」というEW&Fナンバーをカヴァーさせています。参加メンバーの方も西海岸の精鋭揃いで、リー・リトナー(g)、ポール・ジャクソン(el-b)、ハーヴィー・メイソン(ds)、パトリース・ラッシェン(key)、ジェリー・ピーターズ(key)、エムトゥーメ(perc)といった豪華さ。でもアルバムの中心を占めるのはエイゾーのスピリチュアルでソウルフルなサックス。冒頭の7拍子ファンク「Theme For A New Day」から男クサいソロで魅せます。時折コルトレーンが顔を出すフレージングもそうだけど、やはりこの人の体積と密度を感じる音色は魅力的。EW&Fに近いアレンジの「Can’t Hide Love」はソプラノで。メロウネスと男の哀愁みたいなもんが歌心に込められていて、また恍惚のイキ顔晒してしまいます。

 

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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