『Keep On Runnin’』 Black Heat

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2014年7月17日

FUNK的千円生活:ブラック・ヒート編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Keep On Runnin’』 Black Heat

 

『キープ・オン・ランニン』ブラック・ヒート

Atlantic (1975)

 

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いきなり関係ない話で恐縮なんですが、先日サン・ラ・アーケストラの来日公演があったのはご存知でしょうか。当然サン・ラ師匠本人はもうこの世にはいらっしゃらないわけですが、ベイシー楽団に於けるマーシャル・ロイヤル的立場のリード・アルト奏者、マーシャル・アレン以下アーケストラ門下生たちが日本上陸、ということで観覧に行ってきました。アメリカの根っこの方にあるブルースやジャンプ音楽が時間的空間的超越とともに宇宙の神秘と交わりあう唯一無二のジャズ、を楽しんで参りました。なかでも往年のメンバーを揃えたサックス・セクションは圧巻でしたね。マーシャル・アレンの稲妻のようなフリーク・トーン、ハードバッパーとしての片鱗を見せつけたチャールズ・デイヴィス(ts)、節くれ立ったバリトンを響かせたノエル・スコット、そしてバリトンとフルートで達者な演奏を聴かせたダニー・レイ・トンプソン、と役者が揃っておりました。

イントロだけで文字数の1/3を使ってしまいましたが、そのダニー・レイ・トンプソンが在籍したのが今日のファンク・バンド、ブラック・ヒートです。サン・ラとファンク、という混ぜるなキケン的すげえキャリア。このワシントンD.C.のファンク・バンドはAtlanticに3枚のアルバムを残していますがその3枚とも最近1,000円CD化されました。本来なら個人的な偏愛が止まらないデヴィッド・ファットヘッド・ニューマン(ts)がゲスト参加したファースト(72年)をご紹介したかったんですが、またファットヘッドかよ、と罵られるのを怖れてサード・アルバムにしてみました。70年代B級学園ドラマのエンディング風のジャケがとにかく最高です。「走り続けるんだ」とタイトルで宣言しながらこのアルバム後すぐに解散してしまうところもお茶目です。正直たいしたヒット曲もなかったバンドなので3枚も出せたのが幸運、というところなのですが、その雑食的サウンドと硬質なクロさ、ギュッと芯の詰まったファンク・サウンドはレア・グルーヴ以降再評価の対象となりました。

冒頭のカヴァー「Drive My Car」が最高です。つまりこれビートルズのファンク化。ひたすらクロくファンキィに塗り替えます。ブルース臭をまき散らすようなダニー・レイのうねるアルト・ソロが素敵。「Zimba Ku」はブレイク・ビーツで始まるミッド・ファンク。フルートが全編で絡む活躍を魅せます。反復感のあるビートはワシントンらしいゴーゴー的ノリもあり。サクサクしたビートと張りのあるホーン隊にしびれるのが「Questions & Conclusions」。バンドでのカヴァーにもうってつけの正統派ヴォーカル・ファンクかと。ジャケのまんまの青春ソウル「Something Extra」では2管編成のホーン隊が増強、ブレッカー・ブラーズの2人やトム・マローン(tb)もパートタイマー的に参加しています。プロデュースは60年代後半以降数々のAtlanticジャズ・ファンクを制作したジョエル・ドーン。ファーストとセカンドもクオリティ高いですよ!

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