『Pressure Sensitive』 Ronnie Laws

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2014年7月10日

FUNK的千円生活:ロニー・ロウズ編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Pressure Sensitive』 Ronnie Laws

 

『プレッシャー・センシティヴ』ロニー・ロウズ

 

Blue Note (1975)

 

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70年代Blue Noteのジャケのダサさは犯罪レベル。というかヒップすぎるリード・マイルス時代と比べて高低差がありすぎて耳キーンとなるレベル。だと思ってるんですが、その中でも極め付きにダサいジャケなのがロニー・ロウズのデビュー作である今日の一枚じゃないでしょうか。何の卵やねん。オレがアーティストだったらチャブ台ひっくり返してキレてるね。先週紹介したジェリー・ピータースがキーボードで参加、クルセイダーズのウェイン・ヘンダーソン(tb)率いるアットホーム・プロダクションズ制作なこのアルバム、実はスムース・ジャズの元祖はこの辺じゃね?というのが表テーマ。裏テーマはヤケクソのスティーヴィー・カヴァー生活4週目。

ウェイン・ヘンダーソンがプロデュースを買って出た理由はこれ間違いなく地元のツレだからです。テキサスはヒューストンの絆(きずな)深し。ジョー・サンプル(key)、ウィルトン・フェルダー(el-b)も当然のように参加、クルセイダーズの3/4がカワイイ後輩をバックアップします。そういえばロニーの兄貴ヒューバート(fl)は初期クルセイダーズのメンバーだったもんね。主役のロニーといえば兄貴や先輩たちを追っかけるようにロスに出てきたはいいもののすぐにレコード会社と契約できるはずもなく。シカゴからきたモーリス・ホワイトちゅうやつにアース・ウィンド&ファイアなんてパッとしないファンク・バンド(当時は)に引っ張り込まれて『地球最後の日』(72年)なんて物騒なアルバムに参加させられたところでダメだコリャって逃げ出した。けど依然として活躍の場は少なく、ヒット作を連発する兄ヒューバートに比べてどうみても残念な弟。・・・だったところのようやくのメジャー契約、自身のバンド、プレッシャーを率いての初リーダー作という状況ですので、こんなジャケでもチャブ台ひっくり返すのグッと我慢するしかなかったよね

冒頭のオリジナル「Always There」がサルでも知ってる超有名曲。色んな人がカヴァーしてて、もはやフュージョンを代表する曲のひとつと言ってもいいですよね。このオリジナル・ヴァージョンはブギーでファンキィな悪くないアレンジだけど、ロニーのテナーだけが非ファンキィというかメロウに徹しててそれがすごく印象的。繊細なヴィブラートとか情感の乗せ方、非ビバップ的なフレージングは個性もあるのだろうけど、グローヴァー・ワシントンJr.とかハンク・クロフォードあたりを熱心に研究した痕跡がうかがえます。つうか改めて聴くとこれスムース・ジャズ的なサックスそのもの、というかその典型が完成した瞬間な気がするんですけど。もしウィルトン・フェルダーが吹いてたら全然違った印象になったと思う。

話題のスティーヴィー・カヴァーは4曲目の「Tell Me Something Good」。スティーヴィーがルーファスに提供してチャカ・カーンが歌ったヒット曲です。ここでのロニーは随分ファンキィでソウルフル。だけどあくまで体臭は無し。金属の卵みたいにツルッとしてます。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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