蓮沼執太、8月開催の「ミュージック・トゥデイ・トーキョー・2015」を語る!

NEWS by サウンド&レコーディング・マガジン編集部 2015/07/21

hasunuma

蓮沼執太が企画/構成/主催するイベント・シリーズが、東京・竹芝のGallery 916にて4日連続、5公演で開催

音楽とアートの境界を軽々と飛び越えた活動を続けるアーティスト、蓮沼執太。そんな彼が企画/構成/主催のすべてを担当しているイベントが「ミュージック・トゥデイ」だ。2011年に1回目が開催され、4回目となる今回は東京は竹橋にあるGallery916会場を舞台に、多彩な出演者を集めて音楽からアート、そしてトークが4日間にわたって繰り広げられることになった。「別府現代芸術フェスティバル 2015 混浴温泉世界」の設営で忙しい合間を縫って、蓮沼自身がイベントの主旨や今回の見どころついて語ってくれたのでお届けすることにしよう。

━━まずは蓮沼さんが「ミュージック・トゥデイ」を始めた理由を教えてください。

第1回を開催したのが2011年7月ですが、この年の3月に東日本大震災と原発事故が起こりました。音楽は他のジャンルに比べると社会や世界に対してダイレクトかつ迅速に行動を起こすことができるので、僕は現代社会に対してある種のメッセージや姿勢を提示できるようなイベントを作りたいと思ったんです。ですから「ミュージック・トゥデイ」は音楽をメディアとした自分と社会との接続方法のひとつなんです。

━━イベント・タイトルからはどうしても故・武満徹さんが1970年代〜1990年代にかけて開催していた「Music Today」を思い出しますが、何か関連性はあるのでしょうか?

はい、タイトルは拝借しています。1983年生まれの僕は当然、武満さんの「Music Today」を体験できるわけでもなく、当時の雑誌……武満さんが監修されていた『MUSIC TODAY QUARTERLY』であったり、その他の記録からでしか内容を把握できないのですが、それでも海外の新しい音楽を日本に紹介するという役割は強く感じます。時代背景が異なるので現在と直接的な比較はできませんし、現代音楽の概念やコンテクストも細分化されていると思うのですが、それでも現在を生きるタイムラインで、さらに僕にできる微力な範囲で、今、表現されるべきパフォーマンスを提示することを目指しています。

━━具体的に武満さんの「Music Today」から影響を受けていることはありますか?

そうですね、『MUSIC TODAY ’90』で武満徹さんが出したステイトメントの一部を下記に引用しますね。

 MUSIC TODAY では毎回一つ現代音楽ともポップスとも名づけられないような、どちらかというと現代音楽の方から出発して、他の今日的な語法を取り込んでいる人たち、要するにポスト・モダン世代ともいえるような人たちを入れています。・・・アメリカという国は、ポップ・アートにせよ、ケージとかケージ以後のラモンテ・ヤングとかミニマリストたちにせよ、まったく新しいものが出てくるんだけれど・・・、どっちかと言えばジョン・ゾーンとかの感性に近い世代に属する人で、あらゆる境界を破る大胆で、いわば分裂的折衷主義と言ってもいいような、非常に新しい価値観を作り出している(笑)。今までのクラシック音楽が見向きもしなかったものに目を向けて新しい問題提起をすることから、それぞれの個人が今までの体系からはみ出たところで、逆に古びてきた芸術体系を果敢にゲリラ的に挑発している、というところがとても面白い。

(MUSIC TODAY QUARTERLY NO.8 1990 P023より)

……と武満さんは言っているんです。僕は1990年の現代音楽やクラシック音楽に属する人間ではないものの(当時7歳の子供ですから)、武満さんが構想していたコンサート・シリーズに対する姿勢、思想はとても近しいと思っていますし、紛れも無く大きな影響を受けていると思います。

━━蓮沼さんの「ミュージック・トゥデイ」はこれまで3回開催されてきたわけですが、それぞれの回で狙っていたもの、そして結果として得られたものを教えてください。

初回は2011年にアサヒ・アートスクエアで開催しました。飴屋法水さんが小山田圭吾さんやzAkさんを引き連れてのパフォーマンスを行い、これは後の「フェスティバル/トーキョー11」での飴屋さん演出作品「じ め ん」につながるようなパフォーマンスになっていて非常に感銘を受けました。これだけでもやって良かったなと思えるほどだったのですが、それだけでなくucnvさんと空間現代によるコラボレーション、毛利悠子さんとヌケメさんによるカラオケ・パフォーマンスなどが行われました。

第2回は2012年にラフォーレ・ミュージアム原宿で開催しました。高橋悠治さんとPhewさんとのデュオ、オオルタイチさんが主宰する大人数のバンド・パフォーマンス、そして僕のアンサンブル=蓮沼執太フィルでの公演を行いました。

第3回は2013年に国立国際美術館にて行われた「Music Today on Fluxus 塩見允枝子 vs 蓮沼執太」ですが、これは国立国際美術館で行われていた展覧会「塩見允枝子とフルクサス」での関連イベントとして開催しました。塩見さんによる「イヴェント」と呼ばれるさまざまなスコアを会場のオーディエンスや僕のアンサンブル・メンバーが参加し演奏(パフォーマンス)する演目でした。

