『Fire Eater』 Rusty Bryant

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2014年8月14日

FUNK的千円生活:ラスティ・ブライアント編

今回の”裏”Recommend Disc

Rusty-Bryant-Fire-Eater

『Fire Eater』 Rusty Bryant

 

『ファイアー・イーター』ラスティ・ブライアント

 

Prestige (1971)

 

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どうでもいいですけどラスティ・ブライアントの息子があのAOR〜ブラコンで人気のシンガーのスティーヴィー・ウッズだなんてみんな知ってました? 知らんかったのオレだけ? ジョージ・クルーニーの叔母さんがローズマリー・クルーニーだっていうのと同じくらいへぇ〜なんですけど。と、ウィキに教えられる今日この頃ですが、しかし親父と息子で音楽性ずいぶん違いますよね。というわけで今週からは9月24日にユニバーサル・ミュージックから発売になるそのものズバリなシリーズ『RARE GROOVE/FUNK BEST COLLECTION 1000』を何タイトルか紹介してこの「FUNK的千円生活」を終わりたいと思うわけです。Prestigeジャズ・ファンク史上最狂との呼び声高いこのお宝も千円で出ちゃうんです。主役はラスティ・ブライアント、気持ち的にはイドリス・ムハマッド追悼でお届けいたします。

50年代にR&Bジャズでヒットを飛ばしたあと、地元オハイオ州コロンバスに戻って演奏活動を続けていたブライアント。地元の評判は再び彼をNYに押し出すことになり、Prestigeと専属契約を結んで『Rusty Bryant Returns』(69年)を発表。以降立て続けにアルバムを出しまくった5年間ほどがキャリアのピークでした。ムチッと成熟した太い音色と使い込まれ磨かれたフレーズ、エネルギッシュでありながら決して下品にならない品の良さが誰にも好かれるタイプのサックス奏者。ひと昔前の男前顔だしな。アルトもテナーも、ヴァリトーンも吹きこなす彼のような人を気軽にホンカーと呼ぶのもちょっと違う気がする。とにかくソウル派サックスの中でも上手さと安定感はバツグン。阿鼻叫喚のジャズ・ファンク盤と呼ばれる今日の一枚、というか冒頭の一曲「Fire Eater」のなかでも彼自身はいたって冷静な感じ。余裕しゃくしゃくでベスト・プレイを聴かせます。

じゃあこの曲で誰が狂ってるんだというとオルガンのビル・メイソン。一世一代の煽り芸ともいうべき怒濤の波状攻撃でコーラスを重ねるたびにヒートアップします。長髪振り乱してオルガン弾いてるイメージな。その煽りにさらに油を注ぐのがイドリス・ムハマッドのドラム。ジャズ・ファンク界ではバーナード・パーディに次いで重要なムハマッドのドラムこそ腰の重さ安定感がハンパない。ニューオーリンズ出身ということが関係してるんだと思うけど、与えられた1拍1拍の重みを噛みしめるように“大事にする”感じのビートはドラム・セットから太い根っこが生えてるような印象を受けます。その盤石の安定感を土台にガンガンおかずを繰り出して煽るムハマッドこそ確信犯。中盤では鬼神さながらのドラム・ブレイクも披露します。ジャズ・ファンク期以降もCTI/Kuduでのクロスオーヴァー期、80年代のファラオ・サンダース・バンド、最近のアーマッド・ジャマル・トリオとジャズ・ドラムの王道を歩んだムハマッドさんは7月29日に亡くなりました。合掌。

 

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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