アレンジのお話 12

書き屋石川芳の徒然鳴るままに by 石川芳 2012年10月12日

☆ 音域選び ☆

『ピアノスタイル2012年10月号』お楽しみいただけていますか?
私もお手伝いしている、”ピアノde小ネタ・パラダイス第2集” はいかがでしょうか?

久しぶりにアレンジについてのお話をしましょう。

『ピアノスタイル』に収録する楽譜は、今まさに旬のJ-POPや原曲のイメージが強い曲はオリジナル・キーになることが多いのですが、さまざまな編曲作品が存在しているスタンダードナンバーのような作品では、ピアノが最も美しく歌うように、私自身がこだわりたいキーを設定したものもあります。

中には、私がこだわりたくても編集部から却下されてしまうものもあるんですよ (^_^)

調性をあれこれ考えるときに、いつもアタマを抱えるのが、たとえば原曲がピアノ弾き語りで、伴奏の音域と歌が同じ音域にある場合。
メロディを1オクターブ上げる、または、伴奏をサクッと下げる、というように、”伴奏と重ならないようにすればOK” といった簡単な考え方では、やはり、良いアレンジにはならないですから、とっっても苦労します。

それから、その曲を歌っている歌手の声質をイメージさせる響きも、なかなか悩ましい事柄のひとつなんですよ。
ピアノの音色だけで、いろいろなイメージを描くことは、濃淡だけですべてを描き出す水墨画にも似ているように感じます。

“じゃあ、どうやって解決しているの?” というご質問もあろうかと思いますが、デヘヘッ、企業秘密ってことでお許しくださいマセ。
練習しながら、アナタ自身が、その謎解きを楽しんだり、アレンジャーが髪をグシャグシャ掻きむしりながら難産している様子など描いてみていただければ、嬉しく思います。

私は『ピアノスタイル』で毎号複数のアレンジを担当させていただいてますが、このようにどの曲にも私なりのこだわりや想い入れがあります。
もちろん私の中では順位などつけられません。
ただ、10月号では、子供の頃から大好きだったカーペンターズの代表曲「青春の輝き」をオーダーしてもらえて、本当に嬉しかったです。

どうか素敵に演奏してくださいね。

   

石川芳

幼少よりピアノ、エレクトーンを学ぶ。ネム音楽院(現ヤマハ音楽院)卒業後、ヤマハの海外デモンストレーターとして、世界各国で演奏活動および現地スタッフの指導にあたる。"ディズニー・クラシカルコンサート"でアレンジャーとしてデビュー。曲集の編曲や音楽専門誌の執筆など、幅広いジャンルで活躍している。ピアノスタイルでは、創刊号から編曲を手がける。



TUNECORE JAPAN