これまでの「ミュージック・トゥデイ」では、きわめて細分化された音楽の聴取体験をあらゆるジャンル、世代に開かれたものにしたいと考えていました。いわゆるジャンルを横断するというアプローチではなく、ジャンルという領域は必ず存在して、すべての領域は過去から現在へとつながるコンテクストの上で成り立っています。だからこそ現代の音楽として幅広くプレゼンテーションできるような一夜を提案し、実際に各回において本当に大切なものを得ました。

━━今回、8月6日~9日に行われる「ミュージック・トゥデイ・トーキョー・2015」のテーマを教えてください。

編集者である菅付雅信(グーテンベルクオーケストラ)さんから、“写真家の上田義彦さんのスペース・ギャラリー916で連続イベントを行いませんか?”というオファーをいただきました。連続というのに興味を引かれましたが、ただ単純に僕が毎日違うアウトプットで出演し演奏するような“自分押し”な催しではなく、過去に行ってきた「ミュージック・トゥデイ」の考えを生かしたものができないかなと思いました。去年は蓮沼フィルのツアーであったり、ニューヨークに滞在していたこともあって「ミュージック・トゥデイ」が開催できなかったのですが、半年以上日本を離れていろいろ考えを深めることができました。その中の一つに「東京」という都市のローカリティについてがあったんですね。なので、“2015年の東京で行う”という、場所と時間を強く意識しているところが今回のコンセプトです。これまでの活動や経験で培ってきた人とのつながりや表現の幅を思いっきり詰め込んでいます。もう東京では僕がここまで強いイベントを開催することはできないだろうなと思えるほど、盛りだくさんな内容です。

━━「ミュージック・トゥデイ・トーキョー2015」の出演者について教えてください。

 過去に僕とコラボレーションをした方が多いのも一つの特徴です。蓮沼フィルのメンバーであり、パフォーマンス作品『タイム』のメンバーでもある<大崎清夏×木下美紗都×福留麻里×石塚周太>によるパフォーマンス。<環ROY × 蓮沼執太 × U-zhaan>による即興演奏とフォーサイス・カンパニーで活躍する島地保武さんとのコラボレーション。空間現代によるソロ・パフォーマンス。僕が音楽を手がけてベルリン映画祭に出展もした水尻自子さんの映像作品『幕』の上映。今年一緒に楽曲を制作した<コトリンゴ>による演奏。新しいアンサンブル<蓮沼執太アンプラグド>はその名の通り、電気を使わない生演奏によるアンサンブルで、メンバーもギター、ベース、アイリッシュ・アープ、フルート、ビオラ、バイオリン、ユーフォニアム、ピアノと個性的な編成になっています。初日の僕のソロは、近年力を入れている電子音でのパフォーマンスとメロディを主体とした音楽演奏を考えています。またプロダクトという視点からグッズ制作をしてくれるのがイラストレーターのNoritakeさん、グラフィック・デザイナーの大原大次郎さん。なんと言っても鈴木昭男さんによるパフォーマンスは僕も非常に楽しみにしています。また雑誌『疾駆/chic』とのコラボレーションによるトーク・イベントも大きな特徴です。五木田智央さん、吉増剛造さん、保坂健二朗さん、三宅唱さん、結城秀勇さん、平倉圭さん、野村政之さん、佐々木敦さん、畠山直哉さんといった、そうそうたるメンバーがいらしてくださるのでご期待ください。

 

■ミュージック・トゥデイ・トーキョー・2015
Music Today in TOKYO 2015

http://www.shutahasunuma.com/musictoday2015/

日程:2015年8月6日(木)~9日(日)
会場:Gallery 916
開場/開演時間 19:00 / 19:30(8月6日・7日)、14:00 / 14:30(8月8日)、13:30 / 14:00、19:00 / 19:30(8月9日)
料金:前売り ¥4,320円 枚数限定ノベルティ付全公演フリーパス ¥16,200 (いずれも税込、ドリンク代別)
チケット:peatixにて販売中 http://peatix.com/event/98865

ライブ出演:大崎清夏×木下美紗都×福留麻里×石塚周太、コトリンゴ、鈴木昭男、環ROY×蓮沼執太×U-zhaan feat. 島地保武、空間現代、平山昌尚×蓮沼執太(パフォーマンス)、蓮沼執太のアンプラグド(蓮沼執太、石塚周太、イトケン、ゴンドウトモヒコ、千葉広樹、鈴木絵由子、手島絵里子、宮地夏海、吉野友加)、石田尚志 x Nerhol(パフォーマンス)
トーク:五木田智央、吉増剛造、保坂健二朗、三宅晶、結城秀勇、菊竹寛、佐々木敦、畠山直哉ほか
ケータリング:yoyo.
ショップ:sakumotto
グッズ:Noritake、大原大次郎
問い合わせ : 株式会社グーテンベルクオーケストラ info@gutenbergorchestra.com

 

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